Microsoftはいかにして5000万ドルをSCOに提供したか

更新:ユタ州リンドンのSCO Groupと、北カリフォルニアのベンチャー・キャピタル(など)がSCOに対して行った5000万ドルの資金提供について調査を進めるうち、示唆に富む補足情報が次々と明らかになってきている。水曜日の夜は特に活発な動きがNewsForge編集部に報告されたので、それをここにまとめてみよう。

  • BusinessWeek Onlineは木曜日に、SCO Groupを援助するための、5000万ドルのPIPE(private investment in public equity:公開企業による私募増資)において、Microsoftは直接の入金こそ行っていないものの、カリフォルニア州ラークスパーにあるBayStar Capitalの担当社員は、Microsoftの首脳が彼と接触し、BayStarからこの融資を行うよう依頼してきたことを認めているという内容の記事を掲載予定だ。この担当社員Lawrence GoldfarbはBWOに対し、この事前交渉に参加したMicrosoftの幹部社員(名前は明らかにしなかった)の中には、会長のBill GatesもCEOのSteve Ballmerもいなかったと語っている。
  • Microsoftの広報担当Mark Martinは、今週始めNewsForgeに対し、MicrosoftとBayStarとの間には「直接的にせよ間接的にせよ」、金銭的なつながりはないと述べた。Microsoft幹部がBayStarにSCOへの投資を依頼したことをGoldfarbが認めたことについての彼のコメントは得られていない。

    BayStarの広報担当Bob McGrathも、先週NewsForgeに対し、Microsoftは今回の件と何の関連もない企業であるとしたが、Microsoft関係者である個人が、誰もBayStarを通じてSCO Groupに個人的融資を行っていないとは断言できなかった。

    火曜日の記事において、Microsoftの戦略的目標、財力、長年の友好関係や協力関係と、SCOの必死の生き残り作戦とをつなぐ要素は数多くあることを、われわれは立証した。いずれの要素も、Microsoft幹部がラークスパーのGoldfarbを訪れる理由として成立する。

    SCOは、主要な業務が崩壊し、パブリック・イメージにも問題を抱えていた。さらに、ライセンシングによる四半期の収入はたったの2万ドルだ。GoldfarbとBayStarはなぜ、このような危機にあるソフトウェア企業にこのような投資を行おうと考えたのであろうか。この疑問はまだ解決していない。BWOの記事でもこの点には触れていなかった。NewsForgeはこれをできるだけ早く解明するつもりだ。

  • SCO Groupは昨夜、株式の買い戻し計画を発表し、即時発効した。SCOの取締役会が、150万株を上限に、SCOX株を今後24ヶ月間で買い戻すことを承認したことによるものだ。SCO Groupによれば、およそ1440万の普通株が発行および流通されている。買い戻された株式は社内株として所有され、一般的な企業目的のために使われるとSCOは述べている。
  • これにより、公開市場、大口売買、個人取引に関する証券取引委員会からの要求に基づいて、また、市場の状態やその他の要素に従って、SCOは自社株を買い戻せるようになるという。

    「この計画は、われわれが知的財産とコア・ビジネスの本質的な価値に強い自信を持っていることの現れです」とSCOの理事長Ralph Yarroは言う。「現在の株価なら、わが社の株は魅力的な投資物件だと考えています。そして今回、買戻しを行うことで、株主が得るメリットの向上にわれわれが長期的に取り組んでいくつもりであることをお分かりいただけると思います」

    SCOX株は今週、値動きが激しかった。火曜日だけで10%も値を下げ、翌日の水曜日にも7%の下落があった。週明けには11ドルをわずかに下回る程度だったにもかかわらず、水曜日の終値は9.51ドルであった。SCO専門の株価ウォッチャー(本人の希望により匿名)は、NewsForgeに対し「収入が落ち込んでいるうえ訴訟費用もかさみ、特別な融資を受けなければ経営を続けていけないような企業がこのような計画を打ち出すのは、よいことではありません。個人的には、SCOが実際に買戻しを行うことはないと思います。これは(株価の)下落を防ぐための単なる方策でしょう」と語っている。

    その他、関連情報

  • SCO Groupへの投資を仲介したと疑われている、Mike Anderer率いるS2(「Halloween X」)は、この世から姿を消したも同然だ。ユタ州の営業許可は期限切れとなり、Webサイトは有名無実だ。そして、Andererがどこにいるのか、誰も知らない。S2はワシントン州レッドモンドに事務所を構えていたが、火曜日に取り上げたとおり、これはEntirenetという会社に姿を変えたようだ。S2は、ソルトレークシティ、サウスカロライナ州コロンビア、ミシガン州ロイヤルオーク、サウスカロライナ州チャールストンにも、最近まで事務所を持っていた。これらのオフィスの電話番号は、ミシガンのオフィス(S2とは何なのか(何だったのか)一切知らない別の会社の電話番号になっていた)を除いて、いずれもつながらなくなっている。
  • NewsForgeは、SCO Groupから提供されたアドレスで、Andererに電子メールを送ったが、返事は来ていない。再度のお願いになるが、Anderer殿、もしこれを読んでおられたら、editors@newsforge.comにメールを送ってほしい。われわれには、あなたの言い分を聞く準備がある。

  • 一部報道とは異なり、BayStar Capitalは、Microsoftの共同創業者Paul Allenが1986年に興したVulcan Venturesの持ち物ではない。シアトルのシーホークス(NFL)とマリナーズ(大リーグ)という2つのスポーツ・チームのオーナーでもあるAllenは、現在もMicrosoft株を大量に所有しているが、現在のところ彼とSCOとの間につながりがあるかどうかはわかっていない。
  • この一件は一般に「BayStarの取引」と言われているが、SCOへの5000万ドルを、BayStarが単独で調達したわけではないということは、あまり報道されていない。実は、この投資の大部分を調達したのはBayStarではない。BayStarが関わったのは、この5000万ドルのうち40%(2000万ドル)だけで、残りの3000万ドルはRoyal Bank of CanadaがLindonへ送ったのだ。RBCも一時期、SCOの株式を所有していた(現在も所有している可能性がある)。

    NewsForgeが木曜日、このPIPEのうちRoyal Bank of Canada担当分に、Microsoftまたはその一部門が何らかの資金投入を行ったのかどうか問い合わせたところ、Microsoftの広報担当Martinは「Microsoftはその件と何の関連もありません」と回答した。

    われわれのSCOに対する調査はまだまだ終わっていない。BusinessWeekが参加してくれたことは喜ばしいことだ。その他の「主流の」メディアも、SCOに注目してくれることを期待している。Eric Raymondの明言を借りれば、「多くの目があれば、すべての隠れた取引を表沙汰にできる(Many eyes make all hidden financial dealings shallow)」からだ。