Debianの末裔対決:Xandros 2.0

本稿は、Debianベース・ディストリビューションのレビューの第3弾である。第1弾ではLindowsOS 4.5、第2弾では新興のMEPIS Linuxを扱った。今回は、商用Debianベース・ディストリビューションの古株であるXandrosについて見ていく。先月、Xandros 2.0がリリースされたが、べた褒めのレビューが目立つ。しかし本稿の評価はべた褒めとはいかなかった。その理由をこれから述べていこう。

Xandrosについての風聞

Xandrosは、2001年、Corel Linuxの買収という形で誕生した。Corel Linuxは、最も作りの美しいLinuxデスクトップとして知られ、またDebianをベースにした最初の商用ディストリビューションの1つでもあった。当初の予定よりも遅れて2002年秋にXandros 1.0が登場し、その約1年後の2003年の12月に2.0がリリースされた。

テスト環境

私が使ったマシンは、このレビュー用にFry’s Electronicsで購入した安価なデスクトップ・マシン(199.99ドル)だ。800MHzのVIAプロセッサ、128MBのDRAM、30GBのハードディスク、52倍速のATAPI CD-ROMドライブが搭載され、メインボードにはAC97 Codecのサウンドカードと3Dグラフィックアクセラレータビデオカード、SiS630Eチップセット、そして10BaseT/100BaseTXのNICが組み込まれている。

このマシンを、自宅LAN経由でインターネットに接続した。私の仕事用デスクトップの隣にあるBelkinのWi-Fiルータとこのテストマシンを、Cat 5ケーブルで接続した。また、仕事用デスクトップに接続してあるHPプリンタは、LAN経由でほかのマシンと共有できるようになっている。

インストール

Xandros Desktop OS Deluxe Editionバージョン2の入った箱には、分厚いユーザマニュアル、スタートアップガイド、カラフルな2枚のCDが同梱されている。1枚のCDにはインストール用であること、もう1枚のCDにはアプリケーション用であることを示すラベルがそれぞれ貼られている。インストール用のCDをドライブにセットすると、マシンが再起動する。

CDからの起動が終わると、インストールウィザードが表示される。最初の手順は、ライセンスを受け入れるか拒否するかだ。受け入れると、インストールの種類が表示される。選択肢は、「Express」か「Custom」である。私は「Express」を選択した。続いて、管理者パスワード、コンピュータ名、ユーザ名、ユーザパスワードの入力が求められる。

インストールに必要なハードディスクの設定はウィザードがやってくれる。私にはとてもありがたい。わずかな時間でパーティション分割とフォーマットが終了し、CDからハードディスクへのコピーが始まる。

インストールの進行に合わせて、製品説明が表示される。Xandros 2.0ではMicrosoft OfficeとAdobe Photoshopが動作すること、Xandros Networksを利用すればワンクリックでアップデートが可能であることを知る。また、画面の左下に、build 2003-11-26-07:00という具合にビルドの日付と時刻が小さな文字で表示される。

約30分で、CDからの転送が終了する。そして、起動ディスクを作成するか、すぐにインストール作業を終了するかのどちらかを選択する。通常なら起動ディスクを作成することになるのだろうが、テスト用のマシンなので(インストール期間はせいぜい数日だ)、すぐに終了することにした。この選択肢をクリックするとき、マウスの移動がとても遅いように感じた。続いて、CDを取り出し、「Enter」キーを押してマシンを再起動するように指示される。私はこれを何度か試してみたが、まったく反応がなかった。結局、リセットボタンを押すことで対処した。

初めてハードディスクから起動すると、「boot Xandros 2.0」、「boot Safe Mode」、「Configure System」のどれを実行するかをたずねられる。私は「boot Xandros 2.0」を選択した。そして一息つく。まもなく、KDEがロードされたというアナウンスが音楽と共に流れる。クラッシュが起きたのは、まさにその直後だった。

KDEは、「Xandros Desktop Wizard」がsignal 11(SIGSEGV)でクラッシュしたと知らせてきた。すぐに、Xandrosのサポートに連絡を取る。結局、私が普段使っているデスクトップマシン上の共有プリンタが関係しているという結論に達した。そこでプリンタを共有できないように設定を変更したところ、今度はクラッシュすることなく、Xandros Desktop Wizardをロードすることができた。しかしここまで少し時間がかかったのは確かだ。

Desktop Wizardでは、マウスが右利き用なのか、左利き用なのかを選択できる。その他、言語や文字セットなどの地域設定、日付と時刻、プリンタ、システムの動作などを設定できる。私が使っているDeskjetは既に共有できなくしてしまったので、「Printers」は空白にした。システムの振る舞いのモデルはKDEを選択した。そしてこのまま、インストール作業は滞りなく完了するはずだった。プレビューさえクリックしなければ。何となくプレビューをクリックしたい気持ちにさせられたのだ。待っていたのは、またもやSIGSEGVである。今回は、Desktop Wizardを起動し直してみた。何も失われていないことがわかったので、プレビューを要求しないでDesktop Wizardを完了させたところ、何事もなく無事終了した。

その後、共有プリンタをデスクトップから削除した状態でもう一度インストールを試してみた。Desktop Wizardは問題なく動作し、Xandros Networksを利用して未適用のセキュリティアップデートや重要なバグフィックスを適用してから先に進むように指示された。

インストール後の風景

インストール後、Xandrosのデスクトップは図のようになる(クリックして拡大することができる)。Trash、Home、Quick Start、Mozilla、Xandros Networksの各デスクトップ・アイコンが左端に縦に並んでいる。

Xandros 2.0 desktop 画面下部のタスクバーには、メニューランチャ、Xandros File Manager、Help、Show Desktopアイコンが表示されている。タスクバーの右端には、2つのワークスペース、サウンド、デスクトップロック、ログアウト、ユーザ切り替えアイコンがある。ユーザ切り替えは、現在のセッションからわざわざログアウトしなくても、ログインIDを簡単に切り替えることができる便利な機能だ。別のIDに切り替えて必要な操作を実行し、そのセッションから抜けて再度現在のユーザでログインし直すという面倒な手順が必要なくなる。一度試してみれば、なぜこれがすばらしいアイデアかわかるはずだ。

興味深い各種アプリケーションがデフォルトでインストールされる。メニューランチャから利用可能だ。「Accessories」メニューには、パーソナルタイムトラッカーとポップアップノートがある。「CrossOver」メニューからは、MS OfficeやAdobe PhotoshopなどのWindowsアプリケーションにアクセスすることができる。「Multimedia」メニューには、Audio Builder(実際にはARTS)やReal Time Synthesizerなどがある。OpenOffice.orgも用意されている。デフォルトではGIMPがインストールされないというのには驚いたが、Xandros Networksを利用して簡単にアプリケーションを追加できることを考えれば、大した問題にはならないだろう。

XFM(Xandros File Manager)についてもう少し詳しく説明しよう。一見してKDE Konquerorをただ商標変更したものかと思ったが、ヘルプを読んでみて、Xandrosが著作権を所有するアプリケーションであることがわかった。XFMとKonquerorの違いについては、Consulting Timesの記事が参考になる。XFMのルーツと開発に至った経緯が解説されている。

接続

Xandrosは、イーサネットカードを検出し、それをBelkinルーター上のDHCPとして正しく設定した。しかし、Desktop Wizardがクラッシュしたためにプリンタは検出されなかった。ただの好奇心から、もう一度プリンタを共有可能にして、何が起きるか試してみた。プリンタを設定しようとして「Control Center」を開くと、そこにはプリンタがきちんと表示されていて、私がやって来るのを待っていた。

ソフトウェアの保守

Xandros Networksは、ソフトウェア保守の手段として申し分ない。Click N Runほど簡単ではないが、大きな違いはない。私が気付いたのは、Xandros NetworksではGIMPをインストールするときに管理者パスワードが要求されるという点だけだ。

セキュリティ

Xandrosを使用するには、管理(root)パスワードと最低1つのユーザパスワードが必要になる。rootでログインした場合、デフォルトのままなら、デスクトップは明るい赤になり、ユーザに注意を促すようになっている。初めてXandros Desktop Wizardを実行したときには、重要なバグフィックスとセキュリティアップデートをチェックして必要に応じてインストールすることが強く推奨される。インストールに必要な作業を残らず完了するためだ。私は、セキュリティアップデートを2つを適用した。いくつかのアプリケーション用のセキュリティパッチを組み込むというものだったが、どちらも一度クリックするだけで簡単に適用することができた。Xandrosのセキュリティについての私の不満は、デフォルトではファイアウォールがインストールされない点と、「Control Center」でファイアウォールをアクティブにできない点だけだ。この点が解決されれば、セキュリティについては高得点を付けたいところだ。

サポート

今回テストしたDeluxe Editionには、電子メールによる技術サポートが60日間付いてくる。Standard Editionは30日間だ。さらに、FAQ、検索可能なナレッジベース、ユーザフォーラムがWebサイトで提供される。私は、IRCサポートチャネルも見つけた。#xandros/irc.freenode.netである。活発なチャネルというわけではないが、少なくとも存在していることは確かだ。

結論

Xandrosは、実に印象的なディストリビューションである。それだけに、私のテスト環境で主要なアプリケーション(Xandros Desktop Wizard)のバグが見られたのはとても残念である。インストールと接続の得点が低いのはそのためだ。Xandros 2.0のレビューはネット上で他にもいくつか読むことができるが、べた褒めの記事が多い。私が遭遇したただ1つのバグさえなければ、本稿もそうしたべた褒めの記事になったはずだ。

私が特に気に入ったのは、インストール作業が初心者にもとびきりやさしい点と、経験のあるユーザに対して好みの設定にカスタマイズできる道を用意している点だ。Windowsの経験は十分だが、Linuxディストリビューションを使用するのは初めてというなら、Xandros以上の選択肢はないだろう。

カテゴリ LindowsOS 4.5 MEPIS 2003.10 Xandros 2.0
インストール 90 90 75
接続 95 95 85
セキュリティ 85 95 95
ソフトウェア保守 95 90 95
無料(代金に含まれた)サポート 75 90 85
テスト済みバージョンの価格 $49.95 $17 $89.00
アップグレードソフトウェア $49.95 N/A N/A
総合評価 88 92 87