LinuxWorldレポート:ペンギン、ビジネスの世界へ進軍
来場者は並外れてバラエティに富んでいた。ありとあらゆる体型、体格、肌の色がそこに集まっていた。少人数の子供と、なんと一匹の犬までがいた。彼らは(犬は別として)さまざまなアクセントの英語、そして外国語を話していた。長髪は、背後から見ると、男を女に見せるために取り付けられたかのようだ。
来場者のもっぱらの関心は、Linuxのビジネス利用にあるようだった。純粋な趣味人はわずかしかいなかった。来場者は、Linux購入の決め手となるような実用的な情報や、使用中のLinuxを改良できる情報をのどから手が出るほど欲しがっていた。
あいにく、セッションの講演者すべてがその期待に応えられたわけではなかった。自分の狭い専門分野を語るだけの講演者が多すぎた。あるアナリストがオペレーティングシステムの市場シェア予測を述べる一方で、あるハードウェアメーカーの代表が自社製品によってコンピューティングが高速化されると主張する、といった具合だ。すぐに実行に移せる実用的な情報が不足していた。
それとは対照的に、展示エリアは情報の宝庫だった。とりわけ面白かったのは、聞いたことのない小メーカーが一堂に集められた「Startup City」という一画だ。このエキスポ自体が巨大なStartup Cityのようなものだった。確かに大手メーカーの巨大ブースもあったが、小規模なメーカーや組織のブースにはその製品を実際に知っている人々がつめかけ、偏見のない支援の空気が漂っていた。
出展した有名企業の中に米Microsoftの名もあった。展示は控えめで、場所もホールの角地である。Linux/UNIX指向の組織をターゲットとした製品を展示していた。来場者はMicrosoft関係者に冷ややかな礼儀をもって接し、ブースの担当者は、ここにいるのはどんな気分かと繰り返し尋ねられても努めて冷静さを保っていた。
最も混雑が激しかったブースは、Gentoo
とLinux
Terminal Server Projectだった。一番人気の景品は、
Xandros
Desktop 1.1の無料コピー。第2位は、米RealNetworksのHelix
Universal Server Tシャツである。
エキスポ初日の人気イベントは、Linux界限定の有名人が「ギーク」チームと「ナード」チームに分かれ、雑学を競うGolden
Penguin Bowlクイズショーだった。なにかにつけてDarl McBride(SCO社CEO)が冷やかしのネタにされるが、それはエキスポが終わるまで会場のあちこちで見られた現象だ。「pythonが最初に一般リリースされたのは何年?」、「GPSの衛星は今いくつ飛んでる?」、「蝶の幼虫のことを何と呼ぶ?」といった問題により多く正解し、勝利を収めたのは「ギーク」チームだった(クイズの出題内容を知りたい読者は、MC Chris DiBonaまでメールで問い合わせること)。
2日目、Linuxで制御された小型ロボットが迷路の中を誘導され、Tuxを探した。
エキスポは楽しかったが、そこまでの旅は楽しいどころではなかった。チェックインのときにそのバッグはシートの下に入りきらないと言うのでカウンターで預けたのだが、到着したらバッグの底の部分がなくなっていた。これはあのひどい言われ方をされた月曜日の記事に対する罰なのだろうか、と思ったものだ。まったく、誰もジョナサン・スウィフトの『A Modest Proposal(穏健な提案)』を読んだことがないのか? 冗談を言っているときの口元に気がつかない?