Linuxユーザへの普及進むCentrinoラップトップ

IntelがCentrino(TM)と呼ばれる新テクノロジを発表したのはわずか3ヶ月前の話だが、このテクノロジを採用したラップトップは既にLinuxコミュニティで広い支持を得ている。TuxMobilには、ベンダ各社が発表しているほぼすべてのCentrinoラップトップについてのインストールレポートが掲載されている。

Centrino(TM)は、Intel製のPentium Mプロセッサ、チップセット、無線LANモジュールの3つから成る。これらがLinuxでどのようにサポートされているかを見てみよう。

IntelのOS互換調査によれば、Pentium Mプロセッサ(以前のコード名はBanias)はサポートされているということだ。Alan Cox 2.4.xシリーズではいくつかのカーネルパッチ(PCI ID、AGP GART)が利用できる。ACPI4Linuxから入手できるパッチもお勧めである。Robert FreundはCentrino(TM)のACPI機能をLinuxソフトウェアから制御する方法をわかりやすくまとめている。Freundのページでは、CPU周波数やその他の電力節約モードを制御する方法、バッテリー状態についての情報を得る方法などが説明されている。2.4カーネルではRAMへのサスペンドがサポートされそうもないので、代替策としてソフトウェアサスペンドを使うことになるだろう。

Intel 855チップセットファミリ(以前のコード名はOdem)は、低電力で高いパフォーマンスを実現するように設計されている。Intel 855PMチップセットは単体型のメモリ制御ハブであり、Intel 855GMチップセットは統合型のグラフィック/メモリ制御ハブである。Intelは、AGP GARTおよびDRMのカーネルモジュールをバイナリファイルとして含むLinux用のExtreme Graphicsドライバを提供している。しかし、Pentium-M CPUは、ATI、nVIDIA、Tridentといったサードパーティ製のグラフィックチップセットと併用されることもある。

PRO/Wireless 2100 LAN Mini-PCI Adapter(現在はWLAN標準802.11bを実装)については、Intelはまだドライバを公開していない。また、ドライバの開発に必要な技術文書も未公開である。この入力フォームを使用して、この機能についてのLinuxサポートを提供してくれるようIntelに要請してもよいだろう。代替策として、miniPCI WLANカードを使用するという方法もある。このカードは入手が難しいが、デスクトップWLAN PCIカードの中には、miniPCIカードを含んでいるものがいくつかある。これをラップトップに組み込むのは手間のかかる作業だが、カーネルメンテナであるTheodore Ts’oがマニュアルを公開している。代わりに無線PCMCIAカードや無線CFカードを使用するという方法もある。PCMCIAカードやCFカードはさまざまなデバイスで使用でき、Linuxドライバを選択できるので、この方法の方が柔軟性は高い。カードにアンテナを付ければ、無線の範囲を拡張することも可能である。Linuxとの互換性については、TuxMobilのPCMCIA/CFカード調査を参照のこと。

将来的には、ベンダ各社が代替のminiPCIソリューションを提供するようになるだろう。DELLは既に同社のLatitude Dシリーズでその試みを進めている。

LinuxサポートについてのIntelの公式見解は、同社のOS互換性調査で見ることができる。

言及したすべてのカーネルパッチをスムーズに動かしたいならば、laptopkernelプロジェクトからソースを入手するとよい。

Centrino(TM)テクノロジのLinuxサポートはまだ完全ではないが、いくつかの機能を見ただけでも、次のラップトップ購入時にはCentrino(TM)テクノロジを検討する価値があると言える。この新しいCPUは既存のものと名前が似ているので混同する人もいるかもしれないが、内部的にはまったく異なっている。Pentium-Mは、Pentium-4 Mobile CPUよりも小型で、軽量かつポータブルなラップトップを実現できる可能性を持っている。Pentium-4 CPUはクロック速度が高速なために熱を持ちやすく、ほっそりしたノートブックケースに組み込むのは困難だった。そのため、きわめて薄いノートブックにはAppleのプロセッサかPentium III Mobile CPUを搭載するしかなかったのだ。また、Pentium-Mでは、ある程度のパフォーマンスを実現するために必要な消費電力も軽減されている(PENN Computingが公開している Pentium-MとPentium-4 Mobileの性能比較を参照)。

Werner HeuserTuxMobil – Linux on Mobile Computersの設立者。同サイトでは、「Linux-Mobile-Guide」、「Linux-Infrared-HOWTO」、「Linux-Ecology-HOWTO」といった文書のほか、モバイルユーザのためにモバイルハードウェア/ソフトウェア上のUnixについての数々の調査を公開。Debian GNU/Linuxメンテナとして、ラップトップおよびPDA関連のプログラムのパッケージ化に当たる。「非公式の」Debian Laptop Proposalの管理者でもある。