航空会社が続々とLinuxを採用
Copernioはすでに、パイロットのデブリーフィング(報告聴取)に使用するソフトウェアや航空日誌など、Linux上で動作する小さな製品はいくつかあったが、本格的にLinuxに取り組んだ製品は今回が初めてだ。
Linux向けのリリースの理由としてはただ1つ、「顧客のニーズ」だ。
Berghammerいわく、「当社はブリュッセル(ベルギー)にオフィスがあるが、そこから『Linux版はできないか?』という声が多く上がるようになってきた」
Berghammer自身は長年にわたるMacユーザであり、最近になって個人的にLinuxを触ってみるようになった。現在彼は、自分のPC上でさまざまなLinuxディストリビューションを試しており、仕事の一部にOpenOffice.org( Mac OS X beta も含む)を使用している。
個人的な好みはさておくとして、Berghammerのビジネス面での関心事は、近頃の航空業界の不景気の中にあってもCopernioが利益を上げ続けられるようにすることだ。その1つの方法として、軍事関連の顧客を増やす努力がある。民間航空会社と同様、軍用航空機の業界でもメンテナンスや部品のトラッキングを必要としている。もう1つの方法は、財政の苦しい顧客に、低コストのソリューション(Linuxに乗り換えるという選択肢もこれに含まれる)を提案することだ。
Linuxが、数週間や数ヶ月といった短期間で航空業界の主流になることはないだろう。保守的で統制の厳しい航空業界では、たとえ小さな変更でも、決定するまでに徹底的な評価が行われるのが常だ。柔軟な考えを持った航空会社や軍用機管理者であっても、現時点で興味を示したりテスト・インストールを行ったりしているからといって、この先最低でも1〜2年の間、Linuxを全面的に採用するとは限らない。また、Berghammerによれば、航空界でのLinuxの採用は、アメリカではなく、まずヨーロッパ、中東、そしてアジアで始まるだろう、ということだ。
Linux(IBMのハードウェア)へのシステム切り替えを近頃報じられたのが、 大韓航空 と ニュージーランド航空 の2社だ。
この2社以外に例がないわけではない。通常、航空会社がどのOSを採用したかなどということは大ニュースにはならないからだ。たとえばSouthwestは、現在使用中のSolarisシステムの一部を、低コストなLinux-on-Intelクラスタへ段階的に移行させる計画があるという噂がある。業務のさまざまな部分でLinuxを利用するべく、水面下でテストを行っている企業は他にもある。
Berghammerは、Copernio社に競合する企業でLinux製品を打ち出しているところは、現在のところなく、「そもそも、Linux用の航空関連アプリケーション自体がほとんどない」という。
しかし彼は、この状況はすぐに変わっていくだろうと認めている。振り返ってみると、CopernioがLinuxバージョンのリリースを開始したのはむしろ遅かったという。
「これは、ずっと前に始めておくべきことだった。航空業界で、Linuxは確実にその地位を確立しつつある」とBerghammerは語っている。