BynariはMS Exchangeに取って代わるか
さらに、「Exchangeの売上高純利益率は92%なので、Exchangeを安く提供することは特に難しいことではありません」と説明する。
価格の話はさておき、「Exchangeに取って代わる」製品を市場に投入するために大切なのは、Exchangeサーバの全機能(一部ではない)をOutlookユーザに提供することだという。
「当社の製品は、ConnectorとLDAPクライアントで構成されています。他社の製品と決定的に異なるのは、Outlookが備える機能をすべて使用できることです。Communigate Proの場合、提供するサービスはメールとカレンダーの2つだけで、このうちカレンダーにはサードパーティのソフトウェアを使っています。当社の製品は、サードパーティのソフトウェアを一切使用せず、すべてのDLLを使用できるので、ユーザはシームレスにOutlookの機能を利用できます」。
「Exchangeと同等」の製品の中には、Outlookクライアントとの互換性を「潜り込ませている」ものが他にもいくつかある。有名なところではSamsung Contactがそうだ。
これに対してKim氏は予想どおりの反応を示す。「当社は価値の高いサービスを提供しています。価格についてもどこにも負けません」。BynariのサーバとConnectorのライセンス料はサーバ/クライアント一式で100ユーザあたり2,099ドルで、Exchangeのライセンス料は100ユーザの場合1人あたり67ドルだという。
ライセンス料に関しては、Bynariの方がExchangeよりも明らかに有利だ。そのうえ、「Exchangeほどリソースを必要としません。IBMのWebサイトでも当社の製品が取り上げられています。Intel製CPUを搭載したシステム(モデル240)[訳注:実際にはPowerPCを搭載]で、当社の製品が100,000ユーザまで拡張できるからです」とKim氏は語る。
モデル240は、古いモデルではあるが、21世紀の標準から見てまだまだ「馬車馬」並みに働く。Kim氏は、モデル240のほか、IBMの製品群について実に詳しい。と言うのも、彼女がBynariに入ったのは2002年4月で、その前はIBMグローバルサービスのマネージャーだったからだ。今は、Bynariの社長として、直販に頼るだけでなく、InsightConnectorの「在庫品」やカスタマイズ品を再販してくれるIBMのような企業と強固なパートナー関係を築くことが重要な仕事になっている。
よちよち歩きの企業がやがて自立するか
NewsForgeでは、2002年夏以来Exchangeに取って代わる製品を取り上げてきている。Bynariは、私たちが最初に連絡を取ろうとした企業の1つだったが、こちらからのメールや電話に対して何の返答もなかった。以前、Bynariのことを負け組企業として忌憚なく書いたことがある。Bynariの顧客になりそうな知人の何人かが、試験インストールのサポートを受けようとしてできなかったからだ。
Bynariの経営は「あれ以来全く変わった」という。売上高も回復しているそうだ。著名な顧客からの推薦文が数多く寄せられていることを挙げ、「売上が伸びているだけでなく、Linuxベースのソフトウェアの売れ行きも上向き」なのだそうだ。
「去年と一昨年はLinuxに注目してもらうのに必死でしたが、今年はその態勢が整いました」
Kim氏によると、経営を再構築したことに加え、Linuxへの注目度が増したことで、Bynariはベンダおよび企業として長く存続できる立場になったという。
「利益が出るようになって、ようやく企業と言えるようになりました」と力を込めた。