「UNIX」の商標権はSCOではなくThe Open Groupにある――同グループの主張

UNIXに対するSCOの立場に関し、SCOが所有するのはオペレーティングシステムのソースコード(元々はAT&Tからライセンスされていたもの)と、関連した知的財産についての権利だけであり、UNIXの商標そのものや、UNIXシステムは何かという定義(Single UNIX Specification)については権利を保有していない、ということをThe Open Groupは明確にしたいと考えている。

SCOのWebサイトを見るとわかるとおり、同社はある知的財産を保有し、その商標はThe Open Groupに属していると正しく認識している。SCOが「UNIX」を所有したことはない。SCOは、他のライセンス取得者と同様に、The Open Groupによって認定された同社の製品とその関連において、登録商標であるUNIXを使用するライセンスが与えられている。

ライセンス取得者が、商標であるUNIXを、製品とその関連において使用できるのは、このような状況においてのみである。SCOが「UNIXオペレーティングシステムを所有」し、「UNIXをXYZ社にライセンス供与した」という声明は明らかに不正確で、誤解を招くものだ。

The Open Groupの社長兼最高経営責任者であるAllen Brown氏は、次にように述べている。

「戦争の最初の犠牲者は真実である」と言った人は、おそらくそれがシステム・ベンダ間の論争で引用されるとは思わなかっただろう。

今では多くの人が、SCO GroupがIBMに対して訴訟手続きを開始したことを知っているはずだ。この行動は、論争へと変わった。この論争は、しばしば誤解や混乱を招き、意図的ではないにしろ、恐れ、不確実、嘘(FUD)を引き起こすことを避けられない。

The Open Groupがこれを問題にする理由は、UNIXシステムを獲得した多くの組織が、The Open Groupによって認定されたUNIX商標を使用するOSが、Single UNIX Specificationに常に適合しており、もし適合しない場合には、ベンダの経費で修正されるということを知っていて導入しているからだ。

標準規格への適合認定は、市場が効率的に活動するうえできわめて重要である。政府は特に、標準規格への適合認定に関心がある。ある装置が供給業者の公言する標準規格への適合を満たしていないということが、戦場で発覚するのでは少々遅いのである。これは、中立の第三者が認定プロセスを実行することの重要性を示す1つの例である。

UNIX商標は、業界を代表してThe Open Groupが保有している。この事実は、メディアではまったく示されてこなかった。SCO Group製品や、同社のWebサイトでは認められているにもかかわらずである。

The Open Groupはベンダ中立の団体である。この団体は、SCO GroupのIBMに対する訴訟について、どちらが正しくどちらが悪いといった意見は持っていない。我々は、この件を法廷や、メディア、および投票する時間のある人たちに委ねるつもりだ。しかし我々は、ビジネスや、場合によっては生活の面で、信頼の指標であるUNIX商標に長年依存しているUNIXシステムの顧客やユーザのことが心配だ。

The Open Groupは、この商標を危険にさらそうとするいかなる者も、積極的に追及する。まず我々は、啓発と説得という方法で、UNIX商標の正しい利用と帰属を獲得しようと努力する。法的な手段に訴えるのは、他のすべての手段が失敗した後である。

純然たる事実は、その間ずっとSCO GroupとIBMは認定された製品を持ち、ライセンスを受け、認定された製品に関連した正しい帰属のUNIX商標を使用するということだ。

業界にUNIX商標の所有者を確認させ、UNIXシステムの顧客の利益のための、中立的な認定の指標としての適切な使用を確実にすることが、我々の助けになる。

支援するのはとても簡単だ。次に示す帰属を公表してもらえばよい。

「米国およびその他の国において、UNIXはThe Open Groupの登録商標です。」

経緯

1994年、AT&T/USLからUNIXビジネスを取得したNovellは、UNIXシステムビジネスから手を引くことを決めた。その際、このビジネスをそのまま売る代わりに、NovellはUNIXの商標と仕様(後のSingle UNIX Specification)をThe Open Group(当時のX/Open Company)に譲渡した。同時にNovellは、UNIX System Vソースコードと製品実装(UNIXWARE)をSCOに売り渡した。The Open Groupもまた、SCOからつい最近譲渡されたUNIXWAREの商標を所有している。

UNIX商標の所有者であるThe Open Groupは、UNIX商標を実際のコードストリームそのものから分離し、複数の実装を可能にした。Single UNIX Specificationの導入以来、統一UNIXシステムのための要件を定義する、オープンで合意された唯一の仕様が存在した。

さらに標識(ブランド)もあり、Single UNIX Specificationに適合すると認定された製品を識別されるために使用されている。Single UNIX Specificationは、UNIX 93から始まり、UNIX 95、UNIX 98と続いた後で、現在はUNIX 03となっている。この仕様とUNIX商標のいずれも、The Open Groupにより業界のために運用され、管理されている。

SCOは、他のすべてのUNIXシステム・ベンダ(The Open Groupのメンバかどうかを問わない)と同様に、The Open Group(旧X/Open)の認可プロセスを経て認可されたUNIXシステムを配布している。

支援方法

この商標を正しく使う方法を簡単に説明しよう。つまり、商標には(R)記号を使用し、「米国およびその他の国において、UNIXはThe Open Groupの登録商標です」という所有者確認をすべての印刷物で使用し、自身のWebにも表示し、同僚や友人にも同じことをするように啓発する、ということだ。

システムを購入する際には、ベンダに適合証明書を要求し、認定されていることを購入時の必要条件とする(すべての主要なオープンシステムは認定されており、UNIXシステムもその1つだ)。

参考

SCOのIPクレームに関する論議について:

http://mozillaquest.com/Linux03/ScoSource-02_Story01.html

http://mozillaquest.com/Linux03/ScoSource-02_Story04.html#CommunityResponds_SCO-Caldera_IP_Claims

http://mozillaquest.com/Linux03/ScoSource-02_Story04.html

Austin Groupについて:

http://www.opengroup.org/austin/

LSB認定と試験情報について:http://www.opengroup.org/lsb/cert/

http://www.opengroup.org/testing/lsb-test/

商標情報について:

http://www.opengroup.org/legal.htm#trademarks