OSI代表、SCOの発言に抗議

SCOは最近のプレスリリースで、5月2日(金)に起きた同社のサーバに対するサービス拒否攻撃(DoS攻撃)が、Linuxコミュニティの仕業である可能性を示唆した。これは根拠のない中傷に過ぎず、まったくの事実無根である。

この発言を真に受けてしまいそうなら、Linuxコミュニティや、あるいはもっと規模の大きいオープンソースコミュニティが、過去にそのような行動を起こした経歴がないことを思い出して欲しい。我々がそういった手口で戦うとすれば、既に何年か前、Windowsの脆弱性を突いて、はるかに大規模な相手に重大なダメージを与えているはずだ。

ニュース記事によれば、この攻撃によって処理不能に陥ったのはWindowsマシンだ。であれば、この攻撃を仕掛けたのはLinuxコミュニティの何者かではなく、むしろ我々に共感し、「善人」のために戦うことを決意した反Windows派のグループが、Windowsシステムを攻撃したと考えたほうが納得がいく。もしそうなら、見当違いのおせっかいなどお断りだ。Linux派のクラッカー諸氏に告ぐ。今こそ戦いから身を引き、無意味な攻撃をやめるべきである。我々は間違った行動を認めないし、そのような手助けなどなくても善人でいるつもりだ。

誤解のないようにはっきりと申し上げておこう。Linuxコミュニティのメンバーは、DoS攻撃やその他の犯罪行為を、論争のための正当な戦術であるとは決して考えない。我々はオープンソースがより優れた開発モデルであるという共通の信念のもとに活動している。卑怯な戦い方をすることは我々のプライドが許さない。

最後に、世論という法廷において反Linuxの評決(SCOの言い分は裁判沙汰に値しないことを事実[1]が示しているにもかかわらず)を勝ちとるべく、中傷やほのめかしを企てているSCOよ、恥を知れ。

この記事を私が単独で書いたのは、このニュースが話題になっている間に間違いを否定しておきたかったからだ。だが、Linuxや他のオープンソースコミュニティのリーダーたちも、SCOの告発を拒否し、我々が敵にDoS攻撃を仕掛ける可能性を否定する私の考えに、間違いなく同意するはずだ。

戦いに勝つのは我々である。だが、SCOを攻撃するような卑怯なやり方はしない。彼らの滑稽な告発に議論で対抗しながら、自由な市場で競争を続ける。

── Eric S. Raymond
Open Source Initiative(OSI)代表
www.opensource.org

[1] 「OSI Position Paper on the SCO-vs.-IBM Complaint」
(http://www.opensource.org/sco-vs-ibm.html)を参照。
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