レビュー:AMD Opteron対応のSuSE Linux Enterprise Server 8.0

新バージョンのLinuxが発表されたときには、どんな新機能や改良が加えられたのかという点に注目が集まるのが普通である。しかし、SuSEが発表した最新リリースでは、新機能を追加することではなく、AMD Opteronというまったく新しいハードウェアプラットフォーム上でLinuxを使用できるようにすることに焦点を当てている。この新システムにひととおり触ってみたところ、かなりの好印象を得た。

筆者は過去数年間、いくつもの非x86アーキテクチャ上でLinuxを使用してきた。実際、この原稿を書いているときにも、右側にはLinuxを搭載した旧型のDEC Alphaマシン、左側にはLinuxを搭載した旧型のSun SPARCstation 10マシンが置いてある。したがって、LinuxはPC以外のマシン上でもまったく問題なく動作するということはよく承知している(もっとも、起動させるまでには少々の紆余曲折があるのだが)。

しかし、今回の話は状況が少々異なっている。Opteron対応のLinuxということは、Linuxを完全に別のアーキテクチャに移植するのではなく、拡張された64ビットのx86アーキテクチャに移植する(それも従来のx86 32ビットアプリケーションとの互換性を維持しながら)ということだ。このような魅力的なアップグレードパスを実現するがゆえに、Opteron対応のLinuxは、比較的短い期間のうちに最先端からメインストリームへと発展することになると思われる――ただし、それはこのプラットフォームが本当に期待どおりの性能を発揮できればの話である。現時点では、AMDのOpteronは、IntelのIA64に対する強力なライバルと見られている(後者は従来のx86アーキテクチャをしばらくは脅かしそうにないから、というのがその理由の1つである)。

使用マシン

本レビューで使用したOpteronマシンは、米『Linux Magazine』のJason Perlowの厚意で使わせてもらったものである。本マシンはAMDから提供されたもので、SuSE Linux Enterprise Server 8.0 for Opteronがプリロードされていた。このスリムな1Uケースは、6GBのRAM(最大16GBに対応)と、36GBのUltraSCSIディスクが2台、そしてOpteron 242プロセッサが2台(いずれも1.6GHz、キャッシュは1MB)という構成だった。ケースの外側には、Gigabit Ethernetポートが2つと、システム管理用の10/100 Ethernetポートが2つ用意されていた。

このマシンは最初からSuSE Linux Enterprise Serverがプリロードされた状態になっていて、他の人とも共有で使っていたので、インストール手順を試すことはできなかった。しかし、このマシンがプリロードされた状態でやってきたという事実は、今後のあるべき姿を示していると言える。これからは、プリロード済みですぐに使用できるLinuxマシンというものがもっと必要になってくるだろう。

見た目はまったく同じLinux

マシンにログインして最初に気付いたのは、筆者が望んでいたとおりのこと、つまり「何も変わったところに気付かない」ということだった。一見した限りでは、KDE 3インタフェースを使った「powered by United Linux」の典型的なSuSE Linuxサーバそのものである。非常に高速に感じられるという点以外は、特に目立った違いはない。美的観点からすれば、取り立てて言うこともない普通のソフトウェアである。

誤解されると困るのだが、この「普通の」という表現は誉め言葉である。さまざまな設計物について語るとき、「普通」ということは美点である。何かを「おもしろい」と感じた場合、それは古いものと新しいものの間に顕著な違いがあるということだ。そして、その「違い」をどこかで埋め合わせなければならなくなるので、最も望ましい状態とは言いがたい。

しかし、今回に関してはその心配がない。ルックアンドフィールはx86のSuSE Linuxマシンとまったく同じであり、それは素晴らしいことである。

簡単な移植テスト

次に、いくつかのソフトウェアをコンパイルしてみた。このテストでは、x86のLinuxマシンと64ビットAlphaのLinuxマシンの両方で正常にコンパイルできることが確認されているソースコードを使用した。これらはX Windowライブラリにリンクしなければならないソースコードなので、よくある「Hello World」アプリケーションよりもはるかに複雑である。

既存のビルドコマンドファイルを使ったコンパイルは失敗したが、一部分を編集してみたら、そのコンパイルコマンドで正常にコンパイルすることができた。既存のgccコマンドでは、X11ライブラリにリンクするために次の構文を使用していた。

gcc [blah blah blah...] -L/usr/X11R6/lib -lX11

Opteronマシン上では、このライブラリの場所を次のように微妙に変更しなければならなかった。

gcc [blah blah blah...] -L/usr/X11R6/lib64 -lX11

これは頭を悩ませるような変更ではないが、変更であることは間違いない。もっとも、このコードは非常にすばやくコンパイルされた(筆者の750MHzのDuronで同じコンパイルを行ったときの約3倍の速さ)。さらに、コンパイル結果のプログラムはまったく予想どおりに、きわめて高速に実行することができた。

次に、ごく簡単ながら重要なテストを行った。筆者のAMD Duronマシン上でプログラムをコンパイルし、その実行可能ファイルをOpteronマシン上に移してみたのである。このファイルも問題なく実行することができた。同様に、Jasonがx86版のSuSEからいくつかのRPMをインストールしてみたところ、特に問題は起きなかったそうだ。このx86のバイナリファイルを使用できるという機能こそ、まさにユーザが望んでいるものである。

少々の問題

Jasonによれば、VNCserverなどいくつかのパッケージはOpteronマシン上でsegmentation faultを起こしたということだ。しかし、そのプロジェクトのWebページから新しいキットをダウンロードしてソフトウェアをインストールし直せば、問題は解決されるようである。

エラーログにはノースブリッジ周りのエラーがいくつも記録されるが、ユーザにとってそのエラーが障害になるということはない。筆者はAlphaマシン上でLinuxを使用しているユーザの1人だが、これらのメッセージが特に邪魔になったことはない。新しいハードウェアに移植したばかりのころはユーザに見えない小さな問題がしばしば含まれているものだが、通常はその後のアップデートで修正されていくはずである。

結論:「普通」はすごい

一連のテストの結果、SuSE Linux Enterprise Server 8.0 for Opteronは我々のニーズを満たすものであるという結論に達した。これはx86製品と同じルックアンドフィールを持ちつつ、64ビットの性能と処理速度を備えている。Jasonの言葉を借りれば「激速」である。ソフトウェアの再コンパイルは簡単で、既存のx86のバイナリファイルも問題なく実行できる。いくつかのRPMは置き換えが必要だが、これが深刻な問題になることはおそらくない。

64ビットLinuxへのスムーズなアップグレードパスを探している人ならば、SuSE Linux Enterprise Server 8.0 for Opteronを検討する価値があるだろう。

Russell Pavlicek:Linuxを専門とするコンサルタント/ライター。毎週放送のWebキャスト『The Linux Show』のパネリストで、Linux関係の多数のWebサイトに寄稿。以前は雑誌『InfoWorld』でオープンソースについてのコラムを執筆。