Ellisonはオープンソースの福音の使者か?

このところ、米Oracleはオープンソース開発に積極的に資金を投入する動きを見せている。ここ数週間、同社のCEOであるLarry Ellisonの発言を取り上げた「 Oracle ups Linux efforts with ISV program(Oracle社、ISV向けLinux開発支援プログラムを発表) 」や「 Linux will wipe Microsoft out of data center(Linuxはデータセンター分野でMicrosoftを駆逐する) 」といった記事が発表されている。はたしてEllisonの目的は何なのだろうか。

これは、ビジネス上の決断において大きな失敗をほとんどしないことで有名な敏腕経営者の言動である(もっとも、筆者としては、彼がLinuxベースのいわゆる「ネットワークコンピュータ」のハードウェア販売を目的として設立した米New Internet Computer Companyについては首を傾げざるを得ない。おそらく、同社がまだ存続しているという事実そのものが、結局は彼の決断の正しさを証明しているのだろう)。

建前上は、米Oracleが特定のプラットフォームに肩入れしても何も得することはない。同社の名を冠したデータベースは、WindowsやLinux上で動作するだけでなく、三大商用Unixをはじめ、他のオペレーティングシステムのホスト上でも動作する。同社はどのオペレーティングシステムにも対応する立場なので、EllisonがLinuxの肩を持っても何も得るものはないように見える。

しかし、データベース市場を底辺から見上げてみると、また違った構図が見えてくる。Linuxデータベースの市場は、Windowsサーバーデータベースの市場に比べてはるかに未熟である。今日では、LinuxベースのDBMSを必要とする組織向けの 優れたデータベース が(オープンソースでも商用製品でも)いくつか登場している。Ellisonはこの成長しつつある市場で購買層の心をつかみ、シェアを確保しようと考えているのである。この目論見どおりにいけば、今日の投資は数年後の利益増につながることだろう。

同社はMySQLやPostgreSQLを駆逐しようとしているわけではない。米IBMや米Sybaseといった数年来のライバル企業が手にしているのと同様のもの――つまり 米IBMのDB2 for Linux や 米Sybase の一連のLinux製品――を手に入れるために投資しているのである。

Oracleの最も強力なライバルは、サーバーシステムやデスクトップOSも手がける米MicrosoftのSQL Serverである。SQL Serverの勢力を削るための1つの方法は、SQL Serverが動作するOSの売上げと市場占有率を低下させることだ。これが、米OracleがLinuxソフトウェア開発者を支援するもう1つの理由である。

Linuxソフトウェアの企業家にとってはなんとも恵まれた時代と言える。IDGによれば、「米OracleはISV側の投資額1ドルに対して2ドルを提供し、さらに、販売促進のために顧客リストを共有し、同社のWebサイトを通じて各ISVのLinuxソフトウェアを販売する予定」であり、「移行ツールの使用は無料」ということである。これがいつまで続くかはわからないが、チャンスは利用するべきである。