ネイチャーポジティブ実現に向けての大きな一歩
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写真:ラムサール条約湿地のサロベツ原野に隣接して建設された風車群
公益財団法人日本自然保護協会(理事長:土屋俊幸/以下、NACS-J)は、生物多様性を守りながら気候変動や自然災害による被害を緩和するなど、自然の力を活かし社会課題の解決を目指す「NbS(Nature-based Solutions)」の実践に力を注いでいます。とりわけ、生物多様性保全と気候変動対応の両立を目指す活動は、NACS-Jの主要な取組みのひとつです。
NACS-Jは、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社(以下、MS&ADホールディングス)と2024年9月に「ネイチャーポジティブ実現を目的とした協定」(以下、本協定)を締結しました。NACS-Jは、本協定に基づき、特に陸上風力発電事業計画に関わる科学的な調査・分析結果をMS&ADホールディングスと共有し協同して取組みを進めてきました。
この度、連携パートナーのMS&ADホールディングスは、グループのサステナビリティの考え方を改訂するリリースを発表しました。具体的には、MS&ADホールディングスが、自然資本や地域社会にマイナス影響を与える可能性のある事業に対して実施している「環境・社会リスク評価」に、国内の「太陽光発電所」「陸上風力発電所」「バイオマス発電所」を新たに追加するというものです。
MS&ADホールディングスは、これらの対象事業に対して「環境への配慮状況等を踏まえ、慎重に取引の可否を判断し、課題が発見された場合は解決に向けたソリューションを提案」していくことになります。この評価のうち生物多様性への影響については、NACS-Jが有する自然環境や災害面への影響度に関する独自の調査・研究に基づく知見を活用します。
MS&ADホールディングスのリリース
2024年12月6日発表のMS&ADホールディングスのリリースページ(PDF)に移動します。
気候変動は、あらゆる生態系と人間社会に影響を及ぼす課題として世界が一丸となった対策が急務です。一方、気候変動対応として急増する再生可能エネルギー関連事業のなかには、生物多様性へ悪影響を及ぼすものも多く、国際的にも問題となっています。
近年、日本国内では、再生可能エネルギー関連事業のなかでも陸上風力発電事業計画が、件数、規模共に増大しており、各地で生物多様性や生活環境面で懸念の多い計画が増えています。「ネイチャーポジティブ」が2030年までの国際目標になった今、生物多様性に不可逆的で大きな悪影響を与えてしまう再生可能エネルギー事業は、決して「再生可能」とは言えません。
保険事業や投融資を本業とするMS&ADグループのこのような取組みは、ネイチャーポジティブの実現に向けた大きな一歩です。NACS-Jは、これからもMS&ADホールディングスとの連携を強化し、NbSの取組みをさらに推進し、真の意味でのネイチャーポジティブ実現を目指していきます。
※NACS-Jは、2023年4月と2024年9月に、陸上風力発電事業計画による生物多様性への影響を科学的に詳細に分析したレポートを公表しています。特に生物多様性に悪影響を及ぼす計画については、事業者との対話も積極的に進めています。
参考:大型陸上風力発電計画の自然環境影響レポート2024の公表
<参考>公益財団法人 日本自然保護協会について自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。
http://www.nacsj.or.jp/