生成AIを活用してカーボンクレジットの品質を評価するシステムの構築について

 大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原 正隆)は、生成AIを活用してカーボンクレジットの品質を評価するシステムを、世界に先駆けて*1構築しました。

 カーボンクレジットは、二酸化炭素(以下「CO2」)などの温室効果ガス(以下「GHG」)の削減・除去(吸収)量を、国家間や企業間で取引できるように認証されたものです。カーボンクレジットは主に、既存設備からより高効率な設備への更新などにより創出される削減系や、植林・バイオ炭の農地への施用など、植物や土壌にCO2が固定され、大気からCO2を除去することにより創出される除去(吸収)系に分類されます。
 近年、各企業などにおいては、カーボンニュートラルに関する計画を達成するための手段として、GHGの削減努力をした上で、どうしても減らせないGHGの排出量をカーボンクレジットでオフセットする動きが増えています。そのため、2030年には世界で最大100兆円規模*2のクレジットが必要という試算もされており、今後もクレジットの開発は加速していくと見込まれています。
 一方で、カーボンクレジットの品質を適切に評価することは、グリーンウォッシュや価格の変動リスクを回避するうえで非常に重要であり、ビジネス上においても利点となりえます。

 当社は、生成AIによりカーボンクレジットの品質を評価するシステムを構築しました。今後、適用可能なクレジットの分野を拡大していく予定です。
 本システムでは、カーボンクレジット創出プロジェクトの計画書を生成AIで分析し、実際のクレジット認証時に設けられている基準と、イニシアチブや格付会社が設定する基準との整合性を評価することで、品質を評価します。精度については、格付会社などにより過去に評価された結果と比較した範囲では、高い精度を実現していることを確認しています。また、AIを駆使することで膨大なカーボンクレジット創出プロジェクトを網羅的に評価することができるため、今後はカーボンクレジット創出プロジェクト間の品質の相対評価も実現できる可能性を有しています。
 これにより、従来第三者に初期評価を委託する場合では、一般的に1~2か月を要していた期間を、数十秒程度に飛躍的に改善することが可能となります。
 今後は、評価精度の向上など更なるシステム開発を継続するとともに、関連する企業の皆さまとの本システムの更なる改良や、適用分野拡大などに向けた共同開発を進めることも想定しています。このような取組みによって、質の高いカーボンクレジットをお客さまにお届けします。また、本システムのライセンス提供や、クレジット取引プラットフォームを形成してその中で活用するなど、パートナーと連携しながらあらゆる可能性を追求し、社会全体でのグリーンウォッシュの回避や最小化に貢献したいと考えています。

 Daigasグループは、2021年1月に発表した「カーボンニュートラルビジョン」や2023年3月に発表した「エネルギートランジション2030」のもと、脱炭素社会に貢献する技術・サービスの開発に取り組み、気候変動をはじめとする社会課題の解決に努め、暮らしとビジネスの”さらなる進化”のお役に立つ企業グループを目指してまいります。

*1:当社調べによる
*2:カーボンクレジットの世界市場レポート 2024年(株式会社グローバルインフォメーション)よる

1.開発した生成AIによるカーボンクレジット品質の評価システムについて
・カーボンクレジット創出プロジェクト(PJ)の計画書を開発したAIで分析
・100を超える基準との整合性を評価(1.)することで、カーボンクレジットの品質を評価
・AIにより膨大なプロジェクトを網羅的に評価することができるため、今後はプロジェクト間の品質の相対評価(2.)も実現できる可能性がある

画像1

2.本システムの利用イメージ
・カーボンクレジットの創出は、クレジット創出プロジェクト(PJ)計画書に基づく認証期間による認証 →プロジェクトの開発(クレジット創出) →クレジットの発行と格付機関による格付 →取引 の流れで進む
・クレジットの開発が始まる前段階から本システムにより多くのプロジェクトを事前評価することで、良質なプロジェクトを選別して、出資やクレジット買い付けを迅速に意思決定できる
・クレジットの取引前の段階で本システムによりクレジットの品質を評価することで、グリーンウォッシュなどの品質リスクを簡便に確認できる

画像2

リリース詳細
提供元: PR TIMES