OSDLの役割の変化

OSDLがアジアと欧州に軸足を移すという話はOSDLのリストラの件の時にも書いたが、ITmediaのBlogを見て欧州でのOSDLへの見方の点でちょっと謎に感じた。

OSDLは元々は日米のIT系ビッグベンダーが主導でエンタープライズレベルへLinuxを引き上げるために作られた技術色が強い企業連合的な組織である。取り組んでいた事業はLinuxカーネルという世界に限っても参加主要ベンダーが必要とするかなり局所的なことだけであるし、組織の性格的にもオープンソースの世界にフィットするには時間がかかったように思う。また、資金的な配分を考えれば、日米が突出しているわけで、これらのことから日米にオフィスがあったのは自然な流れだった。欧州にはIBM, NEC, Fujitsu, Hitachi的なベンダーがあるかと言われると、全く思い付かないわけである。また、そもそも欧州は気風的にもフリーソフトウェアが浸透している地域であると思うが、そこでわざわざエンタープライズという領域に絞って活動する組織の必要性が薄いということもあるかもしれない。中小のオープンソースベースのコンサル系企業は欧州では普通にありふれているように思うが、その世界ではエンタープライズというキーワードにこだわる必要もなかったのではないだろうか。

過去のOSDLはそんなものだと思うが、SCO騒動とLinusという広告塔を得たあたりから組織の役割が徐々に変わってきている。前の日記でも書いたように、技術組織からマーケティング組織への移行の過程でリストラが行われたわけであるし、またオープンソースのマーケティング組織となることで今度は日米というより、アジアと欧州に力を入れざるを得ないという状況になっているのだと思う。アジアはもちろん日本ということではなく中国のことであり、中国の巨大市場を見据えたシフトだと見れば理にかなっている。また、欧州は公共機関を中心としたオープンソースへの前向きな市場があるわけで、そこでLinusを擁するオープンソース組織という看板は使い道が多いだろう。

それにしても我々OSDNの名前は変えたほうがいいかなぁ…。我々のほうが古いのだが、OSDLと間違えられるのは勘弁してほしいと思う時も多い。OSDNはメディアだもんなぁ。