本家/.の記事(eReader.com Limits E-book Sales To US Citizens)を読んで思ったこと。本屋が電子ブックを米国外の人に売ってくれないので困ったねという話。
私はSonyのPRS-505という電子ブックリーダーを使っている。以前用事でボストンに行ったときにたまたま見かけて、大枚300ドルはたいて衝動買いしたものだ(日本では発売されてないみたい)。見た目はこんな感じである。かっこいいんですわこれが。少なくともKindleよりは。
e-inkの画面は、紙と同じかどうかはともかく液晶よりははるかに目にやさしいし、電池も長持ちだ。最近は飛行機に乗るとラップトップなんか出さずにこればっかりである。しかも中身は実はMontavista Linuxであって、工夫すると中がちょっとだけいじれる。フォントを入れ替えると日本語の書籍もどうにかこうにか読めるようになったりして楽しい。あまり実用的ではないけれど。
ということで、買った当人としてはブツには大変満足していたのだが、問題はコンテンツのほうである。意気揚々とホテルに引き上げてきて、翌日のプレゼンも作らずに封を開け、さてSonyのeBook storeで新刊本を買いまくるかと思ったら、なんとアメリカ国内に住所がないと売ってくれないというわけですよ。カード払いなんだから国なんかどこでもいいじゃねえか。
いっそホテルの住所でも入力してやろうかと思ったが、幸か不幸か古典は100冊までタダというキャンペーンをやっていて、私は古典のほうが好きなものだからそれでいいやということになってしまった。で、今までせっせとダウンロードしていたのだが、そろそろ100冊いきそうである。
こうなると後はオークションに売っぱらうくらいしか手がなくなるのだが、ここで救いの手を差し伸べてくれるのがフリーソフトウェアだ。このCalibreはGPL’dなんだが、実によく出来ている(GNU/LinuxでもWindowsでも使える)。特に、いろいろなサイトからコンテンツを落としてきて適当に電子ブック形式にしてくれるのが秀逸で、今や私のかばんには、最新のNY TimesとWall Street Journal、そしてもちろんThe Onionに加え、Ars TechnicaやThe Register、Wiredといった技術系メディア、Business WeekやNewsweek、The Economistといった経済系の雑誌、The New YorkerやThe Atlantic、New York Review of Booksといった読み物雑誌などなど数十種類の新聞雑誌ウェブサイトの類が、PRS-505の中にところ狭しと詰め込まれて入っている。重さはもちろん0グラムだ。おかげさまでこのところ読むものには全く不自由しません。
そんなわけで、とりあえずCalibreのおかげで便利に使えてはいるものの、できれば新刊書も読みたいし、そもそも日本語の本だってPRS-505上で読みたいのである。読みたがっていて金も出したがっている人間が現にここにいるのに売らないという了見が、私には分からない、Sonyにしろ、その背後にいる出版社にしろ。そここそが商売の工夫のしどころだと思うのだが。
ということで、そのうち改めてまじめに書くかもしれないが、とりあえずのまとめ:
- 買いたがってる人間に売らないほどバカな話はない。
- 買いたい人間が買いたいように売らないのもバカな話だ。
- 出版不況だなんだというが、ようするに売り方を間違えてるだけじゃないのか。
- フリーソフトウェアは偉い。