アホなEULAについて

さまざまなソフトウェアのEULAを、どれだけのユーザがきち んと読んで理解しているか、というのはそれなりに興味深い問題だ。

フリーソフトウェアやオープンソース・ソフトウェアのユーザは、GNU GPLや BSDライセンスといった主要ライセンスに関しては、なんだかんだ言って大まか には理解していると思う(そう思いたい)。少なくとも、そういったライセンス があることくらいは知っているだろう。これがWindows用などのプロプライエタ リなソフトウェアになると、たとえインストール時にダイアログが出てきて EULAへの明示的な同意を求められたとしても、ほとんどのユーザはまるで読ん でいないのではないだろうか。

最近ではさらに状況が悪化して、どうやらライセンサーたる著作権者も、 他でもない自分が提示したEULAをろくすっぽ読んでいないら しい。CNET の記事によると、最近までWindows用SafariのEULAには以下のように書いて あったそうだ。

The software allows you to install and use one copy of the Apple Software on a single Apple-labeled computer at a time.(強調は筆者)
というわけで、Appleというラベルのついたコンピュータ(Macということか?)で ないと、Windows用Safariをインストールするのは厳密には ライセンス違反ということになる。言うまでもなく、Mac用のEULAをコピーして 字句を直すのを忘れたということなのだろうが、ずいぶんマヌケな話だ。と言っ てもEULAというのはちゃんとした契約書なのだから、これはあんまり笑いごと ではないのである。

ところで、私の密かな趣味はいろいろなソフトウェアのEULAを集めて読むこと なのだが、日本のプロプライエタリ・ソフトウェアのEULAにもずいぶん妙なこ とが書いてある。最近見て困惑したのはバッファローのデバ イスドライバのEULAで、以下のように書いてあった。

第6条 その他
1.お客様は、本ソフトウェアを日本国外に持ち出すことはできません。

このところ私は海外に行くことが多いのだが、これを文字通り読めば、ドライ バをインストールしたラップトップを国外に持ち出したとたんにいきなりライ センス違反を犯すことになる。せめて、「海外での使用を禁ずる」くらいにし ておいてくれればよかったのだが(ドライバだし、それでも厳密に言えばまずい と思うが)。ちなみに気の利いた企業だと、「使用者は、本許諾ソフトウェア等 を日本国外に持ち出して使用する場合、対象となる国内外の輸出管理規則、法 律および命令に従うものとします。」くらいにしているようだ。