世界的に見ると、ブログを書くだけで生計を立てているという人が増えてきているようだ。最近だとRead/WriteWebというブログをやっているRichard MacManusの話が面白かった。
私は不勉強でこの人のブログを知らなかったが、なんでも「世界で28番めに人気のあるブログ」なんだそうである。日本のCNet Japanがわざわざ翻訳して掲載するくらいだから、その筋では相当な人気のようだ。元は企業のウェブマスタをやっていたが、2003年からこのブログを始めて、今ではこれ一本で食っているらしい。彼自身はニュージーランドに住んでいるが、今では無給の寄稿者数人に加え、シリコンバレーに「特派員」まで置いて記事を書かせているそうだ。
MacManusは言う。得意分野の最新知識が豊富なのは当たり前。他の人気ブロガーのブログにコメントを付け、メールを送り、地道にブロガーコミュニティで地位を築いていかなければならない。ちょうどいいタイミングでちょうどいいことを書いて脚光を浴びる、そういったチャンスを逃さないというのも重要。また、一日に何度も頻繁に更新しなければならない。朝から晩までモニタに張りついていなければならないわけで、ブロガー暮らしも本気でやると楽じゃない。競争も実は激しい。そして何より重要なこと、ブログを始めてからそれなりの金が入ってくるまでには時間がかかる。彼の場合、広告のオファーが来るなどTipping Pointを迎えたのが2006年と言うから、とりとめがつくまでに3年ほどかかったということになろうか。よほどまめでなければ続きそうにない。ただ、基本的に書きたいことを書けばいいし(自分が面白いと感じるネタでなければ他人がわざわざ読むはずもない)、仕事と遊びの区別は曖昧だ。しかもいったん軌道に乗れば、雪だるま式に読者は増えるものらしい。
ひるがえって日本の状況はどうかと言うと、知り合いで何人か、いわゆる「アルファブロガー」と呼ばれるような人がいるが、見たところ彼らの主たる収入源はブログから直接的にもたらされたものではない(間接的にはいろいろプラスはあると思うけれど)。私自身はと言えば、ここを含めていくつかのブログに書いているが、本業の手前あまり手が回っていないし、結果として金銭的には全然儲かっていない。まあAmazon.co.jpのアフィリエイトで趣味のCDが月に何枚かロハで買えるようにはなったが、注ぎ込む労力、とりわけ時間に比べればあまり報われていないような気もしている。我ながらうんざりするほど遅筆なのがうらめしい。Google AdSenseの収入で食べているという人の噂も耳にはするし、テレビでも紹介されたりするようだが、実際にお目にかかったことはない。どうも見たところ、そういう方向を狙うと大衆迎合というか、自分の書きたくないことまで書かざるを得ないようで、それはそれで人生面白くないような気もする。
それはさておき、ブログを商売にしようというのは最近の流行のようで、海外だとFederated Media、日本でもアジャイル・メディア・ネットワークなどいくつか出てきたようだ。「ブログ・シンジケート」と言われるもので、有力なブログを束ねることで広告収入を増加させようというものらしい。まだ海のものとも山のものともつかないが、今後の動向に注目している。こうした動きが成功し、安定的な収入源を確保して初めて、私たち個人が、旧来のメディアに対抗しうる力を持つことになるだろうから。