「Fedora 21」が公開、Cloud、Server、Workstationの3エディション構成に

 12月9日(米国時間)、The Fedora Projectによる最新のLinuxディストリビューション「Fedora 21」がリリースされた。Fedoraのモジュラー化を進めるイニシアティブ「Fedora.next」の下で開発された初のバージョンとなり、サーバー、ワークステーション(デスクトップ)、クラウドという3種類のエディションが用意されている。

 Fedora 21は2014年2月に公開された「Feodra 20」に続く最新版。Fedoraは2013年8月に敏捷性や柔軟性の強化に向けたモジュラー化構想であるFedora.nextイニシアティブを発表していた。また、Fedora Projectはその後新しいプロジェクトリーダーも迎えており、Fedora 21は新イニシアティブと新リーダーの下で開発が進められていた。

 本バージョンからは、ユーザーのニーズと用途に合わせて「Fedora Cloud」および「Fedora Server」、「Fedora Workstation」の3エディションが用意される。これらはLinuxカーネルやRPM/yumといったパッケージ管理機構、サービス管理機構であるsystemd、Anacondaインストーラなどを含む「Fedora Base」を共通の土台とし、それぞれの作業グループ(Cloud Working Group、Server Working Group、Workstation Working Group)が固有の機能を開発した。

 Fedora 21 Cloudは仮想マシン上での動作を前提とした、ハードウェア向けドライバなどを含まないクラウド向けエディション。OpenStackなどをベースとしたプライベートクラウド環境向けのイメージ、Amazonなどのパブリッククラウド向けのAMI、それにDockerコンテナ向けに簡素化した「Atomic」イメージが用意されている。Atomicイメージは、Red Hatが4月に発表したコンテナ向け軽量OSプロジェクト「Project Atomic」をベースとし、コンテナ管理技術として「Kubernetes」と「Cockpit」を含む。

 Linuxカーネルは仮想化環境で運用するための最小限のモジュールとその他の一般的なインストール用のモジュールの2つに分かれており、Fedora 20のクラウドイメージと比較すると容量を25%も削減したという。

 Fedora 21 Serverは、ファイルサーバー、Webサーバー、データベースサーバー、IaaS向けのプラットフォームを含む、さまざまなサーバー用途向けのエディション。本バージョンではサーバー管理技術が新しくなり、管理作業を効率化するためにロール(役割)ベースの実装・管理ツールキット「Rolekit」やサーバー設定・モニタリングユーザーインターフェイスの「Cockpit」、DMTF-CIMベースのリモート管理システム「OpenLMI」の3技術を新たに導入した。

 また、Rolekitの一部として、FreeIPAのLinux/UNIXネットワーク環境向けIDと認証ソリューション技術を含む「Domain Controller Service」が導入された。ネットワークセキュリティに必要なユーザー、ユーザーグループ、ホストなどのデータを保存し、認証/権限/アカウント情報を一元管理できるという。

 Fedora 21 WorkstationはFedora desktopからのリニューアルとなり、よりターゲットを絞ることで機能を洗練させたデスクトップ環境となる。「GNOME 3.14」を採用し、Waylandの実験的サポート、HiDPIのサポート、アプリケーションの発見とインストールを行う「Software Installer」の強化などが図られた。

 Workstationでは開発者向け機能の強化も特徴となり、Terminalアプリケーションを強化するとともに「DevAssistant」を導入した。DevAssistantは「Fedora Software Collections」を統合した支援機能で、さまざまなプログラミング環境を迅速に設定することができるという。多数の言語ランタイムとIDEの設定プロセスを自動化し、システムソフトウェアとの対立を気にする必要もないという。

 また、Webサービスとの統合も進め、一般的なアプリケーションのようなウィンドウ内でHTML5ベースのWebサービスを動かせるようになった。デスクトップの拡張のような自然なルック&フィールを提供することで、生産性を改善できるという。この分野は今後も強化する予定としている。

 Fedora 21はプロジェクトのWebサイトより入手できる。

The Fedora Project
https://getfedora.org/