Caminoブラウザをカスタマイズする際の必見サイトPimpMyCamino

 Mozillaをベースとして立ち上げられたMac OS X用Webブラウザプロジェクトである Camino は今も成長を続けており、そのプラグインやアドオンも PimpMyCamino にて多数公開されるようになっている。実のところこのPimpMyCaminoはCamino開発陣からのオフィシャルな承認を得たサイトではないのだが、同プロジェクトのWebサイトはこれを「Caminoアドオンの総合ショップ」と呼称するまでになっているのだ。

 現状でCaminoのカスタマイズ手段は、オープンソース系ブラウザの先達であり従兄弟でもあるFirefoxほどの品揃えには達していないものの、後者の有す優れたルック&フィールを取り入れるためのオプションは各種存在するようになっている。そしてこうしたCamino用のプラグインは、外見的な変更を施すためのタイプと生産性を向上させるためのタイプの2つに大きく分けることができる。本稿ではこの大分類に従って、具体的にどのようなものが存在しているのかを個別に解説していくことにしよう。

ブラウザの外見に変更を加えるタイプ

 Caminoで使われているアイコン群はデフォルトのままでも充分に洗練されたレベルに到達しているが、その他にも実に45以上もの追加アイコンセットを利用することができる。アイコンの選択などはユーザ各自の好みがもろに反映される分野なのだが、これだけの選択肢が存在すればかなりの確率で自分の趣味に合うものを見つけられるのではなかろうか。これらの中には例えばCamino用のGraphiteやAmsterdam Purpleなどの配色だけを変えたアイコン群も存在するが、BluesoullightやCubeなどはアイコンの形状を変えたセットとなっている。その一方でアイコンデザインを根本的に異なる趣に変更したセットも一部存在しており、例えばGANTでは3Dデザインを強調したグラフィックスが採用されているし、FooodはMicrosoft製品で使われている丸みのあるブルー系アイコンをモチーフにしたアイコンセットである。

 こうしたアイコンセットをCaminoにインストールする手順そのものに特に難しい点はないが、ブラウザ上に新しいアイコンを表示させるには、事前にビジュアルテーマエディタCaminiconをダウンロードして必要な処理を施さなくてはならない。具体的なアイコンセットのインストール手順はWebサイトにその詳細が解説されているが、この手順さえマスターしてしまえば、新たに気に入ったアイコンセットを見つけるごとに簡単にインストールできるようになるはずだ。

 タブを用いたブラウジングが一般化して久しいが、タブ用のテーマ開発に対する関心はそれほど高まっていないのかもしれない。それと言うのも、デフォルト設定下のCaminoにおけるタブ表示はブラウザウィンドウの基本色と同じ地味なグレー系一色で、アクティブなタブだけが若干明るめに表示されるだけなのだ。実際この配色は、タブを閉じる際に一見しただけではどれが開いているタブなのか識別しにくいという欠点を抱えているのであるが、こうした不備を解消するにはアクティブなタブを他より目立たせるようにすればいいはずである。

 こうしたタブ用のテーマも40種類近くが用意されてはいるものの、実用性という点で考えると使い物になる数は限られてくる。例えばAqua Blue Tabsなどはデフォルトのカラーが暗すぎて文字が判別しにくいのだが、このテーマについては配色のトーンダウンをする方向での改修がその後も繰り返されており、再リリースされたAqua Tabs RevisitedおよびAqua Tabs Revisited 2になるとテキストの視認性は大幅に向上している。その他にもエメラルドグリーンを基調としたタブテーマもあれば、同じグレー系のテーマであってもライトグレーやダークグレーなどの多様な選択肢が存在しているし、あるいはPlastic Tabsというアクティブタブを真っ白にする方向性で作られたタブテーマも利用することができる。ここでは最後にもう一度、こうしたテーマのうち実際に何を選ぶかは各自の好みで決まるという点を強調しておこう。

 FirefoxとCaminoを頻繁に切り替えて使用するユーザの場合、Caminoにてタブを閉じるボタンの配置がFirefoxとは逆になっている点に不満を抱いているかもしれない。つまりタブ上のクローズボタンはFirefoxでは右端に置かれているのに対してCaminoでは左端になっているのだが、この問題については、より目立つ形でクローズボタンを表示させることで対処しようという発想で作られたRed Close Tab Buttonというプラグインが存在している。ちなみにこのプラグインは私がCaminoにて最初にインストールしたものの1つであり、それは実際のクローズボタンとは正反対の位置をついつい何度もクリックしてしまうフラストレーションに耐えかねてのことだった。こうしたものは機能的にはごく些細な変更でしかないのだが、実際に使ってみると無駄な操作をかなり省いてくれることが分かる。

 ソフトウェアをカスタマイズする際には細部に至るまで徹底的にこだわるというタイプのユーザもおられるだろうが、PimpMyCaminoにも20以上のアプリケーションアイコンが用意されている。その中にはCamino Blueというわずか2色のカラーのみで構成されたシンプル極まりないアイコンがあるかと思えば、その対極に位置するFlarup Appleなどは10色近くのカラーを駆使した手の込んだグラフィックスで構成されているのである。またOff-Kilterは関連付けアイコンに対する視覚的印象を強調したものであり、その他のアイコンには見た目そのままのインパクトで勝負しているといったタイプも存在し、例えばCamiBertは『セサミストリート』に登場するバートというキャラクタを、El Caminoは本ブラウザと同じ名を関した旧型シボレーをそれぞれあしらったデザインになっている。

機能的な変更をするタイプ

 Caminoのパワーユーザが求めるであろう各種の機能も、アドオン形式で取り込むことが可能となっている。例えばプラグインの中にはナイトリビルドを自動取得してくれるものも存在しているし、あるいはブラウザとシームレスに統合できるWeb構築ツールやスクリプトなどを利用することもできる。私もここ数週間CaminoKnight 3.0を使用してIntel Core 2 Duoに最適化されたバージョンのCaminoを試用し続けているのだが、今のところ問題らしい問題やクラッシュにはほとんど遭遇していない。

 なおUSBメモリやポータブルデバイスにて携帯できるブラウザを探している場合は、同WebサイトのOptimized Buildページに公開されているPortable Caminoの使用を検討してもいいだろう。

 次に紹介するCamino Bookmarkletsは、ブラウザを使用する上で役立つ各種の操作をワンクリックにて実行可能にしたブックマークレットと呼ばれるツール群を一覧したWebページである。具体的には、表示用フォントサイズの変更、ページの各種スクロール、イメージ関連の様々な操作が行える他、Caminoにおけるabout:config設定へのアクセスや特定のWebページにおけるユーザエージェント、クッキー、パスワードなどの情報確認がクリック1つで実行できるのだ。私自身もCaminoを使い続けるうちに、Dictionary.comやTinyURLへのアクセスなど、自分が頻繁に行う操作を簡単化してくれるブックマークレットが用意されていないかをこのページに確認するのが習慣になってしまった。

 こうしたブックマークレットをインストールするには、自分の目的に合致したアイテムを探し出して、当該リンクの右クリックによる“Bookmark this link”の選択ないしBookmarkバーへのドラッグによってブックマークに登録するだけである。あるいはすべてのブックマークレットを一括で入手したければ全ツールを一覧したファイルが用意されているので、これをダウンロードした上でFile→Import Bookmarksによるブックマーク登録をすればいい。

 Caminoの動作設定についてはデフォルトのPreference画面だけでも細かな調整ができるようになっているが、この分野における追加用の機能拡張も各種作成されている。例えばGrowlCamino 1.6はGrowlを介した通知を行うためのツールであり、KioskMode 1.0はCaminoをプレゼンテーションに使用するための設定ツール、MoreCamino 1.0は通常では変更できないコンテンツ制御に関する設定項目にアクセスするためのツール、UnifyCamino 1.9はブックマーク、ツール、ステータスバーに対する設定変更を加えるためのツールである。今回私は、これらのうちKioskModeを除いた残りすべてを試用してみた。その結果、確かにこれらのプラグインはいずれも所定の機能を発揮してくれたのだが、私のワークフローに関して言えば、この種のプラグインで追加される機能によって便利になる点がほとんど存在しなかったのも事実である。

 むしろ私の作業スタイルに関して言えば、Macユーザにはお馴染みのAppleScriptをベースに作られた、Caminoブラウザの自動操作用ツールの方が適しているようだ。例えば私の場合、手元のRSSフィードをGoogle Readerに送信する場合はRSS2GRを使っているし(他のフィードリーダ用のスクリプトも入手可能)、Google Notebookをサイドバーに表示させる場合はGoogle Notebook Extensionを使用している。

 こうしたAppleScript系ツールとしては、Shorten URLおよびSave URL to DesktopなどのURL関連の操作をするものも各種用意されている。その他Clone Tabは新規タブをアクティブなタブと同じURLにて開くツールであるし、私の頻用しているCombine Windowsは開かれているすべてのCombineブラウザウィンドウを単一ウィンドウ上の複数タブとして整理するツールである。また私の場合、Caminoにて正常にレンダリングされないWebページに遭遇した際には(ただしその頻度はそれほど高くない)、現在表示中のURLをSafariにて開くというAppleScriptを使っている。

 なお純粋なAppleScriptツールではないが、Mac OS X用の優れたユーザインタフェース機能拡張として定評のあるQuicksilverを介してCaminoのブックマークにアクセス可能とするCamino Plugin for Quicksilverも、Macユーザであれば試してみる価値があるかもしれない。

 PimpMyCaminoを積極的に使用したいのであれば、他のカテゴリに収まりきらない各種のツールを収録したMiscellaneousページを確認するのを忘れてはいけない。例えばCamino用の壁紙、ユーザバナー、スタンプ、ウォーターマーク(透かし)などもここで見つかるはずだ。また、Firefoxでは一般的なCmd-#によるタブ切り替えや中クリックによるタブのクローズといった動作を追加するFireTabsなどの有用なアドオンも、ここにはいくつか収録されている。

 Caminoのデフォルト機能は充分満足できるものであり、こうしたプラグインを別途追加するまでもないというユーザもおそらくは多数存在していることだろう。それであっても、より細かな設定変更をしたり何か新規の機能を追加したいという場合が訪れたら、そうした要望をかなえてくれるツールがPimpMyCaminoには多数用意されていることを思い出して頂きたい。

Linux.com 原文