KDDI研究所、携帯電話を使った農作物生産管理・情報公開システムの実証実験

 KDDI研究所(秋葉重幸所長)は5月29日、農業分野でのICT(情報・通信技術)ニーズに対応するため、「携帯電話による農産物生産管理サービスと専用ブログによる生産情報公開サービス」を提供するシステムを開発し、同システムを活用した実証実験を栃木県立宇都宮白楊高等学校(柴田富男学校長)と共同で5月初旬から開始したと発表した。

 同システムは、三菱電機エンジニアリングの「e農業日誌Webサービス」と、KDDI研究所が試作した「携帯電話版ライフログ」を組み合わせたもの。「e農業日誌Webサービス」は、簡単に作業計画、作業履歴の入力ができ、情報公開用のホームページが作成できるサービス。しかし、PCの利用を前提としているため、生産者が作業場所で作業計画の確認や作業記録を作成するためには、紙での記録などが必要だった。

 今回、KDDI研究所は「e農業日誌Webサービス」と、GPS、カメラなど携帯電話に搭載された機能から取得した情報を自宅のPC上で簡単にブログ化するサービス「携帯電話版ライフログ」と組み合わせることで、「農産物生産管理機能」と「生産情報公開機能」の2つの機能を持つ携帯電話アプリケーションを開発した。

 「農産物生産管理機能」では、携帯電話で位置情報、日時、使用する農薬・肥料情報のいずれかの情報を取得するだけで、作業計画の確認や作業記録を残せる。「生産情報公開機能」は、この作業記録をもとに成育日記(ブログ)を作成し、公開することができる。

 同システムは、携帯電話を利用するため簡単に導入できる上、農業の生産現場でGAP(適正農業規範)に適合した作業の徹底管理が可能となる。これにより、消費者は安全で信頼性のある農産物の供給を受けることができ、ブログを使って農業生産者とコミュニケーションを図ることもできる。今後、実証実験での評価を参考に商用化を検討していく。

 なお、KDDI研究所が開発した技術は、総務省から受託した「ユビキタスネットワーク制御・管理技術の研究開発」の成果を応用したもので、RFID(電子タグ)を用いた生産管理にも対応できるという。

KDDI研究所=http://www.kddilabs.jp/
三菱電機エンジニアリング=http://www.mee.co.jp/
栃木県立宇都宮白楊高等学校=http://www.utsunomiyahakuyo-h.ed.jp/
「e農業日誌Webサービス」=http://www.mee.co.jp/sales/other/e-nougyou/

提供:BCN