「XMLは文書化によるデータ氾濫を防ぐ有効策」――ジャスト社長浮川氏が内部統制における「xfy」の効力をアピール

 ジャストシステムは5月25日、XMLアプリケーション・フレームワーク「xfy Enterprise Edition 1.5」をテーマとしたプライベート・イベント「JustSystem xfy Solution Forum」を都内のホテルで開催し、内部統制の取り組みのために同製品が有効であることをアピールした。

 同イベント冒頭の挨拶には、ジャストシステム代表取締役社長の浮川和宣氏が登壇した。同社は、ワープロ・ソフトの「一太郎」シリーズで成長してきたが、浮川氏は、以前からワープロや表計算などのファイルの互換性がバージョンアップのたびに問題になるという面を疑問視していたという。そのような疑問を抱くなかで同氏は1997年、XMLに出会い、それがxfy Enterprise Edition 1.5の製品化につながった。

 「当時XMLは、まだ、海のものとも山のものともつかない技術だった。しかし、テキストだけではなく、表や画像といった多様なデータを取り込めるXMLは、21世紀には世界標準のフォーマットになるに違いないと直感し、当社で研究開発に取り組み始めた。そのため、実は、xfy Enterprise Edition 1.5の研究開発には10年もの月日を費やしたことになる」(浮川氏)

単なる文書化は“見えない化”につながる

 基調講演には、牧野法律事務所の牧野二郎氏が登壇し、「内部統制時代を生き抜く企業側の心構えとは ~企業の生き残りをかけた壮絶な戦いに勝利するキーポイント~」というテーマの講演を行った。同氏は、「内部統制においては文書化による業務の“見える化”が重要だとされている。しかし、文書化を行うことで文書が膨大な数になり、むしろ“見えない化”が進んでしまっているのが現状だ」と、今日の内部統制の取り組みが抱える問題点を指摘した。

 こうした状況に陥らないために牧野氏は、次のようにアドバイスした。「見える化は単なる文書化ではない。あらゆる業務の文書化はデータの氾濫を招き、見えない化につながる。本当に必要なのは、まずは、だれが何を求めているのかを明確にするということである。社長には何を見せるべきか、監査法人には何を見せるべきかを考慮して文書化を行わなければならない。そして、それをわかりやすく見せる方法を考えなければならない」

効率的な文書化を可能とするXML

 続いてジャストシステム代表取締役社長の浮川氏があらためて登壇し、「内部統制のほかにも、グリーン調達やCSR(Corporate Social Responsibility)など、経営者に突きつけられた課題は山積みだ。こうしたことから今日、経営者は萎縮してしまっている。しかし、経営者はもっと先を見なければならない。内部統制への取り組みは企業にとって大きなメリットがあるはずだ」と、内部統制の意義を問い直すように促した。

 「例えば、文書化を行うことによって、1つ1つの業務の中において、どのようなリスクが内在しているかを業務担当者とその上司、そして経営者ががあらためて確認し合うことができる。しかも、文書化によるリスクの再確認はある一定の水準で行われることになる。こうしたことがもたらすメリットは計り知れないと私は考えている」(浮川氏)

 同氏は、「積極的に取り組むほど、内部統制が攻めの企業経営に使える武器となることを再認識する必要がある」としたうえで、「今日の企業経営は、数値ベースの経営だけでは十分ではない。業務の見える化やルールの策定は、数値ではなく、文書で表現される」と数値経営からドキュメント経営への移行という現在の流れを説明した。

 そして、「大量の文書は見えない化にしかならない」という牧野氏の意見を引き合いに出し、「それを避けるには、縦割りの文書に横串を刺したり、既存文書から必要な部分を抜き出したりすることが必要」と語り、そうした処理を可能とするツールとして、xfy Enterprise Edition 1.5をアピールした。

 浮川氏の講演の中では、xfy Enterprise Edition 1.5のデモや機能説明も行われた。機能説明を担当した同社技術戦略室の細井智氏は、「従来は、業務記述書はワープロ、リスク・コントロール・マトリクスは表計算、業務フローはグラフィック・ソフトと異なるツールが利用されていた。XMLベースのxfyであれば、これらの3つの文書を単一のXMLコードから生成でき、一元的に管理できる。また、文書を部品化して再利用することが容易な点もXMLのメリットだ」と、文書化におけるXMLの優位性を強調した。

(大川 泰/Computerworld)

ジャストシステム
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提供:Computerworld.jp