Fedora、次期リリースの延期と新デザインのテーマを発表

今週Fedora Project Boardのメンバーが集まり、次期リリースFedora 7 (F7) についての問題点が話し合われた。F7のリリースは当初4月26日に予定されていたが、現在は5月24日に延期されている。これによりF7の最終リリースを今年のRed Hat Summitにてデビューさせるという開発チームの計画は流れることになった。とは言えRed Hat Summitでは、F7の新テーマに決定したアートワークを見ることはできるだろう。

F7の最終リリースを延期する必要があるということは、テスト版のリリースが今月初めの時点で1つだけという状況になって決定的になった。この延期の理由としてはいくつかの理由が挙げられるものの、Fedora CoreとFedora Extrasを一つのリリースとしてマージすることの複雑さが中でも最大の問題であるということが分かってきており、それら2つをマージするための新たなビルドシステムの作成にも当初予測されていたよりも長い時間がかかったということが挙げられる。

Fedoraチームはビルドシステムのマージに関してはその後、順調に作業を進めているものの、しかしそれでもなお対処すべき問題は他にも残されている。例えば、各パッケージは2月27日リリースの次期テスト版に入れる前にレビューされるべきなのだが、現在のところ 900個近くの新パッケージがレビュー待ちのリストに入っているため目標達成はほぼ不可能だろう。Fedora ProjectのリーダーであるMax Spevack氏によると、レビューということに関してはどのパッケージも平等の扱いというわけではないという。Spevack氏は「数の問題というよりは、重要度の問題だね。例えばレビューされているかいないかには関わらずFedora Desktopには入らないパッケージというものも存在する。またその一方で例えばカーネルのように非常に重要であっても、そのパッケージ一つをレビューするというだけで、あまりにも膨大な作業が必要となってしまう恐れがあるものもある」と言う。

なおF7のリリースの前にレビューされることになるパッケージは、F7の最終リリースに入るためにFedora Extras Guidelinesに従っていることが要求されている。ここでFedora CoreではなくFedora Extrasのガイドラインに従っているということが一見すると奇妙なことに思われるかもしれないが、Spevack氏によるとFedora Extrasのパッケージのためのガイドラインは、(Red Hat社の指導の下で)Fedoraコミュニティによって開発されたため、Fedora Coreのガイドラインよりも優れているとのことだ。「今やCoreとExtrasのすべてをマージしたいということになったので、全パッケージを単一のガイドラインに従わせようとするのはそれなりの意味があることなんだ。そこで僕らはRed Hat社とコミュニティのみんなとが一緒になって開発したガイドライン(Fedora Extras Guidelines)の方を採用した。それに実際そのガイドラインの方が優れていたんだ。でもそれは当然のこと。だってコミュニティの方が物事をうまくやるからね」。

開発チームはF7をRed Hat Summitでデビューさせることができるよう望んでいたのだが、リリースエンジニアのJesse Keating氏は、その代わりにFedora 7 Test 4ベースの「非常に完成度の高い」ライブCDを配布するつもりだという。Keating氏によると、「Red Hat Summitで配布するために、このライブCDには特別なQAが行なわれる予定だ。このTest 4ライブCDからFedora 7の最終リリースへ簡単に移行できるようにすることが非常に大きな目標だね。最終リリースを手にすることほどの魅力はないけれど、それでもこれは良いマーケティンググッズだし、これでみんな最終リリースを楽しみにしてくれるだろう。もしかしたら、これなしでは得られなかったフィードバックだってさらに追加で得ることができるかもしれない」とのことだ。

新テーマは飛躍

F7起動画面(クリックで拡大)

今後のテスト版で披露される予定の、Fedora 7での新しい部分の一つに、新しいデザインのテーマがある。一目でFedoraと分かる青色の背景は相変わらずだが、F7では熱気球が織り込まれている。作者のDiana Fong氏によると、それは新たな挑戦に立ち向かう大志を抱くイメージを呼び起こすことを狙ったものとのことだ。なおFong氏のブログには、テーマのデザイン/作成に関するFong氏のアプローチに関する詳細が紹介されている。それによると今回の新デザインでは、Fedoraプロジェクト全体としての方向性を表現するために、過去のFedoraリリースのイメージと新たに改訂されたイメージとを融合させたのだと言う。

F7壁紙(クリックで拡大)

Fedoraコミュニティでは、テーマの提案を数週間以上に渡って受け付けていた。そしてFedora Core 5とFedora Core 6用のグラフィック集の作者でもあったFong氏が最終的にJohn Baer氏による「Flying High」とMola Pahnadayan氏による「Planet」とを、その2作品が持つ「冒険心と探求心という感覚」を理由に起用した。F7のグラフィック集に最後の仕上げを施す作業は、Fedoraのアートコミュニティ内での協働作業として続けられ、インフラアプリケーション用やwiki用やEchoアイコン集用のアートワークの再デザインがコミュニティのメンバーによって行なわれる。

ただ、まだやるべきこともたくさん残されている。例えばFedora Project BoardのメンバーPaul Frields氏はfedora-artメーリングリスト上で「Fedoraをベースとする独自のディストリビューションをユーザが作り出すことができるようにする取り組みの一環として、コントリビュータによるアートワークを、デフォルトリリースのアートワークの代わりとして差し替え可能なRPMパッケージとして使えるようにしてほしい」と述べている。

ライフサイクルの延長と2つの大きな課題への取り組み

今週のFedora Project Boardのミーティングでは、F7の最終リリース延期の決定のすぐ後に続いて、Fedora Core 5のライフサイクルを延長するかどうかの問題が話し合われた。しかしKeating氏はミーティングの中でメンバーに対し、旧リリースのライフサイクルを延長するよりも、Fedora Core 5の保守はむしろやめにして、その分確保した開発者の時間をF7に集中できるようにしたいと主張した。「現在Fedora Core 5はRed Hatのエンジニアの時間を費やして保守されている。一般コミュニティがFedora Core 5のパッケージを最新の状態に保ち続けるということを期待することはできないので、Fedora Core 5をアクティブに保っておくということは、Red Hatのエンジニアの時間を削るということになってしまうんだ」。またその後Keating氏は「Red Hatのエンジニアの時間というのは当然ながら有限であり、現在でも時間を割り当てる必要のあることは他にもたくさんある。Fedora Core 5の更新にさらなる時間を裂くよりは、彼らにFedora 7の機能に取り掛かるための時間を確保してほしいと個人的には思う」とも述べている。

最終的にFedora Project Boardは、F7 Test 3のリリース日以降はFedora Core 5についてセキュリティアップデートのみを行ない、そしてそれをF7の最終リリースから1ヶ月後まで続けるということを決定した。Keating氏はこのことについて「良い妥協案を見い出すことができたと思う。Red Hatのエンジニアたちは同じセキュリティアップデートを 他のRHELやFedoraのリリースについても行なう可能性が非常に高いから、作業量的にそれほど増えることにはならない」とした。

延期や変更や課題があったものの、Spevack氏によるとすべては素晴らしいリリースの誕生として実を結ぶだろうとのことだ。「Fedora 7の目標は突き詰めて考えてみると2つあるんだ。一つは、ユーザがFedoraのカスタマイズ版を作ることができるようにすること。そしてもう一つは、CoreとExtrasのマージ。後者は前者を実現しやすくするためのことであり、同時に、コミュニティからのコントリビューションをより多くするためのことでもあるんだ」。Spevack氏によると、前者のカスタマイズ版作成についての道のりは予定通りに進んでおり、後者の完全なマージについての重要なプロセスも進行中であるため、近いうちにRed Hat社とFedoraコミュニティは「パッケージ、ビルドシステム、ソース管理などといったエンジニアリング関連の多くの事柄について、みんなで同じ方向を目指すようになるだろう。そしてみんなが順調に前進を続けてさえいれば、僕は満足なんだ」とのことだ。

NewsForge.com 原文