控えめな改善とはいえアップグレードの価値があるWordPress 2.1

数週間前にリリースされたWordPress 2.1には、ページをドラフトとして保存する機能、改善されたファイル・アップロード機能、インポートおよびエクスポート機能、パフォーマンスの向上などの目新しさが加わっている。とすると、そろそろアップグレードあるいはWordPress 2.1への乗り換えを考える時期なのだろうか。この最新リリースには、他のブログソフトウェアのユーザに乗り換えを促すほどの決定的な特徴は追加されていない。だが、すでにWordPressを使っている人にとってはアップグレードするだけの価値のある新機能が追加されたと言える。

ただし、WordPress 2.1のこうした「新しい」機能の多くは、WordPress.comのアカウントを持っているユーザにとってはおなじみのものかもしれない。というのも、Wordpress.comサイトではこうした新機能の大半がすでに利用可能になっており、セルフホスト版は今ちょうどWordpress.com版と同じ機能を採り入れつつあるからだ。

スムーズなアップグレード

もう何年もWordPressを使い続けてきた私が2.1をインストールしたのは、WordPressを最後に(アップグレードではなく)インストールした時点から何か大きく変わったところがないかをただ確かめるためだった。WordPressのインストール作業は、セルフホスト型のWebベースのソフトウェアにしてはいたって簡単で、ソフトウェアのダウンロード、アーカイブの展開、データベースの作成、設定ファイルの編集を順に行ったうえで、すぐに終わるWebベースのインストーラを実行するだけである。

WordPressのインストーラは順調に動作したが、1つだけ注目すべき変更点としてブログをGoogleやTechnoratiに含めるかどうかのオプションが加わったことが挙げられる。このチェックボックスをオフにすれば、WordPressはTechnoratiのようなサービスに対してpingを行わず、Googleやその他の検索エンジンによるインデキシングの阻止を試みる。これは、個人的なブログをちょっとメンテナンスする場合やブログを衆目にさらしたくない場合に役立つ。

インストール終了後、自分のwordpressディレクトリとMySQLデータベースのバックアップを取ってから、WordPress 2.0.7で作成されたブログのアップグレードにとりかかった。

このアップグレードも問題なく進んだ。初めてWordPress 2.1を立ち上げた後にすべきことはアップグレード用ボタンのクリックだけで、あとのことはすべてWordPressがやってくれた。アップグレードが終わってからも、不具合や問題のある部分は見当たらず、新しい機能が少し増えたのとパフォーマンスが向上したことに気が付いた程度である。

これまでWordPressに抱いていた不満の1つは、管理用インタフェースの使用中に時々反応が鈍くなることだった。公開されているサイトは常に素早く読み込まれるのに、管理用インタフェースのほうは動作が遅いことがあるのだ。だがWordPress 2.1では、データベースのコードの改良によってかなりの高速化が行われているようだ。WordPressのバックエンドを適当にいじっても、前よりきびきびとした動作が感じられる。

ついに登場したページのドラフト機能

WordPress 1.5でページを追加していたときは、WordPressによるブログの「about」ページやその他の静的コンテンツをずっと簡単に管理できた。ただ1つ欠点があった。それは、投稿(post)とは違ってページの場合は、プライベートに設定することも1ページ分のドラフトを保存することもできなかった点だ。これは後工程におけるちょっとした悩みの種だった。なぜなら、WordPressの外部でページを作成し、その内容に満足したらペーストして、長くなってしまうかもしれないがすべてのページを1つのドキュメントとして作成するか、あるいは作成中のページを他の人にも見られるのも止むなしとしてブログに載せてしまうかのどちらかしか方法がなかったからだ。これでは、我々の多くがWordPressに期待していたエレガントなブログ生活を堪能するどころではない。

ページの作成に関するこの状況が何ら改善されないままWordPress 2.0が出たときには失望したものだが、WordPressの開発者たちはバージョン2.1でやっとこの問題を解決してページのドラフトおよびプライベート化の機能を追加してくれたのだ。なおページは、ブログ本体ではなくサイトのフロントページに設定することもできる。

自動保存機能

もう少しで書き上がるからといって本来しておくべき保存を怠ったばかりに、1時間もかけて作成したポストをブラウザのクラッシュや停電によってすべて失ってしまうことほど悲惨なことはない。保存を忘れがちな我々ユーザを助けるために、WordPressの開発者たちが新たに用意してくれたのが自動保存の機能だ。投稿の作成中、WordPressは数分おきにクイックセーブを行うので、何らかの災いに見舞われたとしてもほんの1、2分の作業分を失うだけで済むだろう。もしかするとその1、2分のうちに書いたものが自己最高の名文だったかもしれないが、最初から書き直すことを思えばずっとマシなはずだ。

なお、自動保存機能はすでに公開されている投稿内容の編集中には働かないようなので注意すること。書きかけの内容をサイトにアップしたくはないだろうから、この点は問題ないだろう。

インポートおよびエクスポート機能

WordPressには、Movable Typeのような他のブログソフトウェアから移行してくる人のために、ずっと前からインポート機能が用意されていた。ところが、MySQLデータベースのダンプと他の場所へのダンプ結果のリロードを行うもの以外には、エクスポートの機能が存在しなかった。

今回のバージョン2.1は、WordPress特有のXMLインポート/エクスポート機能を備えている。この機能をテストするため、自分の個人的なブログからエクスポートを作成し、今回のWordPressインストール環境のテスト用に作成しておいた新しいブログにインポートしてみた。

私のブログには3年分の投稿が蓄積されているため、エクスポートに1分ほど、エクスポートした内容をWordPressが読み込んで新しいブログに挿入するのにさらに1分強かかった。投稿内容のインポートが終わると、個人用ブログのユーザ名に合わせて新しいユーザを作成するか、それとも投稿内容を管理ユーザまたはそのブログの別のユーザに割り当てるか、とWordPressが尋ねてきた。私が新しいユーザを作成すると、新規ユーザに対して新しいパスワードを設定しない場合は「changeme」がパスワードになる、との警告をWordPressが出してきた。

私がWordPressで気に入っている点の1つが、インストール中に管理ユーザを作成するとかなり強力なランダムパスワードを生成してくれることなのだが、これと同じことがなぜ新規ユーザではできなかったのかよくわからない。だが、インポート/エクスポート機能に関する私の不満はそれくらいだ。それ以外の点では問題なく機能しているように見える。なお、インポートした投稿内容のすべてを読み返したわけではないが、ところどころ無作為に選んでチェックした限りは正しく読み込まれているようだった。

不可思議なスペルチェック機能

リリースノートによればWordPress 2.1は投稿内容に対するスペルチェックの機能が用意されていることになっているが、機能面に足りない部分があるように思える。確かにスペルチェックの実行はできるが、わざと単語のスペルを間違えて実行しても「スペルミスは見つかりませんでした」と表示されるのだ。実装上のバグなのか、あるいは必要なライブラリか何かが私のサーバ上に存在せず、WordPressがそのことを警告しなかっただけなのかはわからない。いずれにしても、このスペルチェック機能にはもう少し手を加えないと、スペルミスの検出を求めるユーザが信頼して使うことはできないだろう。

WordPress 2.1にはアップロード・マネージャも追加されているので、WordPressにアップロードされたファイルの管理は、投稿ページのアップロード・ダイアログをわざわざ使わなくても中央の管理画面から行える。また、このアップロード・ダイアログはこのバージョン2.1で新しいものになっており、ファイルのアップロードや投稿への追加が多少簡単になっている。

全体的に見て、WordPress 2.1はアップグレードの実行に見合うだけの十分な改善がなされ、特にアップグレード作業がわずか10~15分で済む手間要らずな点で、すばらしいバージョンと言える。

NewsForge.com 原文