日本HP、データセンターの電力/空調コスト削減を支援する「スマート・クーリング」サービスを発表ーシステム・ベンダーの立場から顧客企業に設備設計/計画/評価サービスを提供

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は2月5日、企業やサービス・プロバイダーが運用するデータセンターの電力/空調設備の最適化を行うことで、電力/空調コストの削減やデータセンターの可用性向上を支援するサービス「HPスマート・クーリング・ソリューション」を発表、同日より提供を開始した。

 同サービスは、顧客企業が運用中のデータセンター向けの「サーマル・アセスメント・サービス」と、顧客企業が新たに設計・設置するデータセンター向けの「サーマル・プランニング・サービス」の2つで構成される。

 サーマル・アセスメント・サービスは、パワー&クーリング(電源と冷却)の観点からサーバ・ラックや空調設備の最適な配置を提案することにより、顧客が自社で運用中のデータセンターにおいて効率的な冷却を実現し、電力/空調コストが削減できるよう支援するもの。エンジニアによる現地調査、顧客側担当者へのヒアリング、各種データ分析、シミュレーション・ソフトによるエア・フロー分析、温度分布分析、空調設備故障時の影響度測定といったメニューが用意され、概算価格は400万円からとなっている。

 一方のサーマル・プランニング・サービスは、顧客が今後開設ないしは拡張するデータセンターにおいて、効果的なラックや空調機の配置を提案するもの。サービス・メニュー内容は、サーマル・アセスメント・サービスのものとほぼ同じになっている。

 日本HPによると、HPスマート・クーリング・ソリューションは昨今、大規模なデータセンター環境で深刻な問題となっているパワー&クーリングの問題に対し、同社がシステム・ベンダーの立場から提案する解決策だという。同社マーケティング統括本部インフラソリューションマーケティング本部長の染谷優氏は、同サービスの提供の背景について次のように説明した。

 「企業が戦略的なIT投資を継続して続けていくためには、基盤となるデータセンターについて、10年単位でそのあり方を考える必要がある。HPスマート・クーリング・ソリューションは、完全に自動化された次世代データセンターの構築実現に向けた当社のアダプティブ・インフラストラクチャ構想の一環として提供される」。また、染谷氏は、HPスマート・クーリング・ソリューションの提供に伴い、以前よりパワー&クーリング分野で業務提携していたNTT ファシリティーズとの提携範囲をさらに拡大していくことも発表した。

 なお、米国HPは2006年11月に、「ダイナミック・スマート・クーリング」と呼ばれる次世代空調管理システムを発表している。同システムは、各ラックに複数の温度センサーを装着した“温度センサー・ネットワーク”を構築し、これらが収集するデータを基に流体解析ソフトウェアを用いて複数の空調装置の風量をリアルタイムに制御するというもの。同システムの導入により、ユーザー企業は最大約40%の電力/空調コストを削減できるようになるという。米国では今年夏以降に出荷が開始される予定で、日本国内では「2008年の春ごろの出荷を目指す」(染谷氏)としている。

(河原 潤/Computerworld)

日本ヒューレット・パッカード http://www.hp.com/jp/

日本HPの「パワー&クーリング」のWebページ http://www.hp.com/jp/pandc/

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