HP、SAPユーザーのSOA導入を支援する新サービスを発表

 米国ヒューレット・パッカード(HP)は1月29日、SAPが提唱している「Enterprise SOA」への移行を支援する新サービスを発表した。SAPシステムのSOA(サービス指向アーキテクチャ)への移行を後押しするとともに、SAPとの関係強化を図る。

 HPのエンタープライズ・アプリケーション・サービス部門でパッケージ・アプリケーションの責任者を務めるティム・トリート氏によると、この新サービスは、SAPのERPパッケージ「R/3」から「mySAP ERP」への移行を支援するものだという。mySAP ERPは、次期バージョンでEnterprise SOAに完全対応する予定になっている。

 HPの新サービスは、Enterprise SOAを構成する中核的なミドルウェア群「NetWeaver」をサポートし、「NetWeaver Portal」向けの人員統合機能や「同Business Intelligence」向けの情報統合機能といったプログラムも含んでいる。また、ITシステムの初期エンビジョニングから統制、開発、運用に至る SOA実装の多様なフェーズに適応する。

 トリート氏によると、全世界で利用されているSAPシステムの50%近くはHPのハードウェア製品にインストールされているという。また、HP自身もSAPの大規模ユーザーである。HPでは、15万人に上る従業員の大半がSAPソフトウェアを利用している。

 「mySAP ERPへの移行には、ソフトウェアのアップグレードだけでなく、サーバおよびストレージの更新、新アプリケーションへの対応なども含まれるため、その作業はきわめて複雑だ。しかしわれわれは、長きにわたってSAPユーザーを支援してきた経験から、なすべきことを完璧に把握している」(トリート氏)

 HP はこの数カ月間で、18年に及ぶSAPとの提携関係をさらに強化した。昨年11月には、両社の研究機関が協力して、HPの「Adaptive Infrastructure」とEnterprise SOAとの連携強化に取り組む計画も明らかにしている。現在は計画の第1段階にあり、両社の技術者がハードウェアおよびソフトウェア仮想化の改良に注力している。

 トリート氏は、「SAPアプリケーションは、あらゆるコンピューティングの中でも最も複雑なソリューションの1つだ。SAPに関する問題を解決できれば、インフラストラクチャ全体に及ぶ問題も解決できる」と語った。

 また同氏は、SAPとインテルが昨年5月に共同でリリースした解析エンジンについても言及した。「Business Intelligence Accelerator(BIA)」と呼ばれる同エンジンは、情報をあらかじめ1つにまとめ、データベースに保管しておかなくても、大量のデータを迅速に分析し、一瞬で問い合わせを行うことを可能にするものだ。HPもSAPと密接に協力し、同エンジンの開発に携わっている。

 HPは29日の会見で、SAPとのパートナーシップに関する追加情報を今年後半に発表すると明言した。また、SAPだけでなく、インテルやビジネス・プロセス管理ベンダーのIDSシェアーともSOA関連で提携関係を強化するつもりだと語っている。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

米国ヒューレット・パッカード http://www.hp.com/

提供:Computerworld.jp