HP、BIビジネスに本腰──情報の管理・分析を支援する事業部を新設

 米国ヒューレット・パッカード(HP)は1月17日、情報の管理や分析を支援する事業部を新設したと発表した。ビジネス・インテリジェンス(BI)の分野に本格的に進出する。

 新設された「ビジネス情報最適化部門(Business Information Optimization unit)」の副社長兼ゼネラル・マネジャーに就任したベン・バーンズ氏は、「社内で開発したデータ・ウェアハウス・アプライアンスが同部門の主力製品になる」と語っている。

 バーンズ氏はこれまで、ITセキュリティ・ベンダーであるアクティビデンティティや、コンテンツ管理企業イントラスペクト・ソフトウェアのCEO(最高経営責任者)を務めてきた。さらに、IBMのグローバル・ビジネス・インテリジェンス・ソリューション部門や、テラデータ(米国NCRの一事業部)のマーケティング部門でゼネラル・マネジャーを歴任している。

 バーンズ氏が言うデータ・ウェアハウス・アプライアンスとは、HPが昨年10月から提供を開始した「HP Neoview」を指している。HP社内では現在、700を超えるデータ・マーケットを単一のデータ・ウェアハウスに統合する作業が進められており、 Neoviewはその過程で開発されたソリューションだという。なお、Neoviewを利用しているHP以外の企業についてHP関係者に質問してみたが、回答は得られなかった。

 データ・ウェアハウス・アプライアンスは、パフォーマンスの高いハードウェアとデータベース、ストレージ、その他の種類のソフトウェアを組み合わせた専用の機器のことだ。通常は、戦略分析などの特殊なタスク向けにあらかじめ設定された状態で顧客に提供される。

 Neoviewは、HPの無停止型サーバとストレージ、データベース・ソフトウェアから構成されている。バーンズ氏はNeoviewの特徴について、「高いスケーラビリティとパフォーマンス、そして魅力的な価格だ」と力説する。

 Neoview以外の情報管理製品、もしくはHPのBI戦略に関するその他の情報については明らかにされていないが、HPは数カ月以内に詳細を発表するとしている。また同社は、情報管理分野を率いる責任者を数週間のうちに雇用する予定だという。

 HP にはこれまでBIを専門とする事業部はなかったが、データ・ウェアハウスの構築・運用に利用されるサーバを以前から提供しており、BIビジネスの経験をすでに積んでいる。HPは今後、リポーティング・ツール・ベンダーを買収するか、あるいはビジネスオブジェクツやSASインスティチュート、ハイペリオン・ソリューションズといったBIベンダーとの提携関係を強化することで、リポーティングや分析に用いるBIツールを確保しようとするだろう。

 市場調査企業IDCのアナリストであるヘンリー・モリス氏によると、BIソリューション全般で見た場合、得られる利益が最も大きいのはサービスだという。「これは、あらゆるBIプロジェクトに共通して言えることだ。専門家が不足しているため、サービスの価格は割高になっている。HPが今月初旬にBIサービス・ベンダーのナイツブリッジ・ソリューションズを買収したのも、このことが背景にある」と語る。

 なお、HP の会長兼CEO(最高経営責任者)であるマーク・ハード氏がBIにかかわりを持つのは、実はこれが初めてではない。同氏は以前NCRに在籍し、データ・ウェアハウジング事業部門のテラデータを統括していた。ちなみにNCRは先週、テラデータを独立会社としてNCRから分離する計画を発表している。

(ヘザー・ヘイブンステイン/Computerworld オンライン米国版)

米国ヒューレット・パッカード http://www.hp.com/

提供:Computerworld.jp