フランス下院議会、議員用PCのOSにLinuxを採用する法案を提出

 フランスの下院議会は11月22日、議員が利用するPCにオープンソース・ソフトウェア(OSS)を導入するという法案を、次の国会へ提出した。下院議会のスポークスマンは、「OSSを採用すれば無償でソフトウェアを使える。移行費用やユーザーの教育費用を差し引いても、経費を大幅に削減できる」としている。

 今回の法案は、今後国内の官公庁などでOSSを採用したいという多数の議員の要望で作成されたもの。下院議長のジャン=ルイ・ドゥプレ氏は、「われわれが行った調査では、議員が使用するアプリケーションはOSSで代替できることが確認されている」と、OSSへの移行はまったく問題がないことを強調した。法案が可決されれば、議員用のデスクトップPCのOSには「Linux」、Webブラウザには「Firefox」、ビジネス・アプリケーションには「OpenOffice」が採用される予定だ。

 下院議会が法案を提出した背景には、政府がOSSの採用に積極的な姿勢を示していたことがある。ドミニク・ド・ビルパン首相は今年初頭、OSSの採用に積極的な議員の1人であるベルナール・カラヨン氏に対し、「欧州企業が経済的に他地域の企業に依存しない方法」について報告するよう命じていた。

 カラヨン氏は報告書の中に、「フランス政府はOSSを積極的に採用し、公文書の保存とやり取りにODF(Open Document Format)の使用を義務づけるべきだ」と記している。ODFはビジネス・アプリケーション・パッケージである「OpenOffice.org」が採用している形式で、Sun MicrosystemsやIBMなどがサポートしている。

(ピーター・セイヤー/IDG News Serviceパリ支局)

提供:Computerworld.jp