NeoOffice:Mac OS Xネイティブ対応のOpenOffice.org
NeoOffice Aqua 2.0 Beta 3は、NeoOfficeのWebサイトからダウンロードできる。数週間前に出た以前のベータリリースは「早期利用」プログラムの有料会員しか利用できなかった。このプログラムは、主としてSunの支援を受けたOpenOffice.orgプロジェクトとはまったく別の独立した取り組みであるNeoOfficeの開発を支える資金集めのしくみだった。
OS X向けのOpenOffice.org 2.0も利用可能ではあるが、これはX11ベースのバイナリである。NeoOfficeは完全にOS XネイティブのAquaインタフェースを使い、クリップボード、ドラッグ&ドロップ、SpotlightなどのOS Xシステムサービスと統合され、OS Xのフォント、印刷、国際化の各サブシステムを利用している。
度重なる噂に反してNeoOfficeはOpenOffice.orgのJava移植版ではない。このアプリケーションでは確かにJavaがAppleのシステムライブラリとのインタフェース部に利用されているが、アプリケーションそのものはvanillaカーネル用のOpenOffice.orgと同じくC/C++のコードベースである。
NeoOfficeのインストーラは.dmg形式のディスクイメージに事前にパッケージ化されている。リリースノートには、OS Xのバージョン10.3以降、最低400MBの空きディスク容量が必要と記されている。OpenOffice.orgと同様、NeoOfficeスイートは、ワープロ、表計算、プレゼンテーション、ベクトル描画、データベース、数式編集の各コンポーネントを一体化したアプリケーションである。
機能面でもNeoOffice Aqua 2.0 Beta 3は、基になったOpenOffice.org 2.0.3のコードと変わりはない。NeoOfficeに対して実際の文書編集や人為的な耐久テストなど、さまざまなテストを実施した。表計算コンポーネントCalcは、私が用意したGnumeric回帰テストファイルがテスト対象になっている関数の一部を実装していないものの、クラッシュすることなくすばらしい動作を見せてくれた。
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またWriterは、私が用意していた文書をすべて開くことができ、大きな文書でも動作に支障はなかった。1.5GHzのPowerPC上で、Gutenberg Projectによる『ドンキホーテ(Don Quixote)』の約700ページの電子テキストを開くのに7秒かからず、この文書全体に対する検索および置換の実行(”Quixote”という語を対象にしたもの)も3秒足らずで終わった。
Impressについては、サイズの大きなPowerPointプレゼンテーションが手元になかったので耐久テストは行えなかったが、日常的なプレゼンテーションを使った動作を確認してよしとした。多くの人々が二流のアプリケーションと呼ぶDraw、Base、MathもCalc、Writer、Impressと同程度に信頼できそうである。徹底的な分析を求めるユーザは、OpenOffice.orgのレビューを探すとよいだろう。根底にあるコードは同じだからだ。
NeoOfficeでは、確かにOS XネイティブのAquaインタフェースがアプリケーション部分とAqua以外のOS X部分とをうまく統合している。NeoOfficeは開くファイルの種類によって適切なコンポーネントを自動的に起動し、メニューの配置も適切である。クリップボードやドラッグ&ドロップの操作は、その他のOS Xプログラムと同じように動作する。
他のプラットフォームからの移植版であることを示す唯一の特徴が、各種のツールや通知など、内部のアイコンに使われているウィジェット群である。ひと目見てそれが何なのか十分にわかるし、便利なものではあるが、OS X向けにデザインされたものでないことが明らかにわかる。カラーパレットも各種オブジェクトの描き方も違う。そうした外観の違いが気になるのだ。確かにあら探しに過ぎないかもしれないが、ほかのすべての点はよくできているだけに、ついそちらに目が行ってしまう。
NeoOfficeはRAMをかなり消費するため、主として文書編集に利用しようと考えているなら、よりコンパクトでずば抜けて高速なOS X用Abiwordのほうがいいかもしれない。だがNeoOfficeは現行のX11移植版のOpenOffice.orgよりもずっと優れているので、全機能が揃ったオフィススイートとしては明らかな成功といえよう。
NewsForge.com 原文