OpenOffice.orgの現状
Suárez-Pottsによると、OpenOffice.orgは現在、OpenOffice.org 2.0アーキテクチャに機能を追加するスモール・リリースに全力を注いでいる。3.0は「計画の段階にある」が、プロジェクトは「ビッグ」リリースの「プロプラエタリ・ロジック」から離れ、代わりにインクリメンタル・リリースに専念しているそうだ。
最近、OpenOffice.org 2.0.3がリリースされたが、2~3か月のうちに2.0.4がリリースされるはずだという。2.0.3は機能的に大きな変化はないが、バグフィックス・リリース以上のものだ。たとえば、PDFエクスポートの機能が強化され、データベース構造との統合が向上し、ユーザがアップデートをオンラインでチェックできるオンライン・アップデート機能が追加された。
ただし、このアップデート機能はFirefoxのオンライン・アップデート機能のように実際にアップデートのダウンロードとインストールを行うわけではない。Suárez-Pottsはいずれ完全なアップデート機能を実現したいと言った。しかし、それは実装するのが簡単でない機能であり、また他のベンダ(たとえばLinuxディストリビューション)を通じてOpenOffice.orgを取得するユーザが多いし、そうしたベンダはこのアップデート機能を利用しないだろう、とも言った。
OpenOffice.orgとODFの活況
今年のOSCONの主要なテーマに沿って、Suárez-Pottsはオープン・データの重要性と、OpenOffice.orgやその他のアプリケーションにとってのODF(Open Document Format)の重要性を強調した。Tony Coatesはこれを自分のブログでうまく表現しており、「あなたのデータはあなたのアプリケーションより長生きする」と書いている。OpenOffice.orgとODFの人たちは、そのために多くのアプリケーションで使用できる、明確に文書化されたオープンな標準規格を開発した。Suárez-Pottsによれば、プロプラエタリな標準規格に頼っていると「死の接吻」になるという。もしプロプラエタリな形式を後押ししている企業が廃業するか、その形式のサポートを打ち切ったら、「自分が持っているデータも終わりだ」。
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Suárez-Pottsによると、StarOffice、KOffice、SoftMaker、Writely、IBM WorkplaceなどがODFをサポートしているそうだ。もちろん、ODFはまだデータを共有するための完璧なソリューションとはいえない。Marco Fiorettiが去年の9月に指摘したとおり、アプリケーション間でデータを共有するうえで、まだマクロに障害がある。マクロはODFと違ってアプリケーション不可知論者ではないからだ。
OOoチームはODFサポート・アプリケーション間でのマクロ・サポートの問題に気づいているので、できるだけスムーズに移行できるようにプログラム間でのマクロ・サポートを標準化するための努力をしてほしいとSuárez-Pottsは言う。マクロがしっかりサポートされていないので、Microsoft Officeのマクロ・ウイルスをOpenOffice.orgで抑えることができない。この点に注意を払うべきだと彼は警告する。
Suárez-Pottsによると、ODFはOpenOffice.orgの採用もプッシュしている。多くの政府が、長期間にわたって自らのデータにアクセスできるようにする手段としてODFに期待していて、OpenOffice.orgの関与をODFサポートの「リファレンス実装」として扱っているそうだ。また、OpenOffice.orgは会計パッケージやユーザ補助などのMicrosoft Office用アドオン・アプリケーションを提供してきたサードパーティ・ベンダから注目され始めているという。
OpenOffice.orgの拡張機能
Firefoxの人気に大いに寄与したものの1つが、Firefoxの拡張機能によって新しい機能性を追加できることだ。Suárez-Pottsによると、OpenOffice.orgも拡張機能によって開発者が機能性を追加できるようにした。これはOpenOffice.orgのコードベースにあらゆる機能を追加するのではなく、OpenOffice.orgをスリムで有能で、容易に追加できるようにするものだという。
OpenOffice.orgの拡張機能はまだ利用されていないが(今のところ人気のあるOpenOffice.org拡張機能は多くないそうだ)、フランスのリヨンで9月11日から13日まで行われるOpenOffice.org Conference(OOoCon)2006では拡張開発が重要な議題になるだろう。
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