IPA自治体でのオープンソースソフトウェア活用実証、「実用に耐えうる」

 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2006年7月27日、自治体でのオープンソースソフトウェア(OSS)活用の実証実験の結果を発表した。Linuxデスクトップ環境の利用が中心で、OSSのOS、アプリケーション、システムが自治体で実用に耐えうることが実証されたという。

 実証実験は、OSSの効果的な活用分野や、導入・運用の課題を明確にすることを目的としたもので、札幌市、栃木県二宮町、大分県津久見市、沖縄県浦添市の4自治体の計約400人の職員が協力した。前年度の「学校教育現場でのOSS活用実証」に続いて、行政現場を対象に検証を行った。

 たとえば、札幌市では、同市水道局の11拠点に計111台のLinux(Turbolinux FUJI)デスクトップPCを導入。市産業振興センターにヘルプデスクを置いて、広域イーサネット接続し、6カ月間にわたって実務に活用した。アプリケーションはIP電話やオフィススイートやグループウェアのほか、ビデオ会議にも利用し、マルチメディア分野のOSS導入を検証した。

 また、二宮町では、町役場全体と出先機関にOSSデスクトップを配置して文書作成や通常業務を処理した。津久見市は、OSSデスクトップのネットワークブート環境を構築して、保守・運用の統合集中管理を行った。さらに、浦添市は、Solaris10デスクトップを使用しながら、基幹業務システムとOSSデスクトップの共存環境を構築し、ヘルプデスク業務の分析を行った。

 これらの導入実証の結果、OS、ワープロ、表計算、Webブラウザなどの事務処理用基本アプリケーションが、自治体で実用に耐えうることを実証できたという。また、導入の課題のひとつと考えられているサポートについては、地元企業が十分に機能することが実証されたとしている。

 一方、課題面では、外部と交換するデータや自治体システムのデータがオープンスタンダードでないため、OSS デスクトップを既存システムと共存させながら導入・移行することが困難となるケースがあることが分かった。また、突発的に発生する問題解決のための継続的で低コストのサポート手法が求められていることもはっきりしたという。

 IPAは、これらの課題の解決へ向けて、2006年度、自治体での実証実験を行う予定。現在、参加自治体を募集している【Infostand】

「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」の成果