Tuxのぬいぐるみもオープン化

LinuxのマスコットTuxが少々風変わりなオープンソースになった。Free Penguin ProjectがTuxのぬいぐるみを製作するための型紙をフリーGPLで提供、製作上のアドバイスをしているのだ。このサービスを利用すれば、ハードウェア上の条件を満たす人なら誰でもペンギンのぬいぐるみを自作できる。ミシンと布地を自力で入手すれば、あなたもTux製作者になれるというわけだ。

このプロジェクトの責任者Joerg Feuerhakeは、サイトで提供しているぬいぐるみの型紙を「フリーの実行形式」と呼んでいるのだが、これにはちょっとしたエピソードがある。2000年の終わり頃、Feuerhakeが経済学の学位取得を目指して勉学にいそしんでいたときのことだ。Feuerhakeとその仲間たちは、Linuxのマスコットの型紙が自由に手に入らないことに気づいた。「そのあと、気晴らしに、縫製の工程がソフトウェア開発の何に対応するだろうかと考えてみたのです。コンパイル、ハードウェア、ソフトウェア、ライセンスといった概念ですね」。Feuerhakeによると、両者は一対一に実によく対応しているという。ハードウェアはミシン(あるいは針と糸)に、ソフトウェアは型紙に、コンパイルは各手順を組み立てて布を縫い合わせる作業に、ライセンスはもちろんライセンスに対応する。

そこで、FeuerhakeはMcDonaldのぬいぐるみをリバースエンジニアリングし、最初のTux用型紙のための仕様を作ったのだという。「その後、もっと品質のよいTuxを入手して、精確な寸法を採りました。完全なものではありませんでしたが、それが最初のTux用型紙になりました。それからは、実際にTuxを作った人の意見を聞いて改良していきました。今の型紙は、そうした人たちのお陰でできあがったものです」

FeuerhakeはTuxのぬいぐるみコードをダウンロードしコンパイルした人たちから多くの好意的な反応をもらっているという。「もう、さほどの手間はかかりません。世界中からメールが来るのは大きな楽しみです。Tux(の写真)が添付されていたり意見が書いてあったり、寄付を送ってくる人もいます。メールは月に2通ほどでしょうか。ときには、型紙に関するものもあります。ぬいぐるみ製作に経験のある人はTuxのコンパイルで問題に遭遇するのです。かえって、初心者の方がうまくいきます。おそらく、私の型紙が標準に準拠していなかったからですね。何しろ、縫い代なるものを知ったのは、ほんの数か月前のことですから」

Feuerhakeがこのサイトから得る対価は多くはない。2月からGoogleのテキスト広告を載せたが25ドル足らずにしかならず、これはサイトに流入するトラフィックに見合う金額ではない。「でも、背後にある学術的なことに関心があるんです。ソフトウェアに関する概念を手仕事に適用できるだろうか。そうすることで(そうした概念は)崩壊してしまうだろうか。もしそうなら、ソフトウェア分野においてすでに崩壊しているのに、まだそれに気づいていないだけではないのか、といったことについてですね」

型紙はFree Penguin ProjectのWebサイトから入手できる。同サイトには、プロジェクトの経緯や完成したTuxの写真集も掲載されている。

NewsForge.com 原文