OpenWengoのVoIP Firefox拡張

Mozilla Firefoxの拡張機能として、GPLライセンスによるVoIPクライアントのWengoPhoneを使用できるようになった。このソフトウェアはSIPを採用しており、デフォルトでは特許のないSpeexオーディオ・コーデックを使用する。親会社のNeuf Telecomは、ユーザを公衆電話網に接続するため、オプションでWengoコールアウト・サービスを提供している。現在、WindowsおよびMacのビルドが用意されており、Linuxについては作業途上にある。

この最初のリリース(ベータ0.66)は以前の非XULクライアント(WengoPhone Classicと改名されており、今でもダウンロードできる)よりも使用範囲が限られている。Windows(XPまたは2000)とMac OS X(10.4以上)においてFirefox 1.5以上でしか使用できないが、Linuxでも非公開ベータテストが行われているそうだ。

しかし、このリリースはこのプロジェクトの新しいWengoPhone NGコードベースからの最初の一般公開である(これまではソース形式でしか提供されていなかった)。WengoPhone NGフレームワークは、音声チャット、XMPPによるプレゼンスとメッセージング、公衆電話網との間でのSMSテキスト・メッセージングに加えて、ビデオをサポートしている。

WengoPhone拡張は他のWengoPhone拡張クライアントへの音声コールで、デフォルトでXiphプロジェクトのSpeexコーデック(オープンソースで特許なし)を使用するため、この面で少数のクロスプラットフォームな汎用アプリケーションの1つになっている。また、他のコーデックにも対応しており、SpeexをサポートしていないWengoPhone Classicやその他のクライアントへの接続時には、GlobalIPSoundのiLBC(特許あり)を使用する。

WengoPhone ClassicはネイティブWindowsアプリケーションおよびLinuxのGTK+アプリケーションであり、2つの別々なGUIブランチが必要だった。新しいクライアントを開発するにあたり、WengoはDaniel Glazmanのコンサルタント会社であるDisruptive Innovationsと契約を結び、XULで単一のクロスプラットフォーム・インタフェースを開発した。

かつてNetscapeの技術者であったGlazmanは、XULによる複雑なアプリケーションの構築には馴染みがある。彼はほとんど見捨てられていたNetscape Composer HTMLエディタに手を加えて、スタンドアロンの現代風なNvuエディタに作り直した。この点を考えると、WengoがWengoPhoneもスタンドアロン・アプリケーションに改変し、非XULクライアントを過去のものとして葬り去るだろうと予測するのは、決して無理なことではないだろう。ただし、Glazmanはその可能性についてコメントしないだろうが。

Hello world

WengoPhoneは自らをFirefoxサイドバーにロードするが、インタフェースはスタンドアロンのWengoPhone Classicアプリケーションとほどんど変わりない。パフォーマンスの面では、WengoPhone Classicよりもロード・スピードが速く、これまで私が見た限りでは安定度も増しているようだ。間違いなくSpeex音声を使用しているか確認するためには、このコーデックがデフォルトになっている別のソフトフォンを呼び出さなければならない。私はテストして音声がクリアであることを確認したが、これはブロードバンド接続で行った(ジッター遅れは普通ではない)。

私には2つのコーデックの質的な違いがあまりよくわからないし、こうしたコーデックのストレステストのために悪条件のネットワーク接続をシミュレートするツールについても承知していない。ご存知の読者は下のコメント・セクションで指摘してほしい。私が自分で試した限りでは、コーデックと独立に使用されるエコー除去に関して、WengoPhoneはライバルのSkypeに勝っている。Skypeでは(特にLinux上では)常にエコーによる悪影響を経験した。これは重大な問題でないかもしれないが、長く持続すると徐々に不快感が増してくる。

Glazmanによると、WengoPhoneの今後の予定としては、Linux拡張とMac OS X拡張のリリース、SMSメッセージングとXMPPメッセージングの統合、それに非XMPPチャット・プロトコル用のlibgaimがあるという。彼のブログの最近の投稿を見ると、XMPPメッセージングは0.66ベータではアクティブでないものの、すでに使用できる状態になっているらしい。

重要事項

SIPやXMPPのようなオープン・プロトコルがなぜ重要かというと、音声、ビデオ、テキストのいずれであれ、チャットをコモディティに変え、これを提供する多くの競合製品を生み出すからだ。このようなとき、強いオープンソース製品の存在が決定的に重要になる。競技場を平らにすることができるからだ。

WengoPhoneが最終的に勝者となるかどうか私にはわからないが、この新しいクライアント・ソフトウェアには2つの大きな長所がある。それはクロスプラットフォーム・インタフェースのためのXULと、特許の絡んだ音声コーデックの法的な地雷原を避けるためのSpeexである。おそらくMozillaプラットフォームはクロスプラットフォームなオープンソース・アプリケーションを開発するための最も単純で最も強力な方法であろう。しかし、FirefoxとThunderbirdが成功するためには、これからXULベースのIMクライアントと取り組む必要がある。処方箋にVoIPを加えれば、この考え方を活性化するきっかけになるだろう。

現在、WindowsとMac OS Xで稼動しているFirefoxは、このオープンソースで標準ベースのコミュニケーション・ツールをシステムに追加することができる。Linuxユーザは正式なリリース(当初の予定は2月15日だったが、まだ「coming soon」となっている)を待つか、ソースからのビルドによってWengoPhone NGコードを試してみることができる(詳細はOpenWengo.org wikiを参照されたい)。

原文