Linuxデスクトップ開発をテーマとするOSDL主催の会議
オレゴン州ポートランドで開催された2日間の会議には、30を超えるプロジェクトに所属する70人以上の開発者が参加した。代表を送り込んだ組織には、KDE、GNOME、Freedesktop.org、X.org、IBM、Red Hat、Neoware、Sun Wah Linux、Adobeなどがある。Jonathan Riddelがイベントの若干の写真を投稿し、Dan Kegelがそれについて詳細な解説を加えている。
OSDLのBryce Harringtonが、会議のレポートを自分のサイトに載せている。このレポートによると、初日の議事進行は「次第に参加者が主導権を握るようになった」そうだ。1日目のランチを終えてから、解決する必要がある問題点の優先度について投票が実施された。
会議に参加した開発者の意見では、優先度ナンバー・ワンは、独立系ソフトウェア ベンダ(ISV)がLinuxデスクトップ向けのアプリケーションを開発しやすくすることだった。2番目の優先事項として選ばれたのは、Linuxデスクトップにおけるハードウェアサポート、つまりドライバや「プラグアンドプレイ」機能をデスクトップユーザに提供することであった。さらに、プロジェクト間の連携が、デスクトップ開発と採用を促進するために改善を加えるべき場所として挙げられた。
ユーザビリティが会議の重要な議題になるはずだと思う人もいるだろうが、「それぞれのプロジェクトで対処する方が簡単」というのが、Seigoの見解だ。彼の言葉を借りると、「あれこれうるさく言われるけど、実際はそこまでひどくはない」。
Portlandイニシアチブ
優先度を決めた後で、それぞれの問題に取り組む方法について議論が進められた。Portlandイニシアチブは、ISVの問題に対処しようとする活動である。Cherryによると、このイニシアチブは、アプリケーション開発者が「開発に使うツールキットを選択する際に、顧客が使用しているデスクトップLinuxの種類にはとらわれずに、ツールキットの特徴に基づいて決断を下すことができる」ようにする。
Waldo Bastianの電子メールによると、「統合地点の優先順位を決め、ISVにフィードバックを働きかけ、Portlandイニシアチブを実装するために使えるGNOMEとKDEの既存の機能を特定し、できれば最初のドラフト実装を提供することを目指して」4人からなるタスクフォースが結成される。Alex Graveley(GNOMEプロジェクト)とGeorge Staikos(KDEプロジェクト)がタスクフォースのリーダーに選ばれ、他のメンバーの人選を進めている。Portlandイニシアチブの最初のバージョンは、Linux Standard Base(LSB)4.0の公開(2006年末予定)に合わせて完成を予定している。
また、Cherryによると、Internet Engineering Task Force(IETF)がRequests for Comments(RFC)を作成するのと似たような方法でデスクトップ仕様を作成する系統的なプロセスについても話し合われた。「さまざまな仕様をfreedesktop.orgで公開して、検討を進める必要があるものを評価する」予定だと、Cherryは語った。
今後取り組むべきこと
Cherryによると、開発者のトレーニングに役立てるため、OSDLはドライバ作成に関するリソースをまとめることを予定している(この方面に関心のある開発者は、Greg Kroah-HartmanのHOWTOも参照されたい)。
ドライバに関しては、OSDLは「仕様をもっとオープンにする」ようにベンダに積極的に働きかけており、バイナリドライバを提供しようとするベンダに待ったをかけている、ともCherryは語った。バイナリドライバは、過去に摩擦の原因となった懸案事項である。
成功を収めた会議が1回限りで終わる道理はない。Cherryによると、OSDLは第2回Linux Desktop Architect会議を2006年5月にオランダで開催することを未確定ながら計画中だ。また、印刷、ワイヤレスサポートとドライバ、電源管理などの特定分野を継続審議する会議の予定もある。
Linuxのデスクトップ利用を推進する活動は、これが最初ではない。たとえば、2003年に結成されたDesktop Linux Consortiumは、Linuxがデスクトップで直面する問題点を解決する活動でわずかながら先行している。
今回の活動は別のものであり、Linuxのデスクトップ採用の促進に成功する可能性はこちらの方が高い、とCherryとSeigoは口を揃える。Cherryによると、OSDLは「さまざまな組織が寄り集まった党派」ではなく開発者の「共同作業の場」として機能することを目指している。
米RaizlabsのGreg Raizは、Linux開発者ではないが、ブログに書いた記事が縁で会議に招かれた。その記事で彼は、この会議で提案されるイニシアチブが良いものであればLinux向けのソフトウェアの開発を検討したい、と書いたのである。「Portlandの会議とプロジェクトが、Linuxプラットフォームでの開発をやりやすくしてくれるとうれしいですね。もしそうなったら、たくさんの開発者と企業が(自分を含めて)時間と資金を投じて自分のソフトウェアをLinuxに移植することを検討するでしょう」
原文