OpenDocument Fellowshipの結成
OpenDocument Fellowshipは、The Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)のメンバの何名かが力を結集し、さらにOpen Source ConsortiumやSchoolForge UKのメンバも交えて結成された団体である。
OpenDocument Fellowshipの創設メンバの1人であるAdam Moore氏によると、同団体は、OpenDocumentビューアなど、ODFを補完するアプリケーションを支援および開発することを目指しているという。Moore氏はこう語る。「ODFビューアは、PDFにおけるAcrobat Readerと同じ役割をODFに対して果たすものです。OpenDocument形式のファイルを誰でも表示したり印刷したりできるようになります。OpenDocumentをどの程度のレベルでサポートしたソフトウェアを使用しているかは関係ありません」。
Moore氏によると、同団体の他のメンバたちは、ODFファイル用のメタデータ・アグリゲータに関する作業に取り組んでいるという。メタデータ・アグリゲータがあれば、作成者情報、編集者、作成日、その他のユーザ定義フィールドなど、特定のフィールドに基づいて、データベースを検索できるようになる。OpenDocument形式のファイルはメタデータが豊富なので、ODFの当面の目標の1つは、そのデータを理解および解釈するライブラリの作成である。ゆくゆくは、このメタデータに基づいてOpenDocumentファイルをユーザが検索および並べ替えできるGUIアプリケーションを作成することを、OpenDocument Fellowshipは目指している。
OpenDocument Fellowshipのもう1つの目的は、ODFについての情報を提供したり、OpenFormulaプロジェクトなどのオープン・スタンダードとの互換性を確実に維持するために必要なツールを、ソフトウェア開発者やソフトウェア会社に提供することである。Moore氏はこう語る。「我々は、OpenFormulaプロジェクトでの開発をサポートします。これは、OpenDocumentを拡張する余地のある主要な領域の1つです」。
OpenFormulaが目指しているのは、OpenDocumentおよびOOoと高い互換性を持つ形でスプレッドシートの数式を定義し、どのアプリケーションのユーザでも、数式の相互互換性の問題なしでスプレッドシートをやり取りできるようにすることである。
OpenDocument Fellowshipのメンバの1人であるJason Faulkner氏は、同団体の存在目的の1つは、OpenDocumentをサポートする人たちをサポートすることだと語る。「我々は、行政機関、非営利団体、企業などに対し、オープン・スタンダードがデータの保持にどのように役立つかを示すことができればと思っています。そうした人たちの疑問に答えを提示できる存在でありたいというのが我々の願いです。徐々にリソースを蓄積していき、OpenDocumentについて疑問のある人がそのリソースに目を通すことで答えを得られるようにしたいと考えています。
Faulkner氏とMoore氏の両氏が口を揃えたのは、OpenDocument Fellowshipの主眼はプロプライエタリ・ソフトウェア対オープンソースの争いではないということだ。Faulkner氏はこう語る。「オープン・スタンダードとデータへのアクセス性が主眼です。StarOffice、Microsoft Office、OpenOffice.orgなど、どのツールを使用するかにかかわらず、データに確実にアクセスできるという信頼が必要だと我々は信じています」。
Moore氏は、オープン・スタンダードへの移行はオープンソースより大きいと語る。「我々のメンバの多くは、過去にオープンソース・コミュニティに従事した経験を持ちますが、重要な点としてはっきりさせておきたいのは、OpenDocumentはプロプライエタリ対オープンソースという問題ではないということです」。また、Moore氏によると、ODFの推進には「大物」も加わってきているという。具体的には、OpenDocumentを管理するOASIS Technical CommitteeにAdobeが参加したり、CorelがWordPerfectの次回のバージョンアップでODFのサポートを計画しているとのことだ。
Moore氏は、オープン・スタンダードが重要な理由として、ユーザがある環境から別の環境へと移行しやすくなるという点を挙げた。「私は、さまざまな教職員やサポート担当者の人たちと広範囲に接してきました。その経験は、オープン・スタンダードへの移行によって得られるメリットを説明するうえで大いに役立っています。批判者に対しては、同じフォーマットを使用する複数のアプリケーションを示すことができれば、OpenDocumentの規格の使用によって競争が促進されるという点を証明できます」。つまり、OpenDocumentによって競争が抑制されるわけではないということだ。
Faulkner氏はOldOs.orgというサイトを運営している。古いコンピュータの愛好者を手助けすることを目的としたサイトだ。「サイトの利用者から、コンピュータをきちんと動作させるために役立ったという感謝の電子メールが私のもとへ届くようになりました。古いPCを生き返らせる必要が生じた理由として圧倒的大多数の人が挙げたのは、現在では読み取りや表示ができない古い形式のファイルを取り出すということでした。オープン・スタンダードの推進に従事することによって、5年、10年、あるいは20年経った後であっても、誰でも自分のデータに難なくアクセスできるようになることが、私の願いです」。
OpenDocument FellowshipのWebサイトには、この団体についての詳細な情報や、FAQ、リソース・セクション、ODFをサポートするアプリケーションの一覧などがある。OpenDocument Fellowshipへの加盟は招待によってのみ可能だが、ODFの支持者のメーリングリストは一般向けに開放されている。
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