Bryant大学がLinuxに標準化

ニュー・イングランド州Rhode IslandのBryant大学は、2004年10月のPrinceton Reviewで全米で「2番目に接続環境が整ったキャンパス」にランクされた。同校には、オンラインによる登録や課程資料配布、デジタル資産ライブラリ、相互接続された大規模キャンパスなど、さまざまなWebサービスが備えられている。そして、そのすべてがLinuxを基盤とする。

現在の共通プラットフォームは、数年前の状況とは大違いだ。「あらゆるものがたくさんありましたが、たいして役立ってませんでした」と、Bryant大学の情報サービス担当副学長Art Glosterは振り返る。「複数のプロセッサ、ベンダ、オペレーティングシステムが入り乱れた状態です」異種システムのミスマッチがサーバ能力の非効率な利用と相まって、IT部門の仕事を難しくしていた。74台のサーバが3箇所にあるため、左手が何をしているか右手が知らないということも珍しくなかった。

学生と教員に最新のテクノロジ・サービスを提供するため、Bryant大学はLinuxに標準化することを決めた。「単一のプラットフォームシステムに本当に集中して構築することが、私たちの意図でした。できるだけ多くのサーバを整理統合し、同じオペレーティングシステム[の使用]に向かわせるというのが方針です」Glosterとスタッフは、経済性と安全性を兼ね備えたオープンソースを使い続ける必要があることを認識しており、Red Hat LinuxをIBMハードウェアで使い続けることは簡単な選択だった。「IBMが自社の全プラットフォームでLinuxをサポートすると発表したので、私の立場からの決断は簡単になりましたよ」と、Glosterは語る。

標準化プロジェクトの結果は、なかなか興味深い。Glosterの報告によれば、約50台のサーバを統合により削減することができた。予想以上の削減効果である。「整理統合の作業を進める過程で、存在が知られてなかったサーバが次々と見つかったんです」彼らがキャンパスに発見した「ステルス・サーバ」は、なんらかのセキュリティ制御を迂回するためにワークステーションをサーバに切り替えたために生まれていた。「ネットワークの安定性を考慮すれば、中央システムを使うのが得策だとそれでわかりました」

Glosterによると、プロジェクトがオンラインに移行した2004年初頭以来、人件費が「大幅に」節減された。正確な金額をはじき出すことは、一部の部署がシステムを部内でサポートしなくなったため難しいが、Glosterの言葉によれば、情報サービスのスタッフを増員する必要はなく、さらに外部に委託していた保守作業を社内に移した。「仕事の効率がアップし、組織全体の基盤となる堅牢なネットワークが手に入り、外部からサービスを買わなくなり、スタッフを再トレーニングし、彼らがステップアップできるようになりました」

Bryant大学では現在もデスクトップにWindowsが利用されているが、同大のコンピューティング・テレコミュニケーション責任者Rich Siedzikは、これが変わるかもしれないと言う。「Citrix型アプリケーションを実行する小規模クライアントをダウンロードして実行するディスクレスのワークステーションがある教室の一部では、Linuxを試用することが検討されています」

オープンソースはBryant大学キャンパスで実力を証明しつつあり、これまでSun中心でやってきたITスタッフの一部にもそれが認められ始めている。「抵抗感はかなりあったのですが、今では文化上の変化が彼らに訪れました。以前よりLinuxに好意的です。彼らはその能力をまのあたりにして、Sunサポートを相手にしなければならないという障壁がもうないことも知りました。Solarisになかった多数のユーティリティがオープンソースにはあります」と、Siedzikは言う。

Glosterの口からは、この移行について悪い言葉は出なかった。他の教育機関もLinuxに切り替えるべきだと彼は勧める。「とても安定してますし、オープンソースの可能性もあります。選択肢があるんですよ」

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