小さな大学がOpenOffice.orgとLinuxで大きな経費節減
Duncanがこの件に関わり始めたきっかけは、2003年初頭に父Robert Duncan Jr.がABAからベーコン大学の学長に任命されたことだ。IT部門の改革の必要性は明らかだった。当時のコンピュータラボのデスクトップマシンはすべてPentium 133とWindows 98だった。マシンは頻繁にクラッシュしたし、ハードディスクの障害も日常茶飯事だった。問題をさらに複雑にしたのは、Microsoftの技術サポートが撤退したおかげで、大学側が多額の出費を迫られるようになったことだ。Windows XPは300MHz未満のCPUでは満足に動かなかったため、大学側はオペレーティングシステムのアップグレード費用だけでなく、ハードウェアの購入費用も捻出しなければならなくなった。
置き換えの必要があるデスクトップマシンは全部で45台あり、45本のWindow XPライセンスだけでなく、45本のMicrosoft Officeライセンスも購入しなければならなかった。そこで、何かうまい方法はないかと検討が始められた。経営学を専攻していたDuncanは、当時ちょうど学校でLinuxを使い始めたところで、すぐにOpenOffice.orgの存在に目をつけた。調べてみたところ、この無料のツールはMicrosoft Officeを完全に置き換えられる完璧なソリューションであることが判明したので、彼はOpenOffice.orgを使うよう父親と大学職員に進言した。
Duncanによると、大学職員らは当初、「本当に無料の製品が450ドルもするMicrosoft Officeの完全な代わりになるのか」という疑いを持っていて、そのためだけにOpenOffice.orgの受け入れを渋っていた。しかしDuncanはある日偶然、彼らの目を開かせるのに役立つ本に出会った。
「僕はクリスマス休暇を終えてニュージャージーからオクラホマに車で帰る途中、ふと思い付いてナッシュビルの終夜営業の本屋に立ち寄ることにした。そこで『OOoSwitch: 501 Things You Wanted to Know About Switching to OpenOffice.org(OpenOffice.orgへの乗り換えのために知っておきたいこと501)』という本を見つけたんだ」。この本では、彼がこれまでに耳にしたあらゆる否定的意見に対して、その作業をOpenOffice.orgで行う方法が説明されていた。Duncanはこう語っている。「今では、誰かが『OpenOffice.orgでこれはできないだろう』と言ってきたら、そのたびにこの本を見せて『いや、できるよ』と言ってやるんだ」。
さらにDuncanは、Wal-Martと交渉して、オペレーティングシステムの付いていない新しいコンピュータを1台199ドルで45台注文できるようにこぎつけた。これにより、Microsoftライセンスをアップグレードするよりも安いコストで、Windows 98とOpenOffice.orgを搭載した新しい保証付きシステムを45台用意することができた(Windows 98は新マシンに移行し、旧マシン上のWindows 98は削除した。これはWindows 98 EULAに違反していない)。
工夫はそれだけに留まらなかった。45台の古いPentium 133マシンにRAMを上限まで増設し、障害のあるハードディスクを取り外して、CDから起動する新しいKnoppix Linuxマシンとして生まれ変わらせたのだ。このリサイクルされたワークステーションはキャンパス内のあちこちの公共エリアに配置され、管理・保守しやすいインターネット用マシンとして利用されている。「これらのマシンは監視も再設定も必要ない。ただ再起動すればいいだけだ」とDuncanは語っている。
Duncanは、自分が創意工夫をこらして実現した成果に満足している。「これで、どこかのサードパーティに振り回されるのではなく、自分たちの技術リソースを自分たちでコントロールできるようになった。2年ごとに新しいコンピュータを購入するように、とどこか別の会社から命令されるのは恐ろしいことだ。我々はOpenOffice.orgとMicrosoft Officeの差額で経費を節減し、使用可能なコンピュータの数を2倍に増やすことができた。他の人なら捨ててしまったようなハードウェアを利用して、ラボやサイバーカフェへのオープンアクセスを実現することもできた。そのほとんどはOpenOffice.orgのおかげである」。
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