イタリアで年間プログラミングトーナメントの勝者が発表

2月9日、ミラノでInfosecurity and Storage Expo Italia 2005の最中に第一回Italian Open Source Contestの受賞者が正式に発表された。このコンテストはLinux&CLinux Pratico、Hacker & Cというイタリアの雑誌の出版社が始めたもので、多くの興味深いアイデアに光を当てることになった。

どんなソフトウェアプロジェクトにも、オリジナルであって(ローカライズでない)、OSIが承認したライセンスに基づいて利用できて、2004年1月1日現在、最低1人のイタリア市民が開発チームにいる限り、参加資格が与えられていた。6つのカテゴリがあり、それぞれに1,500ユーロの賞金が付いている。最初の4つは「最も革新的なソフトウェア」、「ベストユーザインタラクション」、「ベストコミュニティ」、「マルチメディア」である。「セキュリティ」、「ネットワーキング」、「コミュニケーション」がもう1つのクラスを構成し、最後の「ビジネスソフトウェア」にはデータベース、オフィス、システム統合の各ツールが含まれる。

これらのメインカテゴリのほかに、このコンテストには大学とハイスクールのプロジェクトを対象にしたユニークな枠がある。これらのプロジェクトには、四位から一位まで400〜1,000ユーロの賞金が与えられる。これは学生にフリーソフトウェアへの興味を持たせる優れた方法である。自分の力を見せられる適当な場所と適当な機会を開発者のタマゴたちに与えれば、彼らは一度きりの退屈な宿題を、もっと刺激的で長続きする何かに変えられるかもしれない。それが仕事になったとしても悪いことはなかろう。

審査員団はフリーソフトウェアにかかわるイタリアの主要なコミュニティ(アカデミー、ビジネス、伝道者、開発者)を代表するものであった。審査員長のRenzo Davoliはボローニャ大学でオペレーティングシステムを教えている。審査員の顔ぶれを見ると、IBMなどの企業でITマネージャを務めている人やフリーランスのITコンサルタントが数人いた。Italian Free Software AssociationからはChristopher R. Gabriel(GNOMEの開発者でFree Software Foundation Europeイタリアセクションの前の副会長)とSimo Sorce(2001年以来のSambaチームのメンバ)が来ていた。ほかにハッカーのGaetano Paolone(GNUtembergプロジェクトの創設者)や、非プログラマとして弁護士のAndrea Monti(Association for Freedom in Interactive Electronic Communicationsの会長)も列席していた。

審査は2004年全体で2段階で行われた。第一段階では、審査員団が各プロジェクトを採点する。第二段階になると、SMS、電話、Web投票、または電子メールを通じて誰でも好きなプロジェクトに投票できる。そして、審査員団による採点と一般の投票を加重加算したものが最終的な点数になる。

審査員団による評価は、技術的基準と非技術的基準の両方で行われた。すなわち、革新性、拡張性、オープンソースコミュニティに対するサービスの価値、使いやすさ、そしてソースコードの質が問われるのである。残念ながら、多くのFOSSアプリケーションは、ソースコードのメンテナンスとデバッグを作者以外の者がやろうとしても非常に難しいのが現実だ。フリーソフトウェアが最終的にこの点でも審査されているのは爽快なことである。

受賞者

6つのメインカテゴリについて、受賞したプロジェクトの名前を挙げる。そのうちの4つはすぐに利用できるものである。

  • 革新性: OpenSignature。Infocamere(イタリアの公式な証明機関)から現在リリースされているスマートカードに適合するデジタル署名のパッケージ。
  • ベストユーザインタラクション: Freesbie。Italian FreeBSD User Groupが開発したFreeBSD LiveCD。このパッケージには、カスタムバージョンを作成するためのスクリプト群も含まれている。
  • ベストコミュニティ: Kuht.it。熱心なコンピューティングファンのためのポータルで、FOSS問題専門のセクションがある。
  • セキュリティ、ネットワーキング、コミュニケーション: FreePOPs。標準のPOP3サーバと同じようにWebメールポータルからメッセージをダウンロードできるデーモン。プラグインを簡単に追加できるようにLUAインタプリタが埋め込まれいる。また、RSSアグリゲータとしても機能する。
  • マルチメディア: Hydrogen。Ardour、Muse、Rosegardenといった他の本格的な音楽制作ツールと統合するためのフックを持つ先進的なドラムマシン。
  • データベース、オフィス、システム統合: Syntax Desktop。通常のコンピュータデスクトップと同じようなユーザインタフェースを持つコンテンツ管理システム。

    学生のプロジェクト

    学生のプロジェクトで一位になったのはRemote Mailで、これはいくつかのWebメールまたはPOP3のアカウントからの電子メールを集めるためのPHPクライアントである。二位はAkira (Artificial Knowledge Interface for Reasoning Applications) で、こちらは人工知能エージェントを構築して、その振る舞いを研究するための統合環境である。三位はMoio’s CMSで、これは非常にユーザフレンドリなコンテンツ管理システムである。四位になったのはIIPimageを論じた卒業論文である。IIPimageは効率的な閲覧のためのWebクライアント/サーバシステムで、非常に遅いダイヤルアップリンクでも非常に高解像度のイメージを見ることができる。IIPimageのサーバコンポーネントはApacheプラグインで、クライアントはJavaまたはJavaScriptのアプレットである。

    その他の情報

    コンテストサイトを訪れたら、右上隅にあるRandom Projectのリストをチェックしてほしい。何か素晴らしいものが見つかるかもしれない。たとえば、私が見つけたのはMy Handy Restaurant、DaDaBIK、Segusolandである。My Handy Restaurantはレストラン用のPHP/MySQLパッケージで、2つの部分から成る。一方はボーイから注文を集めて管理するために使われ、もう一方は連絡先、会計、従業員、仕入先を管理するために使われる。内部の顧客データベースはテークアウトや登録した顧客からの電話注文もサポートしている。DaDaBIKでは高度にカスタマイズ可能なフロントエンドを作成して、最小限の設定でMySQLデータベース内のレコードの検索/挿入/更新/削除ができる。Segusolandはユーザインタラクションへのまったく新しいアプローチとして始められた。元のプロジェクトは、もはやメンテナンスされていない。OneFingerという汎用GUIとファイルマネージャに進化したからである。最も特徴的な機能は、いわゆる動的な「絞込み」である。つまり、自分の作業習慣に合わせて、一緒に使用できるコマンドとファイルだけを表示するというものである。

    イタリアの例に倣おうではないか。あなたが属しているオープンソースコミュニティでも、この手法を参考にして、独自のオープンソースコンテストを開催するようお勧めしたい。

    原文