IBMがオープンソースに対して500件の特許提供を公約

[プレスリリース]:[米国ニューヨーク州アーモンク 2005年1月11日(現地時間)発]
IBM (R) は、IBMが保有する米国のソフトウェア特許500件とこれに対応する米国外の特許による重要なイノベーションに対して、オープン・ソース・ソフトウェアに取り組む個人および団体が自由にアクセスできるようにすることを公約しました。これは、これまでのあらゆる種類の特許に関する公約の中で最大規模になるとともに、IBMによる知的所有権(IP)ポートフォリオの管理および展開方法が、大きく変化していることを示すものです。

この対象となるのは、現在、および将来において、オープン・ソース・イニシアティブ(OSI)によるオープン・ソースの定義を満たすソフトウェアを取り扱い、または使用している個人、コミュニティー、企業です。

IBMはこの公約を通じて、情報技術開発者およびユーザーにとって幅広い関心の対象分野におけるイノベーションをさらに推進するためのプラットフォーム確立を目的として特許が活用されるような、業界規模の「patent commons」(特許共有資産)の基盤形成を目指しています。

また、米国特許商標局(USPTO)は11日、特許取得件数の年間上位リストを発表しました。IBMは2004年米国特許取得数が3,248件となり12年連続で世界最多となりました。IBMは他の企業と比較しても1,314件多く特許権を保有しています。IBMは4年連続で米国特許件数が3,000件に超えており、単年度に米国特許件数を2,000件以上取得している唯一の企業となっています。

知的所有権はイノベーションの基本的な原動力ですが、多くの場合、技術的な進歩は、知識や標準、協業的な革新技術の共有に依存しています。IBMのIPフレームワークによって、真の意味で新しい、斬新かつ有用な発明を保護しながら、この両方を実現させることができます。オープン・スタンダードは、グローバルなインフラの相互運用性と拡大を加速するものです。

IBMのテクノロジーおよび知的所有権担当シニア・バイス・プレジデント、ジョン・E・ケリー博士は、次のように述べています。「イノベーションにおける真のリーダーシップは、単に付与された特許数だけで決まるのではありません。お客様、パートナー、そして社会に利益をもたらす革新こそが大切なのです。知的資産の戦略的な活用におけるリーダーシップという、IBMの伝統を継続していく今回の公約は、パートナーとお客様に利益となるようなIBMの知的所有権の管理方法におい て、新時代の幕開けを告げるものです。これまでの産業経済と異なり、イノベーション経済では、所有者に対して行動の自由や利益を提供すること以上の、知的所有権の展開が要求されるのです。」

イノベーション、相互運用性、オープン・スタンダードの育成

全世界の開発者による協業的なイノベーションに基づくオープン・スタンダード・ソフトウェアは、市場で大きな機運に乗りつつあります。IBMは、特許を開放することで、オープン・ソースの開発者による継続的なイノベーションの育成が推進されることを確信しています。また、オープン・ソースの開発者が自身で活用・共有できるイノベーションの確かな基盤をIBMが提供することで、こうした開発者はオープン・スタンダード、およびアプリケーション間のより幅広い相互運用性にも 貢献してくれることでしょう。

8月のLinuxWorldにおいて、IBMは、Linux (R) カーネルに対して自社特許を主張しないと約束しました。今回の公約は、数千のオープン・ソース・プロジェクトやプログラムを網羅したものです。

ケリー博士は、次のように語っています。「これは一回限りのことではありません。IBMは、特許取得総数のリーダーシップを継続して示していくことになりますが、同時に、今回の公約のような手段により、オープン・スタンダードを通じたグローバルなイノベーションや相互運用性の奨励および保護のために特許を使用する動きをさらに進めていき、また、他社にも同様のことを求めています。米国特許制度がイノベーション経済への挑戦に対応するために着実に発展を続けるよう、私たちはUSPTOのような外部の評価機関や政策立案者と協力していきます。」

特許提供の公約

今回の公約は、IBMのオープン・スタンダードや情報技術の相互運用性を前進させたいという希望に対応するものです。IBMは、ソフトウェア・プロトコル、ファイル形式、インターフェースを対象領域として、オープン・スタンダードでの使用を目的とした無償ベースの特許を選んで、利用可能にしてきました。

今回の公約の内容となっている特許は、ソフトウェアのイノベーションのさまざまな側面に関連するものです。このような特許の一部は、OSに対するダイナミック・リンク・プロセスを対象としています。また別の特許は、ファイル・エクスポート・プロトコルにとって欠かせないものです。全体的に、公開が約束された特許は、オペレーティング・システムやデータベースの重要な相互運用性に関するものや、インターネット、ユーザー・インターフェース、言語処理技術を対象とする ものなど、幅広い内容を網羅しています。

世界にとって意味のあるイノベーション

IBMは研究開発に毎年約50億ドルを投資しており、生活の質を向上させた多数の発明・発見を行ってきました。

IBMは、標準技術以上にイノベーションにフォーカスしています。たとえば、2004年にIBMは、障害を持つ方々を支援する機能、例えば音声認識、ワイヤレスの点字装置、Webサイトのアクセシビリティー、色覚障害を持つ人々向けのポータブルな色彩計などに関連した特許を数十件取得しました。

2004年の米国特許登録状況は11日、米国特許商標局から発表されました。米国特許商標局は米国商務省の一機関で、特許権を交付し、国内の特許商標法を司るとともに、知的所有権権の政策に関する行政府の諮問機関を務めています。

上記の結果およびランキングは、CLAIMSの特許データベースをまとめ、企業に発行した米国特許数を毎年公表しているIFI CLAIMS Patent Servicesからも発表されました。IFI CLAIMSによると、IBM社内の発明者はIBM以外の主たる譲受人に付与された29の特許にも掲載されているため、合計で3,277の特許に名を連ねていることになります。