NovellがSuSEを買収

NewsForgeは、今日の午前8時15分(米国東部標準時)に公式なプレスリリースを受け取った。その内容を簡単に編集したものを以下に転載する。午前11時(米国東部標準時)から始まる予定の公式記者会見の後で続報をお伝えする。

米NovellがエンタープライズLinuxテクノロジ企業の大手、独SUSE LINUXの買収で合意に達したと発表

– Novellは、Linuxディストリビューションと、それをサポートする世界中の技術スタッフをかかえる唯一の10億ドル規模のソフトウェア企業になる。

– Novell/SUSE LINUXは、デスクトップからサーバに至るLinuxソリューションと技術サポートを提供する世界最大の企業になる。

– 顧客は、オペレーティングシステムの分野で20年以上の経験を持つ会社から、エンタープライズLinuxソリューションに対する技術サポートを世界中で受けることができる。米IBMとNovellは、IBM eServer製品群をサポートするNovell/SUSE LINUXとの事業協定の拡張を協議する。

SUSE LINUXのオープンソースのノウハウと、Novellの世界レベルのネットワーキングおよびアイデンティティ管理のソリューションとサポート、トレーニングとコンサルティング・サービスの組み合わせにより、NovellはLinuxとそのすべてのコンポーネントを――サーバからデスクトップまで――供給し、安全で信頼性の高い成熟したLinux基盤を企業に提供できるようになる。Novellは買収を完了するために現金で2億1千万ドルを支払う。この処理には、監督官庁の許可と株主合意の清算が必要になる。Novellでは、第1四半期の終わり(2004年1月)までに買収処理が完了すると考えている。

今回の動きは、Linuxサーバおよびデスクトップ・ソリューションの大手、Ximianの8月の買収に続くもので、あらゆる種類のLinuxソリューションを顧客に提供するというNovellの現在の取り組みをさらに実証している。XimianとSUSE LINUXの買収はいずれも、オープンソース・モデルと開発者のコミュニティを振興するNovellの取り組みを確認するものである。

また、Novellは本日、IBMがNovellの転換優先株に5千万ドルの投資を予定していることも発表した。さらに、NovellとIBMは、IBMのeServer製品とミドルウェア製品で動作するSUSE LINUXを継続してサポートするために、現在IBMとSUSE LINUXの間で交わされている事業協定を拡張し、SUSE LINUX関連の製品およびマーケティングをサポートする手はずを整えるための協議をしている。どちらの協定も、NovellによるSUSE LINUXの買収が完了した時点で有効になる。

「オープンな標準ベースのコンピューティングを求める顧客の要望に応えて、Novellではこれまで4年間にわたってクロスプラットフォーム構想に熱心に取り組んできた。その戦略の中で、Linuxはますます重要な部分を占めている。」Novellの会長兼CEO、Jack Messman氏は言う。「SUSE LINUXの買収により、Novellはデスクトップからサーバまで、エンタープライズクラスのLinuxソリューションを顧客に提供する能力をすべて備えることになる。オペレーティングシステムの経験と、世界的な技術サポートの能力において、今後のNovellに匹敵するエンタープライズLinuxベンダは他に見あたらない。Novellでは、顧客がより自信を持ってLinuxを導入できるように大量のリソースを投入し、オープンソース・ソリューションがミッションクリティカルな機能において本当に信頼できるのかという不安を持つことなく、Linuxがもたらす選択の自由を享受できるようにする。」

「Novellはオープンな標準ベースのコンピューティングの力を知り尽くしており、しばらく前からその方向に進んできた。」SUSE LINUXのCEO、Richard Seibt氏は言う。Novellのグローバルな事業展開、マーケティングのノウハウ、およびセキュリティ、信頼性、グローバルなエンタープライズ・レベルのサポートにおける評価こそ、SUSE LINUXを次のレベルに進めるために我々が求めていたものだ。我々はまた、Novellの顧客と提携先の驚くべき忠誠心と能力にも強い感銘を受けている。顧客がLinuxの利点を享受できるように、またNovellがオープンソース・コミュニティでその役割を引き続き拡大できるように力を合わせることを楽しみにしている。」

SUSE LINUXの製品がNovellのLinuxサービスを補完

SUSE LINUXでは、さまざまな組織の多種多様なニーズに合わせて設計された広範囲のLinuxサーバおよびデスクトップのソリューションを用意している。中規模から大規模企業向けのSUSE LINUX Enterprise Server 8は、ミッションクリティカルな環境に必要な高可用性とスケーラビリティの機能を備えた広範囲なコア・ネットワーキング・サービスを実現する。

SUSE LINUXは、ヨーロッパの代表的なエンタープライズLinux企業である。さらに、ConectivaおよびTurbolinuxとの関係を通じて、SUSE LINUXは南米やアジアでも主導的な立場を取ってきた。SUSE LINUXはまた、米国および北米の企業にLinuxを提供するベンダの上位も占めている。Novellの大規模なグローバル・セールスおよびチャネル・プログラム、実績と信頼のある技術サポート能力、およびIBM、Oracle、SGI、Fujitsu-Siemens、Dell、Intel、AMD、SAP、HPを始めとする主要なパートナーとNovellおよびSUSE LINUXとの関係が相まって、世界中でLinuxの導入をさらに加速する強力なビジネス・ネットワークが実現する。

NovellのLinux戦略

SUSE LINUXの買収は、企業へのLinuxの導入を促進するNovellの取り組みにおいて重要なステップとなる。Novellは2000年初期にLinux向けのソリューションの整備を開始し、主要製品のeDirectoryテクノロジをLinux上で利用できるようにした。今年の4月、NovellはNetWareオペレーティングシステムで動作するすべてのサービスを、将来はNetWareとLinuxの両方のカーネルで実行できるようにして、Novellの世界的な技術サポートもすべて提供すると発表した。8月には、優れたLinuxデスクトップ管理ソリューションを持つとともに、Linuxデスクトップを促進し、Microsoftの.NET*アプリケーションをLinuxで実行できるようにするための将来を見据えたリーダーシップを備えたXimianを買収した。

9月に、NovellはNovell Nterprise Linux Services(NLS)のオープン・ベータを発表した。これはSUSE LINUXおよびRed Hat*上で動作し、Linux環境にさまざまなネットワーキング・サービスを提供する製品である。IBM、HP、およびDellは、いずれもNLSテクノロジを顧客に再販するためのライセンス契約を結んだ。SUSE LINUXを通じて、Novellは総合的なLinuxソリューションを求める開発者やISVに手を広げている。SUSE LINUXを買収するという今日の発表は、既に実績のあるNovellのLinux製品群を強化するものである。Novellは、現在提供しているLinux向けの多くの付加価値サービスに加えて、基礎となるLinuxプラットフォーム自体を提供できるようになる。

「我々がSUSE LINUXを選んだのは、彼らが企業向けのLinuxテクノロジにおけるまぎれもないマーケット・リーダーだからだ。」Messman氏は言う。「この買収により、NovellはLinuxディストリビューションと、それを取り囲む世界的なエコシステムを備えた唯一の10億ドル規模のソフトウェア企業になる。600人を超える世界中の技術スタッフが、Linuxをサポートするためのトレーニングを受けてきた。SUSE LINUXの買収により、デスクトップからサーバに至る我々のテクノロジ・スタックが完成する。」

テクノロジを越えて、この買収はオープンソース・コミュニティに対するNovellの戦略的な取り組みも拡大する。SUSE LINUXとNovellの組み合わせによって、総合的なエンタープライズLinuxソフトウェア・ソリューションだけでなく、世界的なチャネルと業界トップのパートナーシップも実現する。統合後の会社は、開発者、ユーザ、および企業に等しく改革と選択肢をもたらす、繁栄したグローバルなオープンソース・エコシステムを促進する。Novellはオープン規格に強くコミットしており、既存のオープンソース・カーネル開発の取り組みを継続している。提唱活動、開発リソース、イベントから、カーネル・プロジェクト、XFree86、ReiserFS、KDE、GNOME、Monoなどのオープンソース活動の支援まで、Novellはオープンソース・コミュニティと力を合わせている。

この買収処理におけるNovellの財務顧問はCitigroup Global Markets Inc.が務めた。Novellの法律顧問はClifford Chance Punderが務めた。SUSE LINUXと同社の株主の財務顧問はArma Partnersが務めた。SUSE LINUXと同社の株主の法律顧問はFreshfields Bruckhaus Deringerが務めた。SUSE LINUXの出資者は、e-Millenium 1、AdAstra Erste Beteiligungsgesellschaft mbH、およびAPAX Partners & CO.である。