NewsForge読者が選んだLinuxアプリトップ10
まず、どのように回答を集計したかを説明しておこう。各アプリケーションについて、総得票数と、読者がそれを何位にランクしているかをカウントする。1位のアプリケーションは10ポイント、2位は9ポイント、という具合だ。10以上のアプリケーションが挙げられている回答に関しては、10位以下を切り捨てた。アプリケーションの数が10に満たない回答に関しては、当然ながら、エントリーのない順位のポイントはカウントしていない。順位の指定がない回答に関しては、回答に記載されている順番を順位としてカウントした。
なお、Linux上で動作しないアプリケーションへの投票は無効とした。また、ディストリビューションへの投票も無効とした。そう、デスクトップ・アプリケーションとしてgentooに1票を投じた読者がいたのだ。これ以外は、何でもエントリーさせた。デスクトップ環境、ウィンドウ・マネージャ、X本体、シェル、Emacsといった、多くの人がOSの一部とみなすようなものも含めてある。同じアプリケーションのうち、特定のリリースやパッケージに対して投じられた票は一本化してある。
gnumericスプレッドシートで集計した結果は、さまざまな角度から検討することができた。最終的に、3つのトップ10リストを作ることにした。総得票数のトップ10、獲得ポイント数のトップ10、そして、読者が1位に挙げたアプリケーションのトップ10だ。
では、順位の発表だ。
まずは、単純にNewsForge読者からの得票数だけで集計したトップ10だ。
1. OpenOffice.org(50票)
2. XMMS(49票)
3. Mozilla(44票)
4. The GIMP(35票)
5. Konqueror(29票)
6. Vi/Vim(28票)
7. Mplayer(26票)
8. Gaim(24票)
9. Evolution(22票)
10. Emacs/Xemacs(16票)
私にとって一番意外だったのは、このトップ10にViとEmacsの両者がランクインしていることだ。おそらくこれは、これら2つのプログラムのユーザ間で戦われた、伝説のFood-fightがもたらした異変だろう。もしかしたら、実際にNewsForgeの読者たちに人気があるのかもしれないが。どちらにせよ、この2つはLinuxのデスクトップ・アプリケーションとして私の意識に上るアプリケーションでない。
KDE対Gnomeの対立関係は、Vi対Emacsと同様、伝統的なものだ。優れたアプリケーション(KonquerorとEvolution)という姿で、この両方がトップ10に姿を見せてくれたのはうれしいことだ。
では次に、獲得ポイント数によるトップ10を発表しよう。
1. OpenOffice.org(277ポイント)
2. Mozilla(263ポイント)
3. XMMS(262ポイント)
4. The GIMP(216ポイント)
5. Konqueror(168ポイント)
6. Vi/Vim(168ポイント)
7. Mplayer(156ポイント)
8. Gaim(144ポイント)
9. Emacs/Xemacs(139ポイント)
10. Evolution(124ポイント)
最初に紹介したトップ10とほぼ同じ結果だが、順位に若干の違いがある。MozillaとEmacsがそれぞれ順位を1つ上げている一方、XmmsとEvolutionは順位を1つ下げている。
では最後に、読者が1位に挙げた回数で集計したトップ10を見てみよう。
1. Mozilla(18回)
2. Konqueror(11回)
3. Emacs/Xemacs(9回)
4. Vi/Vim(6回)
5. Evolution(4回)
6. Firebird(4回)
7. Mplayer(3回)
8. Kmail(3回)
9. Opera(3回)
10. Xterm(2回)
Emacs/Xemacsの順位が驚くほど上がっている。つまり、Emacs/Xemacsを気に入っているユーザは、これによっぽど惚れ込んでいるということになる。また、このリストには、最初の2つのトップ10にはランクインしていないアプリケーションが4つある。Firebird、Kmail、Opera、Xtermだ。OpenOffice.org、Gaim、The GIMP、XMMSが、この4つに追い出された形になった。
ある程度長くLinuxと付き合っている読者なら、1999年当時、Mozillaといえば、プロジェクトの失敗だの、果てはオープンソース・モデルの失墜だのとけなされていたのをご記憶かもしれない。引き金になったのは、プロジェクトからのJamie Zawinskiの辞任だったようだ。
しかし、今はどうだろう。これらの3つのランキングのすべてにおいてトップ3入りするほど、NewsForgeの読者たちのMozillaに対する評価は高い。そればかりか、Mozillaから独立したプロジェクト(Firebird)も、トップ10に名を連ねている。Mozillaが、オープンソース運動の運命を体現しているのだとすれば、土壌はかなり安定してきたと考えていいだろう。
雑感
結果を集計するために、各リストを眺めていると、その読者がプログラマなのか、システム管理者なのか、ネットワーク・セキュリティの専門家なのか、それとも、デスクトップにごく普通の機能を期待する最近のLinuxユーザなのかがだんだん分かるようになった。なお、いずれのトップ10リストにも入らなかったものの中には、ゲーム、P2Pアプリケーション、インスタント・メッセージング、マルチメディア・アプリケーションなどが、順当に含まれていた。
今回のトップ10にランクインしたクローズドソース・アプリケーションは、Operaだけだ。Microsoftは、自分のドッグフードを食べる(ソフトウェアを自社内でテストする)という方針を打ち出しているが、LinuxユーザであるNewsForgeの読者は、フリー/オープンソース・ソフトウェアに非常に満足しているということが明らかになった。
また、今までに私が聞いたことのないアプリケーションもいくつかあった。読者からのコメントを頼りに、それらを試用してみたいと思う。読者と著者がこのような形でやり取りできるのは、面白いだけでなく、勉強にもなった。