オープン・アジア:東ティモールとインドのオープンソース
東ティモール
昨年5月に独立したばかりの小国だが、東ティモールにもFLOSSの輪がある。Global Knowledge for Development DigestへのDon Cameronの投稿(Dec 20, 2002, Vol. 1, Number 625)によると、ComputerBank Australiaという非営利団体が、GNU/LinuxのDebianディストリビューションをプリロードしたコンピュータを東ティモールに寄付する活動を展開している。
インド
インドはソフトウェア超大国を自認するが、国民のソフトウェア利用はいまだに進んでいない。FLOSSは、興味深い解決策を提供できるかもしれない。
90年代末、米国に移住したインド人によって部分的に先導された努力により、Linux-Indiaネットワークが設立された。このサイトによると、インド全土にはおよそ60組のLinux User Groupが存在する。インド言語のコンピューティングサポートは、強く期待されている分野の1つだ。インド言語のコンピューティングについては、G. Karunakarのブックマークが参考になる。
才能はあるがリソースがない場合、あなただったらどうするだろうか。ソフトウェアを共有するだろう。同国Goa在住、21才の学生Ajay CuncoliencarのサイトSoftware For Allには、所有するソフトウェアを共有する意思がある人々の電話番号とメールアドレスが掲載されている。ブランクCDでさえ入手が難しいか高嶺の花である地域には願ってもない助けだ。
積極的に活動するインドの若い世代は彼1人だけではない。FLOSSにおいて学生の活動が目立ち、インドからの移住者がグローバルなイニシアチブに貢献する(たとえば、Bharat MedirattaのGallery)現象はインド国内にも見られ、グローバルに通用するインド製ツールが徐々に姿を現し始めている。
- Chennai在住のPrabhu Ramachandranは、使いやすいフリーソフトウェアの科学データ・ビジュアライザMayaViを開発している。Mayaviは、サンスクリット語で「magician(魔術師)」を意味する。
- Hyderabadを拠点とするEveryone’s Linux社は、インド初の商用GNU/LinuxベースオペレーティングシステムELXを開発している。同社によると、Windowsと同等の機能を備え、GNU/Linuxの堅牢性とセキュリティが取り入れられている。
- Kaiiは、ほとんど話題にならなかったが、昨年発表されたGNU/LinuxベースのPDAである。
また、GNU/Linuxをベースとする低価格のポータブルPC代替機器 Simputer が完成し、販売されている。今のところ、販売台数は少数である。Simputerにとって、技術的な困難よりも経済状況と高い関税が大きな障壁となっている。
一方で、多言語ソリューションがインドに追い風となっている。Yuditは、全UNIX対応のフリーのUNICODEテキストエディタだ。同じドキュメントに日本語とハンガリー語を書く必要があったGaspar Sinaiによって開発され、1997年に最初にリリースされた。その後、それほど手間をかけずにほかの文字をサポートできることに彼は気が付いた。現在、Yuditではタミル、デーヴァナーガリー、ベンガル、グジャラート、グルムキー、オリヤー、マラヤーラム、カナラ、テルグの文字がサポートされている。
フリーソフトウェアから利益を得ているインドのソフトウェア会社としては Linuxense Information Systems社やSANIsoft社があり、一方 DeepRoot Linux社はサーバーの設置およびGNU/Linuxサポートとサービスを提供し、 Exocore社はコンサルタントを業務としている。
インド各地では、小企業(学生の小グループで構成されることが多い)が販売店を開き、各種GNU/Linuxディストリビューションを販売している。たとえば、LinCDs.com(Bangaloreの学生YashwanthとSwaroopが運営)や lincdz.2ya.com(フランスの旧植民地Pondicherryの17才の少年Sukritが運営)が、こういった販売店として挙げられる。G.T.Enterprises社(元海軍士官Taranathが運営)のような企業は、インドのシリコンバレーBangaloreで年に一度開催されるIT.ComなどのITイベントでは非常に多くの来場者を集める。
イベントといえば、2002年9月、世界規模のTeXユーザ/開発者会議であるTeX Users Group conferenceが、南インドThiruvananthapurのTechnoparkで開催された。TUGカンファレンスがヨーロッパと米国以外で開催されたのはこれが初めてである。
linuxinindia.pitas.comには、インド各地のFLOSSイニシアチブへのリンクが集められている。GNU/LinuxInIndia メーリングリストのアーカイブ にも、同プロジェクトのレポートがある。Indian Linux portalも良質の資料だ。