OpenLindows.com:その存在意義
このサイトで発見したものと、発見できなかったもの(こちらの方が重要だ)を報告しよう。更新:当初、Click-N-Runの価格について年間99ドルだと書いたが、これは以前の価格で、現在は年間49ドルだ。
OpenLindows.comを最初に訪れた人は、まず間違いなく、「存在意義(reason for being)」と「免責条項(disclaimer)」の2つに目が行くはずだ。トップページの右上には、「OpenLindows.comは、Lindows OS向けのオープンソース開発のためのサイトです」とあり、左下には「このサイトはLindows.comから正式に承認されていません」と記されているのだ。
OpenLindows.comの「Downloads」ボタンをクリックしてみたところ、ダウンロード可能な5つのパッケージが表示された。さらに、ほかの2つのサイトへのリンクも見つかった。バナーが表示されているLindowsUser.comと、パッケージのリスト上部にある「Visit: www.lindowsdownload.com.」というものだ。 これらのサイトはいずれも、英国のPeter Tothが所有しているものだ。
LindowsDownload.comへのリンクをクリックしたところ、ほかにもダウンロードできるパッケージがあった。xine、Mozilla、Scribusなどだ。また、さらに別のサイトへのリンクもある。LindowsClub.comだ。LindowsClub.comへのリンクをクリックして表示されたページには、LindowsDownload.comを訪れるようにとしか書いていなかったため、少々面食らった。
LindowsDownload.comに戻って、少しよく読んでみると、OpenLindows.comリポジトリにアクセスするためにapt-getをセットアップする方法が解説されていた。ダウンロードできるパッケージのリストには、101のエントリがあった。膨大な数とはいえないかもしれないが、なかなかの滑り出しではないだろうか。
OpenLindows.comのフォーラム(「Community」リンクからアクセスできる)には、それほど多くのトラフィックがあるわけではないが、きちんと機能はしている。サポートや一般的な話題のトピックに新しいスレッドがあり、このサイトにたどり着いた人々が特定のパッケージや問題に関する質問を投稿しているのがわかる。トラフィックは少なくても、投稿された質問には回答が寄せられている。
私は質問の電子メールを3通(Peter Toth宛てに1通、info@openlindows.com宛てに2通)出したが、どれにも回答は来なかった。LindowsOSの広報部長であるCheryl G. Schwarzmanに、OpenLindowsの各サイトとLindowsOSとの関係は何なのかという質問を出してみたところ、こちらにも返答は得られなかった。
一般誌、もしくはWindows関連のメディアには対応するが、Linux関連のメディアは無視するというのが、LindowsOSの広報戦略らしい。確かに、LindowsOSがターゲットにしているのは、すでにLinuxを使っているユーザではなくWindowsユーザだから、それももっともな話だ。Schwarzman氏から質問の回答が得られなかったのも、このような理由からかもしれない。または、何かコメントすることで、OpenLindowsにこれ以上注目が集まっては困ると考えているのかもしれない。どちらでも不思議はない。
LindowsOSは、数ある商用Linuxのうちの1つで、人気の高いDebian GNU/Linuxディストリビューションを基に作られている。競合が多いという理由もあり、どのLinuxディストリビューションも、大きなマージンを取ることはできない。このため、LindowsOSにとってClick-N-Runサービスで得られる利益はなおさら重要なのだ。OpenLindows.comのような、フリー/オープンソースの代替アプリケーションの登場は、この利益を脅かす存在だ。
OpenLindowsのサイトに話を戻そう。各サイトを行ったり来たりして、ハイエナのようにヒントを探し回ってみた。すると、ようやく1つのことがわかった。何かが足りないのだ。それは、コミュニティである。あの名高いLinuxコミュニティが見当たらない。まるで存在しないかのようだ。
Linuxユーザは一般的に、ディストリビューション、エディタ、電子メールクライアント、電子メールサーバなどの好みについてや、いつ、どのデータベース・マネージャを使うかなどについて議論するのが好きだ。派閥に分かれて、ひいきの製品の良さを主張しあうのだ。
しかし、OpenLindowsのフォーラムではこのような活動が見受けられない。ニュースグループにOpenLindows関連の投稿がないかどうか、Googleで検索してみたところ、1つだけ投稿を発見した。検索に使った単語が2つではなかったことを除けば、Googlewhackだといってもおかしくないくらいにほかの検索結果が皆無だ。また、いくつかのサーバ上で#openlindowsというIRCチャンネルを探してみたが、見つからなかった。
インフラストラクチャは整っている。実際のところ、OpenLindows.com周辺の一連のサイトは、フリーソフトウェア・プロジェクトの中心サイトとしてはもちろんのこと、商用の製品のフレームワークとしても十分に利用できる。だが、実際にはそうはなっていない。OpenLindows.comにコミュニティが存在しないのは、LindowsOSのユーザがそもそもLinuxコミュニティ外部からやってきているからなのか、それともほかに理由があるのかはわからない。ただ言えるのは、電気はついているのに誰もいない家のような印象を受けたということだ。
Joe Barr――IT分野のライターとして10年(Linuxについては5年)の経験を持つ。IBM Personal Systems Journal、LinuxGazette、LinuxWorld、Newsforge、phrack、SecurityFocus、VARLinux.orgなどに掲載記事多数。Linux Liberation Armyの公式ニューズレター、The Dweebspeak Primerの生みの親でもある。