音楽デビュー間近のRosegardenに期待

Rosegardenは、UnixおよびLinux用の汎用的な作曲編集フリー・ソフトウェアで、マトリックス・エディタと充実したMIDIシーケンサを備えている。期待はできるが、このベータ・バージョンのバグを考えると、リリース1.0まで待った方がよさそうだ。

ソフトウェアのインストールは比較的わかりやすく、1時間半くらいで終わった。私はソースのtarボールから始めることにしたが、バイナリ・パッケージへのリンクも利用できる。私はファイルrosegarden-4-0.9.1.tar.gzを復元し、通常のソース・インストール・コマンドを入力した。

./configure –with-qt-dir=/usr/lib/qt3 –prefix=/opt/kde3 –with-alsa=yes
make
make install

Rosegarden-4のメイン画面のベースになっているのはQT/KDEライブラリだ。このウィンドウは単純でスッキリしたインタフェースで、演奏ボタンと別ウィンドウになったシーケンサ・プレーヤーを装備している。しかし、左側のトラック・リストでページをスクロールしようとするとキーボードを使わなければならない。スクロールバーがないからだ。

トラックを選択した後、[open in notation editor]ボタンをクリックすれば楽譜の編集を始められる。数字キーを押すかクリックすることで音符の種類を選択できる。2が2分音符、4が4分音符、8が8分音符といった具合だ。これに対し、Windows/Mac OSの記譜ソフトウェアとして人気のあるSibeliusではオンスクリーン・キーパッドを使用する。その場合、コンピュータ上のキーパッドまたはキーボードで音符や臨時記号に対応するキーを入力する。これはあまりうまくないやり方だ。というのも、キーパッドのないラップトップではカーソル操作に頼ることになるからだ。キーボードの最上列にある数字キーを使うのは勧められない。オンスクリーン・キーパッドとレイアウトが違うからだ。私はキーパッドでよく迷子になり、キーボードと画面を交互に見比べるはめになる。私の経験からすると、これはかなり時間の浪費になると思う。

小節を追加するためには、まず休符を追加しなければならなかった。そのため、自分の手書きの小曲で小節を数え、延々とクリックすることになった。これは大きな時間消費要因であり、Rosegardenの欠点である。前の小節がいっぱいになったら自動的に次の小節が現れるべきだ。また、位置を選択してControl-Bなどのキー・コンビネーションを押せば、どこにでも小節を挿入できることが望ましい。

バグと足りない機能

Rosegardenのこのバージョンにはバグがいくつかあることに気付いた。メインウィンドウに含まれているシーケンサ内のトラックの周囲のグレー領域を繰り返しクリックすると、エラーメッセージが表示され、Rosegardenがクラッシュする。Rosegardenを15分以上使い続けても同じことが起こるのだが。幸いなことに、プログラムの再起動時に自動保存ファイルを読み込むことができる。

音楽ピースをスキャンしたり、イメージ・ファイルやPDFファイルを記譜エディタにインポートしたりする機能を追加してくれるよう、Rosegardenの開発者に望みたい。これはSibeliusの主なセールス・ポイントの1つなのだから。また、楽器の構成も改良してほしい。Sibeliusでは、すべての楽器が「singers」や「strings」などの名前で分類されている。

これらのバグはどれも簡単に解決できる問題であり、次のバージョンでは修正されるだろう。スキャンした曲を識別するのは、もっとずっと複雑だが、ソフトウェアの特許に抵触しない限り、これがバージョン1.5でRosegardenのソースツリーに組み込まれることを期待している。

既存のSibelius/Windowsユーザは、まだRosegarden/Linuxに乗り換えるつもりはないだろう。優れた機能もいくつかあり、いずれSibeliusを凌ぐ日が来るかもしれないが、現在のリリースには受け入れがたいバグと問題がある。このベータ・リリースは非常に有望に見えるが、Rosegardenに関心を抱いたSibeliusユーザもバージョン1.0を待つのが賢明だろう。

Rosegardenが広く認知されれば、MS OfficeからOpenOffice.orgやStarOfficeへの乗り換えが起きているのと同じ理由で、SibeliusからRosegardenに乗り換える人たちが大勢出てくるのではないだろうか。機能が1つか2つ欠けているかもしれないが、このプログラムは人々の必要としているものをほとんど提供してくれる。

Peter Fernando──イギリスのハイスクールの生徒で、自由時間をかなり作曲に費やしている。これはLinuxに関する彼の最初の著作である。