診察の待ち時間にLinuxをどうぞ

一般のユーザは、デスクトップでLinuxとうまくやっていけるだろうか。とあるデータによれば、Linuxデスクトップと、現在市場を独占しているデスクトップとの間には、使い勝手の点でそれほど大きな差はないという。

このデータとは、Windows XPとLinuxの使い勝手を比較した、ドイツの relevantive社の発表のことではない。英国のクリニックの待合室の話だ。

2年前、英国の医師Adrian Midgleyは、Linuxを搭載したPCにOperaブラウザをインストールして、それをクリニックの待合室に設置する計画だと私に語ってくれた。そうすれば、診察を待つ間、患者がWebサーフィンを楽しめるというわけだ。彼はこのサービスに、500ポンドの予算を用意した。

先日、Midgley医師から経過報告を受け取った。彼がこのサービスを開始してから、4ヶ月経ったところだ。端末は233MHzのPentiumと32メガバイトのRAMを持ち、OSはSuSE 8.2の「一番小さい標準インストール」、そしてブラウザはOperaだ。

Public Linux terminal

Midgley医師によれば、この環境は予算内で用意できたそうだ。さらに、「OSがLinuxであることや、ブラウザがOperaであることに関して苦情を言う人はいない」そうだ(ブラウザはMozillaに変更することを検討中だが、まだ決めたわけではないらしい)。なお、「このマシンからアクセスできるサイトには制限がある」という注意書きがある。

このサービスに関してMidgleyが最も頭を痛めているのは、システムの終了を自動化しなかったことだという。つまり、クリニックの受付係にその方法を教えなくてはならなかったのだ。ちなみに、今までに一番面白い使い方をした患者は、「待ち時間を利用して、NHS(National Health Service)Information Authorityの求職者リストに登録したITコンサルタント」だそうだ。

Midgley医師は、自らのコストの節約を強調するかのごとく、「近頃、知り合いの医師がGP誌[訳注:イギリスの医療専門誌]に、8000ポンドかけて患者向けの端末を2台設置したという記事を掲載していたんだ」と語った。ただし、8000ポンドの環境はやはり彼のものより「ちゃんとしている」とも認めている。

Joe Barr――IT分野のライターとして10年(Linuxについては5年)の経験を持つ。IBM Personal Systems Journal、LinuxGazette、LinuxWorld、Newsforge、phrack、SecurityFocus、VARLinux.orgなどに掲載記事多数。Linux Liberation Armyの公式ニューズレター、The Dweebspeak Primerの生みの親でもある。