GNOME 2.3.1と2.3.2

GNOME 2.3.1 “Daddy Walrus”が5/10に、GNOME 2.3.2 “Little Hero”が5/26にリリースされた。いずれも次期安定版であるGNOME 2.4に向けた開発途上のスナップショットをまとめたものである。GNOMEに関する更新情報を提供しているFootnotesで2.3.1のアナウンスと2.3.1の変更点一覧、および、2.3.2のアナウンスと2.3.2での変更点一覧を参照すれば詳細な情報は得られるが、ほとんどはバグフィックスと細かな向上の積み重ねである。その中から、前回の記事と同様、気になるポイントを拾って紹介しよう。

Cygwin対応

2.3.1の変更点を見ていると「build fix for Cygwin」というのがある。具体的にはconfigure.inやMakefile.amなどにWin32環境用のDLLを作成するのに必要な変更を加えた、といったもののようだ。パッチはMasahiro Sakaiさんのものがcommitされた。最近のCygwin/XFree86にはKensuke Matsuzakiさんからのcontributeによるrootless mode対応などが含まれたこともあって、X用のGUIアプリケーションを移植して利用する、という気運が高まってきているのかもしれない。

GTK+は2.0になってXやWin32環境などに依存するレイヤを書き直し、移植性を高める試みがなされているが、X用のアプリケーションをWin32環境に移植するには実際にはまだまだ多くの作業が必要となってしまうし、情報も少ない。クロスプラットホームなアプリケーションの土台としてJavaやC#などの言語・実行系レベルの対応、Webアプリケーションとして作るといった対応以外に、wxWindows、WideStudio、Eclipse/SWTなどのソースコードレベルでの対応策が存在しているが、GLib/GTK+レベルでの対応が進めば、GTK+用に作られた多くのアプリケーションがいろんな環境で動作することを期待できるかもしれない。仕事で使用する端末やノートPCなど、Windowsを使用せざるを得ない場面もまだまだ多い。

gnome-vfs

gnome-vfs 2.3.1の変更点にIPv6対応、というのがある。gnome-vfsというのは、ファイルやネットワーク上のリソースなどに透過的にアクセスするための抽象化レイヤであり、WebDAV)、Windows Network、FTPサーバ、ssh経由でアクセス可能なリモートマシン、オーディオCDなどにあるリソースを、ローカルにあるファイルやディレクトリに対してと同様の操作ができるようになる。Nautilusにおいて、「Webフォルダ」のURLやanonymous ftpサーバのURLを入力してみると、ローカルにあるファイルシステムと同様な操作でファイルのコピーなどができるが、これはgnome-vfsという基盤の上に構築されている。

gnome-vfs自体はXに依存しないので、Xが動いていないコンソール環境でも利用可能である。前回の記事で紹介したfontilusやthemusなどもgnome-vfsのモジュールとして実装されている。gnome-vfs 2.3.2からはgnomevfs-lsやgnomevfs-cat、gnomevfs-copyといった小さな非GUIコマンドも同梱されるようになったので、shell scriptなどから使うちょっとしたWebDAVのクライアントとしても使えるだろう。これらはgnome-vfsのサンプルコードとしても見通しがいい。

さて、このIPv6対応であるが、筆者が試してみた限りでは、WebDAVへのアクセスが可能にはなっていた。しかし、FTPサーバへのアクセスについてはEPSVやEPRTといったIPv4以外でもFTPを利用可能にするためのFTP拡張に対応しておらず、利用できなかった。

gnome-vfsについて言えば、それ以外にもsshメソッドの実装が今一歩だったり、Windows Networkへのアクセスでのユーザ認証の処理やファイル名の処理に問題があったり、といった問題が目立つ。sshについてはlibsshというSSHライブラリを使う、という予定はあるようだが、作業が今のところ、それほど進んでいない。SSH経由であればSFTPを使うのが妥当とも言えるが、これについては既にモジュールが存在している

GNOME Utilities 2.3.2.1

GNOME Utilities に含まれているGNOME DictionaryもIPv6対応した。GNOME Dictionaryはオンライン辞書にアクセスして辞書を引くプログラムである。

デスクトップフォルダの変更

デスクトップ上の実体は、これまでは ~/.gnome-desktop に置かれていたが、Nautilus 2.3.2からは ~/Desktop へと変更された。新しいNautilusを起動すると警告メッセージが表示され、古いデスクトップフォルダへのリンクが作成されるので、移行したいアイコンなどを古いフォルダから手動で移動すれば良い。このインターフェイスは将来は変わるかもしれないが、これを機会にデスクトップの掃除をしてみてはどうだろう。

nautilus-cd-burner 対応

Nautilus に nautilus-cd-burner を呼び出す機能が加わった。nautilus-cd-burner とは、CD-R を「焼く」ための Nautilus 拡張である。burn:/// というフォルダを開き、そこにファイルをコピーし、「CD への書き込み」というボタンを押せば (あるいはファイルメニューから選択もできる)、CD-R を焼く、というものである。これはRedHatからのパッチということなので、既にRedHatでは対応されているかもしれない。Windowsにも同様の機能が既にあるので、それを想像するといいかもしれない。

gucharmap

Unicodeベースの文字選択ツールである。Unicode 4.0に対応し、また、入力メソッドとしても利用できるようになった。文字を入力するテキストエントリなどで右クリックしてメニューを開き、入力メソッドから「Unicode Character Map」を選ぶと、文字の一覧が出現するので、文字を選択し、ダブルクリックすることで、その文字を入力できる。

gedit

GtkSourceViewを利用したプログラムコードなどのハイライト処理が加わった。GtkSourceViewとはGtkTextViewウィジェットを拡張(継承)したテキストウィジェットで、文法のハイライティング機能を実装したものである。このGtkSourceViewウィジェットにはPythonやRubyなどにもバインディングが存在しており、プログラムの開発ツールに利用されるようになるだろう。

HIGify

GNOME 2.x からはGNOME Human Interface Guidelinesという基準に従ってアプリケーションの見た目を統一することが方針としてあるが、まだまだ対応は完了していない。このガイドライン(HIG)に対応できてない部分の修正(HIGify)がこつこつと行なわれている。