オープンソースとNIMAとのギャップ
調査グループは、NIMAの傘下にあるNational Technology Alliance(NTA)が、NIMAの関連機関ではなくオープンソースとの間の仲介機関の役割を果たし、オープンソースの奔放な開発プロセスに順応するよう働きかけることが重要だという結果を報告した。
NIMAはオープンソースという選択肢にかなり前から注目しており、非常に注意深くオープンソースソフトウェアの使用に向けて後押しを始めた。同局の環境データシステムに適用する方法を探るため、入念な調査を重ねたのである。
事の始まりは数年前、NTAがImageLinks Inc.(メルボルン、FL)に地球空間のデータを扱うオープンソースソフトウェアを共同で開発するよう依頼したときまで遡る。ImageLinksはオープンソースをベースとした衛星画像処理を専門とする企業だ。
NIMAは、NTAの事業を国防総省や各情報機関に代わって管理していたこともあり、ImageLinksが内部でオープンソーステクノロジをどのように利用し、それをどのように公開して外部の評価を受けようとするかに注目した。
ImageLinksはSunのSolarisをSilicon Graphicsのマシンで使用していたが、1997年にLinuxベースのシステムに切り替え、Beowulf clusters をコモディティ型のPCで稼働させている。
ImageLinksはまず、Open Source Prototype Researchというプロジェクトを立ち上げ、NIMAの局長にオープンソースソフトウェアの技術的優位点と、コスト削減のメリットを売り込んだ。しかし同時に、政府におけるプロセスとオープンソースのプロジェクト管理の間に大きなギャップがあることも指摘した。
この調査において、ImageLinksの調査グループは、政府のプロジェクト管理者たちが、オープンソース開発者たちの自由奔放なやり方を理解しようと試み、そして断念するのを目のあたりにした。「政府機関の責任者が仕事を厳密に管理し、ステップを1つひとつ監督していくのに対し、オープンソースの開発者はすべてが成り行きまかせだ。仕事を管理しながら進めるのではなく、アイデア次第で動くため決断も早い」と、ImageLinksのチーフテクニカルオフィサ、Mark Lucasは述べる。
「従来的な政府の事業にオープンソースプロジェクトを無理やり押し込めば、失敗するのは確実だ。オープンソースは、政府が従来どおりに事業を進めるやり方とはまったく異質であることが調査で明らかになった」(Lucas)
しかし、NIMAはそれでも諦めなかった。政府機関の公務とオープンソースの作法のギャップを埋めるため、NIMAはOpen Source eXtraordinary Program(OSXP)を発足して、従来的な政府機関とオープンソース開発者の協働作業の効率化に役立たせる計画を打ち出した。
2002年10月、NTAはImageLinksに25万ドルの 契約金 を支払った。今回はOSXPの計画を展開するための契約だ。同社は政府機関がオープンソースプロトタイプの作成から、オープンソースソフトウェアを使って日々開発するという体制に移行するための詳細を調査し報告する。その一環として、ImageLinksはオープンソーステクノロジを推進する Open Source Software Institute の協力を取り付けることに成功した。
ImageLinksは、独立機関にオープンソースについて検討させたことが重要なポイントとなったと結論付けた。技術的な部分を請け負うという役割だったからこそ、NTAがその機関にうまく収まることができたのだと、Lucasの調査グループは振り返る。「行政は自らのルールに縛られてしまうことが多い。営利企業のように迅速に動いたり、方向転換したりすることができないのだ」(Lucas)
外部の目からは、多額の費用を使っておきながら結局何も変わらなかったように見えるかもしれない。だが、慎重な政府にしては有意義な費用の使い方だったように思う。「オープンソースは初日からかなり好評だった。大勢の人の高い期待を背負っているが、これは決して小さな転換ではないのだ」(Lucas)