レビュー:Morphix 0.3.4
正直言って私は、DebianベースのLinuxディストリビューションはあまり好きではなかった。また、パーティションを切らなくてもCD-ROMからOSを起動・実行できるという触れ込みの、LiveCD版Linuxも苦手だった。いずれも私の環境ではうまく動作してくれないからだ。こんな経緯から、DebianベースのLiveCDディストリビューションである、オランダ生まれの
Morphix
0.3.4にも多少の警戒心を抱いていたのは事実だ。しかし意外にも、私はこれが気に入った。ほとんどの場面で、問題なく動作してくれたからだ。
Morphix 0.3.4は、ネットサーフィンをしたり、文書を作成したり、ゲームをしたりするホーム・ユーザにはお勧めできるOSになっている。
環境
Morphixのテストに使用した環境は次表のとおり。
さらに、Dell Inspiron 8000(650MHz Pentium III、ATI Rage 128 Mobility MF)でもMorphixを使ってみたが、モニタを検出できないという理由で起動に失敗した。他のマシンでは経験があったが、このラップトップマシンでLinuxがうまく動作しなかったのは初めてだった。開発者たちに聞いてみたところ、DellのBIOSには少々手を焼いているようだ。
インストール
現在、LightGUI、HeavyGUI、KDE、Gameの4種類のISO CDイメージが Morphix.org からダウンロードできる。ただし、Morphix Game以外のイメージは、いずれも家庭向けのデスクトップソリューションであり、事実上同じものだ。どれを選ぶかは完全に好みの問題だろう。スピード重視か、それともグラフィック重視か。KDE、GNOME、IceWMのどれが好きか。そして、OpenOffice、KOffice、GNOME Officeのどれを使うか。以上の要素から判断してほしい。
さて、他のLiveCDディストリビューションと同様、CD-ROMドライブにプログラム・ディスクを入れ、再起動するだけで、インストールは完了だ。数分後には、もうOSを利用できるようになる。
起動後の動作は、非常にスムーズで快適だった。ただし、ラップトップで起きたエラーに加え、Tower IIの起動後に「/dev/dsp not found」というエラーが起きた。つまり、サウンド・カードが認識されなかったのだ。これにより、CDやMPEGファイル、Ogg Vorbisファイルを再生することができなかった。この点を除けば、万事順調といってよい。
MorphixはLiveCDディストリビューションだが、「Install to Hard Disk」機能を使えば、他のディストリビューションと同じように、ハードディスク上にインストールして使うことができる。不思議なのは、このインストール・オプションが、一度Morphixを立ち上げないと利用できないことだ。また、注意してほしいのは、このインストーラはかなり複雑なので、相談できるLinuxエキスパートが近くにいないと厳しいかもしれない。この機能は完全な見直しが必要だ。ディスクに収録された他のツールと同様に、手軽なGUIを備えていれば文句ないのだが。
Morphix LightGUI
私の環境では使用できるRAMに限りがあったので、まずはLightGUIを使ってみることにした。LightGUIは数々の基本ツールを備えていながら、古いハードウェアでも高速な動作が可能になっている。ISOイメージの全サイズは187.13MBで、ミニCDにも収まる小ささだ。GUI環境はIceWM、ファイル・マネージャはRox、WebブラウザはPhoenix、電子メール・クライアントはSylpheedだ。さらに、MPlayer、AbiWord、Gnumeric、XMMS、Gaim、gFTPといった、数々のユーティリティが付属している。
LightGUIで気に入ったのは、その卓越した動作スピードだ。RAMがたった192MBしかないTower Iでも、MPlayerでCDから直接動画を再生し、PhoenixでWebをブラウズして、AbiWordをテストし、GIMPでスクリーンショットを取り、さらに Vorbis.com からすでに4つのファイルをダウンロードしていたにもかかわらず、動作中のアプリケーションの速度への影響はほとんどなかった。新しいアプリケーションを開こうとしたときには多少時間がかかったが、私が行っていた作業内容を考えれば当然だろう。
LightGUIの動作に満足した私は、GIMPを使ってこのテストのようすをスクリーンショットに収めようと考えた。しかし残念なことに、このイメージのみで見られたシステムエラーが起きて、これは実現できなかった。 この前には、印刷システムのエラーが起きていた。最初、このエラー(「Font data file… cannot be opened for reading!」)はAbiWordからのものだと思ったのだが、コマンドライン・ツールを含む他のどの方法を使っても、印刷はできなかった。後になって、この問題はすべてのイメージで見られるということがわかった。
LightGUIの大きな短所としては、IceWMの全般的な使いにくさが挙げられる。決して使いやすいとは言えないIceWMとRoxを採用した上で、コンピュータさえあれば、だれでも特に苦労せずに使いこなせるディストリビューションを作り上げたMorphixチームのすばらしい仕事は評価されてしかるべきだ。とはいえ、まだまだ改善の余地はある。Morphixの開発状況は、 wiki で書かれた road map で見ることができる。
LightGUIは、強力なシステムは用意できないが、Linuxを使ってみたいというすべての人にお勧めできるイメージだ。もっと力のあるシステムには、ユーザ・インターフェイスの充実した他のイメージをお勧めする。
Morphix HeavyGUI
今回のテストでは、ほとんどの時間このHeavyGUIを使用した。他でもないこの原稿も、Tower IIにインストールしたHeavyGUIで、Mozilla Composerを使って書いている。HeavyGUIでは、デスクトップ環境としてIceWM/RoxではなくGNOME 2.2を使っている。ウィンドウ・マネージャはMetacityだ。標準GNOMEツール以外にもいくつかのツールが付属していることで、パッケージが完全なものになっている。このイメージにはGaleon WebブラウザとMozillaスイートの両方が用意されている。他には、Ximian’s Evolution(電子メール・クライアント)、OpenOffice、XMMS、Xine、GIMP、WINE、多数のGNOMEゲーム、その他さまざまな用途のソフトウェアも含まれる。
レビューの一環として、私の家族(コンピュータはそこそこ使えるという程度)にもMorphix HeavyGUIを試してもらった。彼らはまずツールの豊富さ(特にゲームの数)に驚いていた。さらに、LightGUIには劣るものの、システムのスピードが非常に速いという点も印象的だったようだ。全般的に見て、使用しているソフトウェアを特に意識することなく、したい作業ができたという点は、高く評価していいだろう。
デスクトップ環境として、IceWMではなくGNOMEまたはKDEを採用する最大のメリットは、GNOMEもKDEも非常によくできているため、開発サイドの手間が大幅に軽減されることだ。たとえば自動マウント機能に関して言えば、GNOMEやKDEにすでに用意されているため、わざわざ作り直す必要がない。残念ながら、KDEもGNOMEもリソースを大量に消費するので、RAMが256MBに満たない環境では、LightGUIのほうが使い勝手がいいだろう。
Morphix KDE
KDEも、リソースを食うGUIの代表選手だ。私はKDEがそれほど好きではないが、今回は感心した。Morphixチームによって、KDEの外見と使い勝手が大きく改善されている。もうお分かりだろうが、このイメージではデフォルトのデスクトップ環境としてKDE 3.1.0が採用されている。さらにKツールが数多く含まれているのも特徴だ。Konqueror Webブラウザ、KOffice(Kword、Kpresenter、Kchartなど)、そしてKゲームだ。また、Mozillaスイート、Gaim、Quantaなど、Kツール以外のツールもいくつかある。意外なことに、このイメージではKDEネイティブの電子メール・クライアントが採用されておらず、代わりにMozilla Mailが用意されている。
GNOMEもKDEもリソースを消費するという点では変わらないが、スピードの点ではKDEのほうが劣る。Tower IIでは違いが分からなかったが、Tower IでKDEを使ってみてはっきり感じることができた。私が行った作業内容では速度が特に問題になることはなかったが、XMMSでOggファイルを再生しながらKonquerorを起動するなど、一度にたくさんのことをしようとすると、多少いらいらさせられることがあったので、注意してほしい。私の中でLightGUIの評価が上がってきたのはこのあたりからだ。
Morphix Game
最後に、この変わり者を紹介しよう。Morphix Gameは一般のユーザ向けのイメージではなく、ゲーム機としてマシンを利用するためのものだ。サイズの節約のため、ウィンドウ・マネージャはIceWMで、ファイル・マネージャはない。全体のサイズのほとんどはゲームが占めている。主要なものとしては、Quiake 3 ArenaとUnreal Tournament 2003のデモ版、さまざまなバージョンのDoom、Tux Racer、LinCity、XBill、TuxPaintなどが挙げられるが、これ以外におよそ50のゲームが収録されている。ゲームを除くと、ほかにはシステム管理ツールが2つとMozilla(ブラウザのみ)、そしてGaleonしかない。
このイメージで特筆すべきなのは、たった8MBの内蔵RAMしか持たないTower IのATI All-In-Wonder 128では非常に順調に動作したのに対し、128MBの内蔵DDRを持つTower IIのnVidia互換3DForce4では問題があったということだ。Tower Iでは、デモ版QuakeやTux Racer、そしてゲーム・コンソール・エミュレータは想像以上にうまく動いた。Tower IIでは、Tux Racerはプレイできないほど遅く、デモ版Quakeは起動すらできなかった。Unreal Tournamentはどちらのマシンでもローディング中にクラッシュしてしまい、話にならなかった。全体的に、3Dが使われているゲームはTower IIではうまくいかなかったが、Tower Iでは問題なくプレイできた。
総評とアドバイス
Morphixのテストは、驚きと感心の連続だった。このLiveCDディストリビューションは、Linuxに興味があるホーム・ユーザやLinuxエバンジェリストのみならず、とにかく安くワークステーションをセットアップしたいというビジネスの場面でも十分利用できる。ワークステーションにはRAMさえあればハードディスクは不要だし、システムはCD-ROM上にあるから持ち運びが可能だ。ファイルサーバを用意すれば、アプリケーションはすべてユーザのデスクトップで安全に実行できる。ユーザが自分のシステムの電源を切ると、不要な情報はすべて消去される。ローカルの記憶領域が無駄に使われることもなく、ユーザの情報は、セキュリティで保護された中央サーバで安全に管理される。ユーザはCD-ROMを持っていれば、どのデスクトップでも同じようにシステムを立ち上げることができる。このディストリビューションはDebianベースなので、ライセンスが問題になることはない。現在のMorphixでは、Apacheサーバやファイアウォールを動作させることを想定していない(ただし、Morphix 0.4ではサーバイメージが登場する予定だ)。
Morphixには解決しなければならないバグが多数ある。私が気付いただけでも、印刷、CD-Rへの書き込み、USB接続の周辺機器の使用に問題がある。その他にも、まだ詰めの甘い部分がたくさんある。たとえば、CD-RWをマウントするには、コマンドラインで次のように入力する必要があるのだ。
一方、新しく追加された機能の中には、Morphixの将来性を感じさせるものもある。解像度ツールでは、モニタの解像度をすばやく切り替えることができ、さらに「session save」機能を使えば、ハードディスクまたはフロッピーディスクに個人設定を保存し、次回以降のセッションに反映させることができる。Morphixは、これらに代表される革新的な機能によって、優秀なディストリビューションになり得るだろう。
MorphixはSuSE、Red Hat、Debianと肩を並べられるかと問われれば、答えはノーだ。しかし、私のハードディスクをまっさらにしないでくれるという一番重要な点では、Debianに勝っているとも言える。Linuxは初めてというユーザがMorphixを使うことはまだないかもしれないが、Linux OSがどんなものなのかを見てみたいユーザにとっては格好のディストリビューションだ。
環境
Morphixのテストに使用した環境は次表のとおり。
マシン名 | Tower I |
Tower II |
プロセッサ | 450MHz Pentium III | Athlon 2100 XP |
RAM | 192MB PC100 SDRAM | 1GB 2700 DDR |
モニタ | KDS AV-195T | AOC 9Glr |
ハードディスク | Western Digital 40GB | (スワップ可能)Western Digital 40GB×2 (スワップ可能)Western Digital 10GB |
ビデオ・カード | ATI All-In-Wonder 128 8MB | 3DForce4 Ti4200 128MB DDR(8xAGP、GeForce4互換) |
サウンド・カード | Creative Labs Live! Value 5.1 | On-board Intel AC’97 2.2互換 |
ネットワーク・カード | Realtek RT8029(AS) | 内蔵VT6103 10/100 LAN 3Com 10/100 PCI |
モデム | Generic WinModem | なし |
CD/CD-RW/DVD | Creative Blaster CD 52X CenDyne 24×10×40 CD-RW |
Samsung SW-248F 48×24×48 CD-RW Samsung 16X DVD |
プリンタ | HP DeskJet 832C | なし |
さらに、Dell Inspiron 8000(650MHz Pentium III、ATI Rage 128 Mobility MF)でもMorphixを使ってみたが、モニタを検出できないという理由で起動に失敗した。他のマシンでは経験があったが、このラップトップマシンでLinuxがうまく動作しなかったのは初めてだった。開発者たちに聞いてみたところ、DellのBIOSには少々手を焼いているようだ。
インストール
現在、LightGUI、HeavyGUI、KDE、Gameの4種類のISO CDイメージが Morphix.org からダウンロードできる。ただし、Morphix Game以外のイメージは、いずれも家庭向けのデスクトップソリューションであり、事実上同じものだ。どれを選ぶかは完全に好みの問題だろう。スピード重視か、それともグラフィック重視か。KDE、GNOME、IceWMのどれが好きか。そして、OpenOffice、KOffice、GNOME Officeのどれを使うか。以上の要素から判断してほしい。
さて、他のLiveCDディストリビューションと同様、CD-ROMドライブにプログラム・ディスクを入れ、再起動するだけで、インストールは完了だ。数分後には、もうOSを利用できるようになる。
起動後の動作は、非常にスムーズで快適だった。ただし、ラップトップで起きたエラーに加え、Tower IIの起動後に「/dev/dsp not found」というエラーが起きた。つまり、サウンド・カードが認識されなかったのだ。これにより、CDやMPEGファイル、Ogg Vorbisファイルを再生することができなかった。この点を除けば、万事順調といってよい。
MorphixはLiveCDディストリビューションだが、「Install to Hard Disk」機能を使えば、他のディストリビューションと同じように、ハードディスク上にインストールして使うことができる。不思議なのは、このインストール・オプションが、一度Morphixを立ち上げないと利用できないことだ。また、注意してほしいのは、このインストーラはかなり複雑なので、相談できるLinuxエキスパートが近くにいないと厳しいかもしれない。この機能は完全な見直しが必要だ。ディスクに収録された他のツールと同様に、手軽なGUIを備えていれば文句ないのだが。
Morphix LightGUI
私の環境では使用できるRAMに限りがあったので、まずはLightGUIを使ってみることにした。LightGUIは数々の基本ツールを備えていながら、古いハードウェアでも高速な動作が可能になっている。ISOイメージの全サイズは187.13MBで、ミニCDにも収まる小ささだ。GUI環境はIceWM、ファイル・マネージャはRox、WebブラウザはPhoenix、電子メール・クライアントはSylpheedだ。さらに、MPlayer、AbiWord、Gnumeric、XMMS、Gaim、gFTPといった、数々のユーティリティが付属している。
LightGUIで気に入ったのは、その卓越した動作スピードだ。RAMがたった192MBしかないTower Iでも、MPlayerでCDから直接動画を再生し、PhoenixでWebをブラウズして、AbiWordをテストし、GIMPでスクリーンショットを取り、さらに Vorbis.com からすでに4つのファイルをダウンロードしていたにもかかわらず、動作中のアプリケーションの速度への影響はほとんどなかった。新しいアプリケーションを開こうとしたときには多少時間がかかったが、私が行っていた作業内容を考えれば当然だろう。
LightGUIの動作に満足した私は、GIMPを使ってこのテストのようすをスクリーンショットに収めようと考えた。しかし残念なことに、このイメージのみで見られたシステムエラーが起きて、これは実現できなかった。 この前には、印刷システムのエラーが起きていた。最初、このエラー(「Font data file… cannot be opened for reading!」)はAbiWordからのものだと思ったのだが、コマンドライン・ツールを含む他のどの方法を使っても、印刷はできなかった。後になって、この問題はすべてのイメージで見られるということがわかった。
LightGUIの大きな短所としては、IceWMの全般的な使いにくさが挙げられる。決して使いやすいとは言えないIceWMとRoxを採用した上で、コンピュータさえあれば、だれでも特に苦労せずに使いこなせるディストリビューションを作り上げたMorphixチームのすばらしい仕事は評価されてしかるべきだ。とはいえ、まだまだ改善の余地はある。Morphixの開発状況は、 wiki で書かれた road map で見ることができる。
LightGUIは、強力なシステムは用意できないが、Linuxを使ってみたいというすべての人にお勧めできるイメージだ。もっと力のあるシステムには、ユーザ・インターフェイスの充実した他のイメージをお勧めする。
Morphix HeavyGUI
今回のテストでは、ほとんどの時間このHeavyGUIを使用した。他でもないこの原稿も、Tower IIにインストールしたHeavyGUIで、Mozilla Composerを使って書いている。HeavyGUIでは、デスクトップ環境としてIceWM/RoxではなくGNOME 2.2を使っている。ウィンドウ・マネージャはMetacityだ。標準GNOMEツール以外にもいくつかのツールが付属していることで、パッケージが完全なものになっている。このイメージにはGaleon WebブラウザとMozillaスイートの両方が用意されている。他には、Ximian’s Evolution(電子メール・クライアント)、OpenOffice、XMMS、Xine、GIMP、WINE、多数のGNOMEゲーム、その他さまざまな用途のソフトウェアも含まれる。
レビューの一環として、私の家族(コンピュータはそこそこ使えるという程度)にもMorphix HeavyGUIを試してもらった。彼らはまずツールの豊富さ(特にゲームの数)に驚いていた。さらに、LightGUIには劣るものの、システムのスピードが非常に速いという点も印象的だったようだ。全般的に見て、使用しているソフトウェアを特に意識することなく、したい作業ができたという点は、高く評価していいだろう。
デスクトップ環境として、IceWMではなくGNOMEまたはKDEを採用する最大のメリットは、GNOMEもKDEも非常によくできているため、開発サイドの手間が大幅に軽減されることだ。たとえば自動マウント機能に関して言えば、GNOMEやKDEにすでに用意されているため、わざわざ作り直す必要がない。残念ながら、KDEもGNOMEもリソースを大量に消費するので、RAMが256MBに満たない環境では、LightGUIのほうが使い勝手がいいだろう。
Morphix KDE
KDEも、リソースを食うGUIの代表選手だ。私はKDEがそれほど好きではないが、今回は感心した。Morphixチームによって、KDEの外見と使い勝手が大きく改善されている。もうお分かりだろうが、このイメージではデフォルトのデスクトップ環境としてKDE 3.1.0が採用されている。さらにKツールが数多く含まれているのも特徴だ。Konqueror Webブラウザ、KOffice(Kword、Kpresenter、Kchartなど)、そしてKゲームだ。また、Mozillaスイート、Gaim、Quantaなど、Kツール以外のツールもいくつかある。意外なことに、このイメージではKDEネイティブの電子メール・クライアントが採用されておらず、代わりにMozilla Mailが用意されている。
GNOMEもKDEもリソースを消費するという点では変わらないが、スピードの点ではKDEのほうが劣る。Tower IIでは違いが分からなかったが、Tower IでKDEを使ってみてはっきり感じることができた。私が行った作業内容では速度が特に問題になることはなかったが、XMMSでOggファイルを再生しながらKonquerorを起動するなど、一度にたくさんのことをしようとすると、多少いらいらさせられることがあったので、注意してほしい。私の中でLightGUIの評価が上がってきたのはこのあたりからだ。
Morphix Game
最後に、この変わり者を紹介しよう。Morphix Gameは一般のユーザ向けのイメージではなく、ゲーム機としてマシンを利用するためのものだ。サイズの節約のため、ウィンドウ・マネージャはIceWMで、ファイル・マネージャはない。全体のサイズのほとんどはゲームが占めている。主要なものとしては、Quiake 3 ArenaとUnreal Tournament 2003のデモ版、さまざまなバージョンのDoom、Tux Racer、LinCity、XBill、TuxPaintなどが挙げられるが、これ以外におよそ50のゲームが収録されている。ゲームを除くと、ほかにはシステム管理ツールが2つとMozilla(ブラウザのみ)、そしてGaleonしかない。
このイメージで特筆すべきなのは、たった8MBの内蔵RAMしか持たないTower IのATI All-In-Wonder 128では非常に順調に動作したのに対し、128MBの内蔵DDRを持つTower IIのnVidia互換3DForce4では問題があったということだ。Tower Iでは、デモ版QuakeやTux Racer、そしてゲーム・コンソール・エミュレータは想像以上にうまく動いた。Tower IIでは、Tux Racerはプレイできないほど遅く、デモ版Quakeは起動すらできなかった。Unreal Tournamentはどちらのマシンでもローディング中にクラッシュしてしまい、話にならなかった。全体的に、3Dが使われているゲームはTower IIではうまくいかなかったが、Tower Iでは問題なくプレイできた。
総評とアドバイス
Morphixのテストは、驚きと感心の連続だった。このLiveCDディストリビューションは、Linuxに興味があるホーム・ユーザやLinuxエバンジェリストのみならず、とにかく安くワークステーションをセットアップしたいというビジネスの場面でも十分利用できる。ワークステーションにはRAMさえあればハードディスクは不要だし、システムはCD-ROM上にあるから持ち運びが可能だ。ファイルサーバを用意すれば、アプリケーションはすべてユーザのデスクトップで安全に実行できる。ユーザが自分のシステムの電源を切ると、不要な情報はすべて消去される。ローカルの記憶領域が無駄に使われることもなく、ユーザの情報は、セキュリティで保護された中央サーバで安全に管理される。ユーザはCD-ROMを持っていれば、どのデスクトップでも同じようにシステムを立ち上げることができる。このディストリビューションはDebianベースなので、ライセンスが問題になることはない。現在のMorphixでは、Apacheサーバやファイアウォールを動作させることを想定していない(ただし、Morphix 0.4ではサーバイメージが登場する予定だ)。
Morphixには解決しなければならないバグが多数ある。私が気付いただけでも、印刷、CD-Rへの書き込み、USB接続の周辺機器の使用に問題がある。その他にも、まだ詰めの甘い部分がたくさんある。たとえば、CD-RWをマウントするには、コマンドラインで次のように入力する必要があるのだ。
sudo mount -t iso9660 /dev/sdr1 /mnt/cdrom
一方、新しく追加された機能の中には、Morphixの将来性を感じさせるものもある。解像度ツールでは、モニタの解像度をすばやく切り替えることができ、さらに「session save」機能を使えば、ハードディスクまたはフロッピーディスクに個人設定を保存し、次回以降のセッションに反映させることができる。Morphixは、これらに代表される革新的な機能によって、優秀なディストリビューションになり得るだろう。
MorphixはSuSE、Red Hat、Debianと肩を並べられるかと問われれば、答えはノーだ。しかし、私のハードディスクをまっさらにしないでくれるという一番重要な点では、Debianに勝っているとも言える。Linuxは初めてというユーザがMorphixを使うことはまだないかもしれないが、Linux OSがどんなものなのかを見てみたいユーザにとっては格好のディストリビューションだ。