GNOME 2.3解説

去る4月10日にGNOME 2.3.0 “Mighty Atom”がリリースされた(リリースアナウンス)。GNOME 2.3.0は、今年の秋に予定されている次期GNOMEの安定版GNOME 2.4に向けての最初の一歩である。本稿では、この開発版のGNOME 2.3について紹介したい。

ロードマップ

GNOMEのリリースは「安定版」と「開発版」に分けられており、現時点であれば 2.2.xが安定版、2.3.xが開発版という位置付けになっている。2.2.xのシリーズは細かな修正のみのメンテナンスとなっていて、既に開発は2.3.xに移行している。リリーススケジュールはGNOME – 2.3.x Development Series を参照していただきたいが、今年の9月には2.4.x となってリリースされることになっている。

GNOME 2.3 での変更点

GNOME 2.3.0における変更点の詳細については、GNOME 2.3.0 changelogsで参照できるが。ここで2つほど紹介しよう。

パネル

もっとも目立つのは「パネル」に加えられた変更である。これまでのGNOMEパネルでは複数の種類に別れていて、「メニューパネル」、「エッジパネル」など、その用途や動作によって別のパネルを作り分けなけねばならなかった。

新しい GNOME パネルにおいては、パネルは一本化された。プロパティ・メニューから透明度や色、大きさなどに加え、伸縮動作や向きを変更できるようになりパネル自身をドラッグすることで配置が変えられるようになった。

また、大きさの変更や移動などをキーボードで操作することが可能になった。Windowsにおいては、大抵の操作をキーボードで実行することが可能であるが、GNOME 2.xにおいてもアクセシビリティの向上を図ることも、そのテーマの一つとなっており、マウスだけに頼らない操作は重要となっている。

XRandR対応

GNOME 2.3.0には含まれていないが、4月23日にCVSに加えられたものとして、XRandR機能の統合がある。これは、XFree86のXRandR拡張機能を利用し、ディスプレイの画面サイズやリフレッシュレートを動的に変更する、というものである。

これまでも特別なキーの組み合わせを押したり、XFree86の設定ファイルを書き直してXサーバを再起動することで可能ではあった。これがより手軽に実行できるようになった。Windowsと同様、とりあえず変更してみて、気に入らなかったら元に戻すことも可能だ。

XRandRのスペックや統合についての詳細は、XRandR integrationを参考にしてもらいたい。

GNOME 2.3へ追加されるアプリケーション・モジュール

ブラウザ

ブラウザは最も重要なアプリケーションとなっているが、次期GNOMEにおいてはGaleonとEpiphanyが次期リリースのGNOMEのモジュールに含めることが提案されている。Galeonは、GNOMEのブラウザとして開発されてきて支持を広げてきたが、開発方針の食い違いなどから、Galeonのプロジェクト進行は、ここのところ停滞気味であった。そのため、GNOMEの公式なモジュール・リストには含まれていなかった。

Safariショックもあってか、プロジェクトメンバーの一人が新たに Epiphanyブラウザの開発プロジェクトを去年の秋に開始した。また、Galeonの側も遅れを取り戻すべく、活発化してきている。

いずれのブラウザもMozillaに依存しているため、MozillaのGTK+ 2対応作業の進行がボトルネックとなっていた。しかし、ここのところのMozillaのGTK+ 2対応は進んできており、かなり安定してきた。日本語入力などで必要なXIM (gtk_immodule)の対応に難があったが、この問題もほぼ解消されてきたようだ。筆者も今年になってからはGTK+ 2対応のMozillaとGaleonの開発版(1.3.x 系)のみを使っているが、特段問題を感じてはいない。

Epiphanyは機能の詰めこみ過ぎで肥大化しつつあるGaleonへの批判もあり、見た目も機能もかなりシンプルなものとなっている。それでもタブ・ブラウジングなどの機能は供えている。

また、どちらのブラウザもGNOMEの中心的な「シェル」であるNautilusに組みこめるコンポーネントとしても動作することが可能だ。Nautilusを起動し、「場所」にURLを入力すれば、Nautilus自身がブラウザのように動作するようになっている。

fontilus

フォントを管理するためのユーティリティとしてfontilusというものもGNOMEの公式なモジュールとして加えられることが提案されている。fontilusをインスールすると、fonts:///というURIをNautilusの「場所」に入力することで、フォントの一覧をサムネール付きで見ることができる。また、フォントの中身を表示するgnome-font-viewerも提供される。

themus

fontilusがフォントのツールであれば、themus はテーマのツールである。Nautilusにthemes:///と入力すれば、テーマの一覧を表示することができる。また、一覧したテーマの上で右クリックしてメニューを表示すると「Apply theme…」という選択肢があらわれる。これによりテーマを適用できるのである。

fontilusやthemusはファイルシステムの抽象化レイヤであるgnome-vfs のモジュールとして実装されており、これからもいろいろな機能拡張モジュールが出現することを期待したい。

zenity

GNOME 2.4のモジュールとして追加提案されているもの中で、個人的に気になったのはzenityだ。指定したメッセージを表示するダイアログを出す、というだけの単純なツールで、シェルスクリプトの中から使うことを想定している。従来からgnome-utilsにgdialogという同様のものが含まれていたが、zenityのほうがより使い方が単純である。

Nautilusには、特定のディレクトリに置かれたスクリプトをメニューから実行することができる機能がある。何かファイルを選び、右クリックで「スクリプト(S)」→「このフォルダを開く」を選んでみてほしい。

この操作で表示されるフォルダにスクリプトを作って置くと、Nautilusの機能拡張が手軽にできるのである。ここでzenityのようなコマンドが生きてくる。途中でユーザからの入力を待ちたい場合にzenityが役に立つだろう。

シェルスクリプトの手軽さと機能の豊富さが、GNOMEのようなデスクトップ環境でも有効となるのである。もちろん、gtk2-perlを使ったperlスクリプトでもいいし、Ruby-GNOME2を使ったrubyスクリプトでもよい。

翻訳作業

GNOMEのアプリケーション、ライブラリのメニュー、そしてメッセージの多くは「国際化」対応されており、メッセージ・カタログというものを用意さえすれば、英語以外の言語でも表示可能になっている。日本語の場合も日本GNOMEユーザ会のメンバーなどが作業をしている。GNOME 2.xからは南アジア圏やアラブ圏の複雑な言語もサポートできるようになり、作業者は世界中に増えている。

次期GNOMEについて、翻訳作業の状況がどのようになっているかについては GNOME 2.4翻訳統計で参照することができる。メッセージカタログの翻訳 において作業手順も紹介しているので、作業を手伝っていただける方を募集したい。また、既存の日本語化での問題点(誤訳や、文章としておかしなところ)などの指摘も歓迎である。