オレゴン州の第1回オープンソース公聴会の報告

オレゴン州セーレムにある州議会議事堂ビルに車で向かったのは早朝だった。無事に到着するとすぐに、このビルのスタッフが愛想良くテキパキと働いていることがわかった。インフォメーション・デスクにいた女性に向かって「オープンソース」と言うだけでよかったからである。的確な答えがすぐに返ってきた。「ホールから下に降りて、右に曲がり、グリーンの絨毯に沿って進むと、左側にあります」

部屋を見逃す恐れはなかった。部屋の外側でいくつかの小グループがひそひそ話で作戦を練っていたからだ。おそらく口頭と書面での意見表明を行うためであろう署名をした後、Ken Barber(HB 2892の筆頭作成者)、この議案の発起人であるBarnhart下院議員(民主党、レーン郡中部とリン郡)の事務所から来たCooper StevensonとSally、およびその他の数名と挨拶を交わした。いよいよ議事が始まることに誰もが興奮している。

Kenたちから数列後ろの中央右寄りの席に座った。記者の1人が私の右手にいた。Oregonian紙の記者だと誰かが教えてくれたが、これまで見かけたことはない。Microsoft社のロビーストも何人かいたが、議事の間ずっと後方の席で固唾を飲んで見守っていた。この議案は彼らの将来に極めて大きな影響を及ぼす可能性がある。そのほかにも多数の一般市民が意見陳述の機会をうかがいながら興味津々で辺りを見回していた。全体として、両派を代表する出席者が約35〜40名はいただろうか。

Jerry Krummel下院議員(共和党、ウィルソンビル市)が議事を開始し、まずこの公聴会の規約を簡単に説明した。各派に割り当てられた意見陳述時間はそれぞれわずか40分である。意見陳述を許されなかった人々は議事の終了後に書面で意見書を提出してもよいことになっている。部屋を見回した限り、口頭で意見を述べる機会を全員が得られるとは思えない。書面の意見書を用意しておいたのは幸いだった。

この議案の発起人Kenがまず発言し、議案の背景と動機を話した。彼に続いたのは、LTSPプロジェクトのメンバーや、オープンソース・ソフトウェアで経費を節約しない限り教務が成り立たないと訴える小さな学区の代表たちだった。ほかにも多数の人が熟慮の末の多種多様な意見を述べた。彼らの発言をまとめると、おおむね次のようになる。

  • オープンソースは低コストである
  • 特定企業への依存状態になるのを避けるため、オレゴン州当局は公開標準を重視すべきである
  • HB 2892は差別的な議案ではない
  • 現在の市場は自由なものではない
  • オープンソースの方が安全である
  • オープンソースの方がウィルスの脅威に強い
  • オープンソースは使いやすい
  • 無料で入手できるソフトウェアにオレゴン州当局が費用を支払う理由がわからない
  • オープンソースとは公開標準を意味する
  • オープンソースはオレゴン州に多大な経費の節約をもたらす
この議案の技術的な性格が事を難しくしている面もあった。今後も真剣に取り組み続けるべき議案であることは明白だろう。委員会のメンバーは誰もが、この議事に関心を抱き、懸命に取り組んでいることをアピールしていた。質問は当を得たもので、回答もまたそうだった。しかし、技術的な問題に深く関わることから、必要な回答をすべて理解する能力が委員会にあるかどうかを疑問に感じた。

John Mabrey下院議員(共和党、ダルズ市)が知りたがったのは、このオープンソースとはいったい何なのかということだった。彼はシリアル食品(対価を支払って購入する製品)と比較した。オレゴン州が特定業者を常に優遇しているのは法律上の問題なのかということだ。また、そのうちに自分の手を離れる宿命にあるのに、オープンソース・ソフトウェアを作成する人々がいる理由も知りたがった。彼らはどこに価値を見いだしているのだろうか。

Avakian下院議員(民主党、ビーバートン市)はウィルスからの保護について質問した。プロプライエタリ・ソフトウェアに比べて、オープンソース・ソフトウェアがウィルスの脅威に強いのはなぜなのだろうか。

委員から出されたその他の質問もおおむねこれらの線に沿ったものだった。

40分はあっという間に過ぎて、反対派が意見を述べる時間になった。

大半の意見陳述を行ったのは、Business Software Alliance(BSA)、Computing Technology Industry Association、American Electronics Association(AeA)の代表者たちである。発言は簡潔で、用意周到なものだった。その後、技術コンサルタントであるOregon Department of Administrative Services(DAS)のDeborah Bryantが続いた。彼らの発言の内容を要約すると次のようになる。

  • (オープンソース・ソフトウェアを優遇するのではなく)中立が維持される限り、財政計画の有用性を支持する
  • ソフトウェアの選定に関する主導権の問題
  • メンバー企業の数に関する発言
  • HB 2892はプロプライエタリ・ソフトウェアにとって差別的な議案である
  • オープンソースは公開標準ではない(公開標準を使っていないオープンソースがあるとの主張)
  • オレゴン州当局は今でもオープンソース・ソフトウェアを自由に購入することができるのに、なぜ変える必要があるのか
  • オープンソースは初期コストこそ小さいが、それを帳消しにしてしまうほどのコストがサービスやサポートにかかる
  • 現在の市場は自由市場であり、これからもそのままであるべきだ
  • コストは正当化できても、実践するにはあまりに経費が高くつく
委員会は反対派にはあまり質問しなかった。Kelly Wirth下院議員(民主党、コーバリス市)は、メンバー・サポートの性格についてAeAに質問した。彼女は、AeAが投票を実施したかどうか、およびメンバー企業のサポートの程度に関して指標を提示できないかどうかを尋ねた。AeAの代表者はどちらの質問にも明確な回答を行わなかった。

持ち時間が終わりに近づくにつれて、HB 2892の第1回草案には見解の一致点がほとんど存在しないことが明らかになっていった。

その後、Krummel委員長が議事の終了を宣告し、Deborah Bryant、オープンソース推進派の中心メンバー、業者団体の代表者から成る作業グループを組織することになると告げた。この議案を先に進めるにあたっては、この作業グループが会合を持ち、2003年4月15日までに修正案への合意を目指さなければならない。余裕のある時間ではない。

概して面白い会合だった。両派とも強い印象を残した。委員会は明らかにこの議案の重要度を理解し、関心を持って参加する一方、関係する技術的な問題点を理解しようと努めていた。

議事の間、私には発言の機会がなかったが、たくさんのことを学び、オレゴン州の利益になると信じて努力している誠実な人々と知り合うことができた。私は長年にわたってオープンソースの擁護者を任じてきたが、この種のプロジェクトに関わったのは初めての経験である。この議事に両派が精力を傾注するのを見て、変化には努力と情熱が必要であり、変遷期には一定のリスクも伴うものだということがわかった。

これはオレゴン州のオープンソースにとって有意義な時間である。皆さんにも自分の所属グループや選挙区の代表者に手紙、電子メール、電話で意見を述べることをお勧めしたい。これまでよりも真剣に斟酌してもらえるはずだ。

Doug Dingus
doug@opengeek.org

参考情報

推進派

HB 2892

The Linux Terminal Server Project

Initiative for Sincere Choice

Free Software foundation Open Source Initiative

About Open Standards

反対派

American Electronics Association

Business Software Alliance

Computing Technology Industry Association

Initiative for Software choice

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