オープンソース開発者が米国政府からの受注を増やす方法

オープンソースが政府調達の対象になりにくいのはなぜだろうか? 皮肉にも、それは米国政府の調達方針が、金額に見合う最高の価値を得られるように何十年にもわたって形作られてきたためである。独自のソリューションを持つ営利目的の会社なら、限られた開発量でできるだけ多くの利益を得ようとするはずである。何十年にもわたる試行錯誤の末、そうした企業間の競争を利用して、最高の価値のソリューションを得るための方針、指針書、および標準化条項が山のように作成された。
連邦調達規則 (FAR)の遵守義務を負う政府職員は、一般にオープンソースがもたらす利点を理解しているが、これらの規則のせいで、「コミュニティに貢献する」というオープンソースの概念の扱いに苦労している。

これに対する1つの明白な対応策は、彼らがオープンソースにもっと便宜を図れるように、FARの修正をもたらす法律の改正を議会を通じて要請することである。ただし、これには長い時間がかかる可能性がある。もう1つの対応策は、あまり見た目は美しくないが、より実際的な方法である。すなわち、すべてのオープンソース開発者、請負業者、ディストリビュータ、管理者(等々)が、販売利益のみに関心があるかのように装い、ごくわずかなバイナリ・パッケージが含まれるオープンソース・ソフトウェア製品を、購入予算でまかなえるだけの金額で販売することを目指すのである。FARは、このような行動パターンを想定して作られており、その行動パターンを示すベンダと政府の購買担当者が効率的に交渉できるようになっている。

例を示そう。Debian GNU/Linux Government Edition(DGL-GE)を1枚のCD-ROMに収めて、そのバイナリ・パッケージのすべてのソースコードを収録する。小売り価格――100ドル前後――には、登録ユーザに対する最大2時間の電話または電子メールによるサポート(あるいはソフトウェア保守)が含まれる。サポートは、購入日から12か月以内ならいつでも利用できる。DGL-GEには、インストーラ、基本パッケージ、およびごく少数のソフトウェアが含まれる。政府職員の生産性を管理するために、これにはX、icewm、ソリティア、メディア・プレーヤ、Webブラウザとネットワーク印刷機能を含める必要がある。ほかのベンダの競合製品と同様に、開発ツールとワードプロセッサは省略する。

GSA(連邦調達庁)スケジュールにあるすべての商用ソフトウェア製品の隣には、オープンソースのほぼ同等品のリストが必要である。これらの新しいリストは、低価格、妥当なサポート・オプション、および(当然ながら)異なる機能セットとの競争を促進するので、GSAが我々の個々の要求を却下することが難しくなる。

たとえば、OpenOffice(Debian Government Edition)を、オフィス・パッケージだけを使うために必要なすべてのDebianパッケージと共に1枚のCD-ROMに収めることができる。価格が200ドル前後のこの新しいOO-DGL-GE製品には、指定された1つのユーザ・アカウントについて、1年間有効な最大4時間のサポートが含まれる。

Software in the Public Interest(Debianの法人組織)では、サイト管理者向けに特別バンドル製品のSITE-DGL-GE(Debian Government Edition用サイト・ライセンス)を9,990ドル程度で提供することができる。この製品には、Debianのすべてのソフトウェアがバイナリ形式で含まれるほか、Debianのバグ追跡システムとパッケージ・アーカイブへの無制限のアクセス、および1週間のトレーニング・クラスへの出席義務が含まれる。クラスでは、パッケージ・メンテナになるために必要なスキルを含めて、Debianディストリビューションのすべての構成要素の使い方を講習する。これにより、トレーニングを受けた政府の管理者が、ディストリビューションに対する開発者の権利にふさわしい知識を身に付けられるようにする。SITE-DGL-GEは7枚のCD-ROMで販売され、新しいSHAREDSOURCE-DGL-GE製品を購入することにより、3年以内に書面で要求すれば、ソースの提供を受けることができるという文書が添付される。

SHAREDSOURCE-DGL-GE製品は、7枚程度のCD-ROMで販売され、ディストリビューションのすべてのソース・パッケージが収録される。価格――14,900ドル前後――は(GPLの規定どおり)材料とプレミアム出荷のみの値段である。製品はDebian Shared Source使用許諾契約の下に提供され、受取人はCD-ROM上のソース・ファイルに変更を加えられないことと、CD-ROM上のファイルの検査と批評のみを行えることを知らされる。出荷メディアはCD-RWではないので、なんらかの変更を加えるには、ファイルをCD-ROMからハードディスクにコピーする必要がある。

プレミアム出荷では、販売者が顧客の所在地に直接出向いて、顧客の技術チームと共に最大1週間をかけて(顧客のQAスペシャリストの指示に従い)ソースコードをレビューする。このレビューは技術者たちに、彼らがCD-ROMと共に取得する制限付き権利を十分に理解してもらい、ソースコード・ファイルの使用許諾に違反しないようにする方法を知ってもらうために必要である。

もちろん、私は冗談を言っているのではない。この対応策を用いれば、政府は通常のルートを使って必要なソフトウェアを購入できるようになり、首都ワシントン地域への出張をだれが一番安く引き受けるかをめぐって、適切なノウハウを持つ開発者同士を競争させることができる。

FARの規則では、これが健全な商業上の小売り競争と見なされる。

実際に購入にかかわる担当者は、規則とは異なり、これを政府内のソフトウェア技術チームに対する1週間の専任のトレーニングを得るための購入と見なすだろう。しかも、それは特定のソフトウェア・パッケージに関して自分たちが選んだ国内の専門家が行うトレーニングである。

このいずれかの契約の下で発生した問題については、だれも自分たちで修正する必要はない。その費用と作業を下請けに出せるからである。

認可された購入先のGSAスケジュールは既に長い。GSAスケジュール・リストの一般規則と制約を守ることができるすべてのオープンソース開発者を追加する余地は十分にある。それぞれの開発者は、自分が個人的にサポートしたいソフトウェアに応じて、わずかに異なるパッケージの組み合わせをCD-ROMに収めた製品を販売する。たとえば、200人がOpenOfficeを販売し、50人がAbiWordを販売し、100人がLaTeX一式を販売し、ほかの人々がその他のオープンソースのワードプロセッサのパッケージを販売しているところを想像してほしい。その個々の人々が、独自仕様でソース非公開のほぼ同等品を販売している企業の対等な競争相手になるのである。

ここでは、あくまで例としてDebianを取り上げているだけで、全員がDebianを使うことを推奨しているわけではない。多様化には賛成である。

米国に法的存在を有するすべてのディストリビューションが同等の製品を提供できる。

それにもちろん、個々の開発者も同様である。