Fedora 22リリース、パッケージ管理ツールとしてyumに代わり「DNF」が導入される

 The Fedora Projectは5月26日、Linuxディストリビューション「Fedora」の最新版となる「Fedora 22」をリリースした。Linuxカーネルはバージョン4.0を採用し、新パッケージマネージャDNFの導入、Waylandの採用など多くの変更が加えられている。

 2014年12月に公開されたFedora 21に続くリリースとなる。Fedoraはバージョン21よりサーバー版の「Fedora Server」、ワークステーション(デスクトップ)版の「Fedora Workstation」、クラウド版の「Fedora Cloud」という3エディション構成を取っている。Fedora 22はその体制となって2回目のリリースで、6か月ごとのリリースサイクルに沿ったものとなる。

 Linuxカーネルはバージョン4.0をベースとし、RPM、systemd、Anacodaなどのシステムを基盤とする。また、Fedora 22ではyumに代わる新たなパッケージマネージャ「DNF」が導入された。ServerおよびCloudエディションではほとんどのタスクでコマンドラインインターフェイス(CLI)の互換性を保ちつつ、DNFの高速性を活用できるとしている。

 Workstationエディションではデフォルトのデスクトップ環境として「GNOME 3.16」を搭載、通知機能などの新機能を利用できる。このほか、KDE(Plasma 5)、xfce 4.12、MATEなども提供される。さらに、GNOME Display Manager(GDM)はX11ではなくWaylandを使用して実行されるようになった。デフォルトのGNOMEセッションは引き続きX11を利用し、Waylandの無効化も可能とのこと。また、デフォルトのコンパイラはGCC 5.0となっている。

 ユーザーインターフェイス(UI)とアプリケーションの改善や、バグ通知の強化も行われた。開発者向け機能も強化され、新たに開発環境構築ツール「Vagrant」が導入された。これを利用して、オンプレミス、クラウド、コンテナベースのアプリケーションを開発できるという。

 Serverエディションでは、サーバーのロール(役割)ベースの実装・管理により管理作業を効率するLinuxデーモン「Rolekit」の導入が特徴となる。Rolekitはバージョン21で導入され、22ではこれにPostgreSQLベースの「Database Server Role」、利用できるサーバーロールを表示するD-Busサービスなどが加わっている。

 このほか、デフォルトのファイルシステムはXFSとなり、WebベースのGUIで複数のLinuxサーバーを管理できる「Cockpit Management Console」がデフォルトで加わった。

 Cloudエディションは仮想マシン上での動作を前提としたクラウド向けのエディション。Dockerコンテナ向けに簡素化した「Atomic Host」イメージでは、ホストとコンテナを一括で管理できるAtomicコマンドを導入した。管理者がコアシステム全体を単一の操作でアップグレード/ロールバックできるrpm-ostree技術の特徴となり、Cockpit、Docker、Kubernetesなども最新のものにアップデートした。開発環境のVagrantとlibvirtにより、開発者は開発目的でFedora Vagrantを容易にスピンアップし、ほかのチームメンバーと共有できるという。このほか、クラウドイメージの容量削減も進められている。

 Fedora 22はプロジェクトのWebサイトより入手できる。

The Fedora Project
https://getfedora.org/